あの子って、実は意外と……(4)
――そして教室。
「おはよう~」
俺が挨拶すると、全員が俺に向かっておはようと返してきた。さっき、話題に取り上げた須貝絵玖も……既に到着しているようだ。どうやら佑香と話をしているらしい。
「秀吾、おはよ」
「おう、おはよう。それに……須貝も、おはよう」
「おはようございます、五十沢さん」
お互いに、まだ少しギクシャクはするが挨拶はできるようになってきた。
「何だ? 何してるかと思えば……二人そろって勉強かよ」
「何よ? 何か文句ある?」
「別に文句はないが……授業前に勉強とか、相変わらず真面目だなと思ってよ」
「真面目も何も、もうすぐテストなんだからこれくらいしてもおかしくないでしょう。むしろこういう姿勢が必要なのはミャンマーのほうでしょうが」
「いや、俺はほらあれだ……一夜漬けタイプだから。計画立てて勉強するのが苦手なんだ」
「うわー出たよミャンマーの一夜漬け発言。いっつもそれで撃沈してるんだからいい加減通用しないことを覚えないの?」
「その逆さ。一夜漬けでも成功することをお前に見せてやろうと思ってるんだよ。方法は違えど、勉強時間に変わりはない。違うか?」
「そういうところばっかりあきらめが悪いんだから。今まで数々一夜漬けで失敗してるっていうのに……その反骨精神は逆に感服だわ」
「ふふ、だろ?」
「いや、褒めてないから全く。絵玖ちゃんはああいう人間にだけはなっちゃダメよ」
「あ、はい……」
「すごいのよ。去年の冬期テストの時から、今まで一度も最下位を譲ったことがないの。それにブービーよりも大差をつけてね」
「おい、佑香。俺の許可なく何勝手に知られたくない過去を教えてるんだ」
「あ、ごめんなさい……」
「いや、絵玖ちゃんは悪くないから気にしないで」
「……………………」
うん、今のが登校中に亮が言ってたことだな。全く須貝が悪くない場面で、自分が悪いと思ってすぐに謝る。




