雨音エレジー(1)
7月19日
――朝。
外は生憎の雨模様だった。
ここ最近、良い天気が続いてただけあって、崩れたのはすごい久しぶりに感じる。
俺はあまり雨は好きじゃない。まあ、好きだって言う人もあまり多くはないと思うが、とにかくあまり好きじゃない。
特にこの夏の蒸し暑い日は最悪だ。家から出るのも億劫になる。
何てーの、生乾きの服をずっと着てるみたいな気持ち悪い感覚? これがたまらなく嫌いだ。
まあ、明日にはまたカラッと晴れる的なことを言ってたから、今日一日は辛抱しないとな。
「学校、行くか」
雨、止んでくれたら嬉しいんだけどな……。
……………………。
「――あ~、この季節の雨は好きになれそうにないな。何もかもが億劫になる」
学校に到着すると、俺と同じことを言う少年がいた。
「こんな日は、家で引きこもっていたい……そうは思わないか?」
「気持ちは分かるけどね。でも、雨だって全部が悪いわけじゃないのよ? 干ばつ地帯だったら、それだけで土地に潤いが齎されるし、空気が浄化されるし――結構雨には雨で、メリットってあるものなのよ」
「さすがは佑香、考え方が高尚だね~」
「何でも気の持ち様よ。雨がマイナスイメージだって勝手に思い込むからダメなのよ。雨が降ることで私たちに齎されるであろう幸せを考えれば、雨の日だって自分にとって付加価値を与えてくれるわ」
「言ってることは分かるんだけど……なぁ?」
亮の問いかけに、俺も頷いてしまう。
「考えたいとは思うんだけど……この蒸し暑さでは、考える気力もなくなってきちまって……」
「はぁ、ホントに私の幼馴染は弱いわね~。もっと男ならしゃきっとしなさいよ、しゃきっと」
「どんなに屈強な男でも、自然の驚異には勝てないんだよ~」
「またそういう屁理屈を……そんなこと言ってると、女の子にモテないわよ?」
「俺のことをカッコいいと思う女は、この村にはいねぇよ。都会の学校なら、こんな姿は見せないって」
「普段から気を付けてないと、いざって時にできないんじゃないの?」
「見知った顔の多い中で、そんなことしたって気持ち悪がられるわけじゃないか。だからやってないんだよ。まあ、絵玖ちゃんが褒めてくれるんだとしたら、やらないことはないけどな」
「全くこの男は……そういえば、絵玖ちゃんまだ学校に来てないわね?」
「そうだな、寝坊か何かかな?」
珍しいな、絵玖が俺たちよりも学校への登校が遅いとは。
朝ご飯を食べるのに手間取ってるのか、忘れ物を取りに家に引き返したのか……それとも、体調でも悪くしたのか……。
「この雨だ、遅れても何も不思議はないけどな」
「……風邪とか引いてないといいけどね」




