あの子って、実は意外と……(1)
7月17日
――朝だ。
いつもと変わらない、夏の暑い朝。さすがに三回も俺のシャワーシーンを見せるのは目に悪いと思うから今日はカットすることにする。
というわけで、今日は朝食からスタートだ。
今日の朝食はご飯、インスタント味噌汁に目玉焼き、朝食の定番メニューを揃えてみた。
先週の金曜は佑香が朝ご飯を作りに来てくれたから作る手間が省かれたけど、今日はこの時間になっても姿を現さないことから俺の家に来ることはないだろう。
だからって不服だと思うことは決してない。むしろこれが普通なんだ。あいつにはあいつの事情ってものがある。
佑香が俺の召使いか何かで、雇用している状況ならば俺は雇い主として一喝を入れる必要があるがそんな二次元的な展開は一切なく、あいつは善意でやってくれているから、俺が不服だと感じるのは完全なお門違いってわけだ。
時々来てくれては朝食を作ってくれる幼馴染なんて、今時珍しいくらいだろう。そういう存在は、大切にしなければいけないな。
ただ……。
「やっぱり俺の料理よりも、佑香の料理のほうが美味いな」
これが日々の積み重ねの違いか。
つい最近料理を始めたばかりの俺では、佑香のような熟練者の味は決して出せない。
それは目玉焼きなどのお手軽料理でもだ。
レシピ通りに作っても何か違うように感じることってあるが、その違いっていうのは、料理を続けてきたもののみが分かる、レシピには載っていないテクニックを使用しているからなんじゃないだろうか。
だから正確に再現するって言い方をするんだ。そのレシピそのもの、とは言い切れはしない。
「だから何だって話だけどね……」
とどのつまり……美味しい料理が食べたいってこと。
「ごちそうさまでした」
さて、洗い物を済ませたら学校に向かおう。
夕食の時に出る洗い物と一緒にやることもできるけど、貯めておくっていう行為はあんまり好きじゃない。
貯めて一気にやるのも悪くはないが、こまめにやれる時にやっておいたほうが後々の行動に余裕が出てくる。まあ、洗い物一つにどんだけ考えを巡らせてるんだって話だが……。
「というわけで、行ってきます」
俺は学校へと向かう。
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