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雨音エレジー(3)

「うーん……」

 絵玖が欠席、か……。

 昨日の時点では元気そうだったんだけどな……夜から急激に体調が悪くなってしまったんだろうか?


 それとも、悪いのを隠して俺に付き合ってことでただでさえ優れない体調を悪化させてしまったか?

 

 そうだとしたら、今日学校を休むことになったのは俺のせいになる。

 謝罪をさせていただかねばなるまい。


 夏風邪というのは質が悪いから、一度かかるとなかなか良くならないと聞くし……苦しんでないといいが。


「……すっごい顔してるぞ、秀吾」

「ん? マジか?」


「うん、んぎゃ……て顔してるぜ」

「なーんとなく、言いたいことは分かる」


「それは何よりだ。……つい最近まで、9人クラスの光景は見慣れたものだったけど、今となってはやっぱり違和感が残るな。一人欠けてるだけで結構気持ちが悪い」

「この時期に風邪っていうのは、大変だわね。絵玖ちゃん、大丈夫かしら?」


「まあ、軽い症状ならすぐ復活するんじゃないか? 大丈夫だろ」

「だといいんだけどね」


「俺たちにできるのは、絵玖に見やすい授業ノートを作成してあげることだな」

「そうね、手分けして作りましょうか。……というわけで、ミャンマーは今日は授業ちゃんと聞いときなさいよ?」


「マジかよ……それだったら俺、風邪引いた時に効くビタミン豊富な野菜を絵玖ちゃんに届けるほうが……」

「だーめ! これは強制参加よ。ノートも作成した上で野菜を届けなさいな。授業起きて聞くぐらい簡単でしょう?」


「誰もがお前のように起きてられると思ったら大間違いなんだぜ」

「何私のほうが間違いみたいに言ってくれちゃってるのよ、問答無用よ。絵玖ちゃんの好感度上げたくないの? ミャンマーは」


「そりゃ上げれるのなら上げたいさ。でも、できそうにないことをやるのは骨が折れる……」

「できそうにないことにチャレンジしてやってのけるからこそ、評価って上がるんじゃないの。やりなさい、いいわね?」


「ちぇ、分かったよ……どんどんお母さんキャラが定着していくな」

「まあ、どうしようもなかったら俺にパスしろ。代わりに作ってやるから」


「お? 何だ、いいのか? 妙に優しいじゃねぇか」

「……焼き増ししてくれるって約束のお礼だ。近々、持ってきてくれよ」


「なるほど、それがあったか。承知した、じゃあ、来週の始めにでも持ってくるぜ、楽しみにして待ってな」

「頼んだ」


「……なぁに二人でこそこそしゃべってるの?」

「何でもない、男にしか分からない会話だから、佑香が聞くものじゃないさ」


「まあ、どうでもいいわ。じゃあ、亮は現代文のノート取ってちょうだい。秀吾は何のノート取る?」

「そうだな……じゃあ、世界史と英語にする」


「じゃあ、残りは私ね。絵玖ちゃんのために頑張りましょう」

「おう」

「ああ」


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