雨音エレジー(4)
――というわけで、その日の授業はいつもより真剣に耳を傾け、真剣にノートを取った。
人に見せるためにノートを書くと思うと、普段はやらない吹き出し、アンダーラインを引っ張ったりなど自然とカラフルなノートに仕上がっていく。
自分のノートでありながら、自分のノートに見えない状況に出くわすのは、今回が初めてだな。でもまあ、見やすくはあると思うから、これはこれでいいんだろう。
少し手間はかかったが、絵玖の役に立ってるというなら、これくらい造作もないことだ。
……………………。
――キーンコーンカーンコーン。
「はい、じゃあ今日はここまで。期末テストまで確実に迫ってきてます。日々の復習を怠らないように気をつけてくださいね」
最後の授業、英語が幕を閉じた。今日はいつもよりノートの量が多いから大変だった。
でも、何とか遅れずに写すことはできたぞ。
「秀吾、ノートのほうは?」
「うん。問題なく、ちゃんと取れたぞ」
「うぃ~、終わった終わった」
「ちゃんとノートのほうは取れたんでしょうね?」
「もちろんやったさ。――ほれ、これで文句ないだろ?」
亮が開いたノートは、比較的綺麗に分かりやすくまとめられていた。
「あら、やろうと思えばできるんじゃない」
「昼休みの間に、秀吾にノートのまとめ方についてレクチャーしてもらった。代償として自分のノートを犠牲にしてしまったけどな……」
「まあ、これをコピーすれば問題ないでしょ。とりあえず、これでノートに関しては問題ないわね。――明日、私が責任持って絵玖ちゃんに渡しておくわ」
「明日は元気に登校してくれたらいいけどな」
「軽い症状なら、今日中に回復してもおかしくないから、大丈夫なんじゃないか?」
「そうであることを祈りましょう」
――こうして、ノート作成奮闘記の一日が終わった。
今日は雨も降ってるし、大人しく家に帰るとしよう。
今日はあまり楽しくない一日と思ってしまったのは、俺たちにとって、絵玖っていう存在が大きくなってきてる証拠なんだろう。
明日、元気になって登校してくれることを願おう。
……後で、メールでも送っておこう。
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