人見知りモード!・解除!(9)
――そして駄菓子屋に到着。本当に営業してるのか? と思ってしまうくらいの見た目をしているが、ちゃんと営業しているから心配ない。おまけに年中無休である。
いつ来客しても、ちゃんと駄菓子は売ってくれるぞ。
もちろん、今日の目的もアイスキャンディーだ。一本60円という値段でありながら、そこそこの食べごたえがあるし、何より美味い。だから俺は結構な頻度でこの駄菓子屋を訪れている。
「今日も奢ってやるぞ。付き合ってくれたお礼にな」
「いいんですか?」
「もちろん。味はどれがいい?」
「えっと……じゃあオレンジで」
「分かった。……おばちゃん、バニラとオレンジ一本ずつもらってくよ。お金、ざるに入れておくから確認してね」
「はぁ~い、毎度ありがとね」
中からおばちゃんの声だけが聞こえてくる。
本来なら、おばちゃんにお金を渡すのが筋なんだが、もうここに来る客は俺とか顔見知りの人間ばかりだから、疑う必要もないのだろう。
一昨年くらいからアイスキャンディーが入ったクーラーボックスの横にざるが置かれていて、そこにアイス分の金額を入れるシステムが導入された。
おばちゃんも結構歳だし、ここまで歩いてくるのにも骨が入るから妥当な考えだな。
俺はざるに120円を乗っけて、ボックスからオレンジとバニラの2本を取り出した。
キンキンに冷えているようで、アイスの表面に霜がついている。
最初は固いし、齧ると歯に染みて痛いんだけど、これが逆に癖になってくるから不思議だ。
今日も美味しくいただかせてもらおう。
「ほい、どうぞ」
「ありがとうございます。いただきます」
「せっかくだし、ちょっと見晴らしの良いところで食べようか」
「いいですね、何処にしましょう?」
「そうだな。じゃあ――」
……………………。




