人見知りモード!・解除!(8)
学校を出て、昨日絵玖がコウタに絡まれた道を歩いて行く。
駄菓子屋につくまでの間、俺はまた絵玖に村に関しての話をしてあげた。
これは俺から切り出したんじゃなく、絵玖からのリクエストがあったからだ。
まだまだ聞きたいことがたくさんあったらしく、それに関して俺はなるべく丁寧に教えてあげた。
自分の説明によって理解を深めてもらえるのは嬉しいし、楽しい。
何より、それを通してこの村のことを好きになってくれるんであれば、俺はいくらだって教えてあげたい。
もうすぐ廃村になるといっても、「この村に住んで本当によかった」って言ってもらいたいからな。例えこの村の存在が地図から消されたとしても、この村に住んだ思い出だけは心の中に消えずの残っていてほしい。……ちょっとクサかったけどこれは俺の純粋な想いだ。
「――本当に、秀吾くんはこの村のことが大好きなんですね」
「そうだな。うん、大好きだよ。絵玖は? まだ一週間ちょっとしか住んでないけど、この村のことは好きか?」
「……正直、最初は不安でいっぱいでした。でも、今はちょっとずつ慣れてきて、秀吾くんとかにいっぱい教えてもらっているので、どんどん好きになってきてます」
「うん、それなら教えた甲斐もあるってもんだ」
「多分、これからもっともっと好きになっていくと思います。夏休みが楽しみです」
「その様子だと、夏休みは村巡りを敢行しようと企んでいるのか?」
「か、敢行? 悪いこと、ですか? それは」
「ううん、そんなことはない。ちょっと言ってみただけ」
「ならよかった。だったら、やってみようかなって自分で考えてます。まだまだ初めてのことが、たくさんあると思いますし」
「そうか、探究心を持つってすごく良い事だと思うぞ。是非するといい」
「………………」
「ん? どうした? 絵玖」
「その……できたらでいいんですけど……それをする時は……秀吾くんにも一緒に来てほしいかな、なんて思ってるんけど」
「俺? 着いてっていいのかよ? 俺みたいな輩が」
「はい、もちろんです。というかその……秀吾くんと行きたいなーって思ったりなんかしたりして……その、一人で歩くよりも、友達と一緒に歩いたほうがきっと楽しいと思うし、何よりまたコウタくんみたいな犬と出くわした時に、対処ができなくなったら困りますし……」
「なるほど、俺はボディーガードってわけだな」
「そ、そういうことではないんですけど……何て言ったらいいのかな……一緒にあたしと遊んでほしいんです」
「……………………」
「しゅ、秀吾くん?」
「うん、やっぱりそんな風に遊びに誘ってもらえるっていうのは、何とも嬉しいものだなって改めて実感してたのよ」
「言うほうは、ドキドキですけどね」
「ははは、まあな。もちろん、一緒に遊んでやるぞ。俺も夏休みは特に予定入ってなかったからな。スッカスカすぎて困ってたところだ」
「予定、ないんですか?」
「むしろ俺に予定なんてあると思ってたのか?」
「秀吾くん、みんなと仲良いから色々お誘い受けてるんだと思って……」
「現実はそう甘くないんだな、これが。むしろ、何だ……幼馴染にもなると、あんまり遊んだりもしなくなるっていうのかな……お互いのことをたくさん知っちゃってるから、一緒にいる必要性もあんまりなくなるって感じ? もちろん、遊ぼうぜって言われればOKって答えるし、俺が遊ぼうぜって声をかけたら向こうもOKって返すだろうが、つまり……予定を予め立てるまでのことでもないっていうのか……説明がメチャクチャだな、ごめんな」
「いえ、そんなことないです。何となく、秀吾くんが言いたいことは分かる気がしますから」
「まあそういうわけで、予定はガラガラなのよ。いつでも声をかけてくれていいぞ? 秀吾カスタマーサービスは24時間対応してるから」
「あはは、遊びの誘いは、迷惑にはならないんですね」
「もちろんだ。むしろ予定のない俺を誘ってくれて感謝感激雨あられって感じだ」
「あ、遊びに誘うだけでそんなにフューチャーしてくれるんですね」
「今さっきも言ったが、どんなになっても遊びに誘ってくれるってのは嬉しいもんよ。絵玖ばっかりに誘わせるのもあれだから、俺からも絵玖に遊びへの誘い電話は入れるよ。受話器の前で正座して待ってるように」
「は、はい。足がしびれた時は……どうすればいいでしょうか?」
「その時はあぐらでも体育座りでも、自分の待っているのに苦労しない方法を取ってよし」
「わ、分かりました」
「……分かってると思うが、今のは冗談だからな? 本気で言ってるわけじゃないからな」
「…………いいんですか? しなくても」
何だろう、やっぱり絵玖は只者ではないかもしれない。
あまり友達は多くないけれど、絵玖のようなタイプの子と出会えるってそうないことだと思うぞ。
「絵玖ってすごいんだな」
「???」
「まあいい、とにかく遊びたくなったらお互いに声をかけるってことで。変に一日置きとか気を遣わなくてもいいからな」
「はい、ありがとうございます」
……………………。




