須貝絵玖登場! 転校生は元アイドル!?―絵玖視点(12)
「…………」
「絵玖ちゃん、どうされましたか?」
「え? ううん、何でもない。このハンバーグ美味しいなって思って」
「ありがとうございます。ですが、まだハンバーグには手を付けられていないように見えるんですけども」
「…………」
「何か、悩んでいることがあるようですね。私でよければ、話していただけませんか? 絵玖ちゃんの力になりたいと思います」
「…………」
「心配なさらないでください。お母さんに告げ口したりなどしませんから。遠慮せずに話してください」
「……まだ転校して少ししか経ってないけど、全然溶け込むことができないなーって思って」
「クラスにですか?」
「はい。全部自分のせいなんだけどね……みんな一杯話しかけてくれるんだけど、それに対して答えるばっかりで、自分からみんなに話しかけたりすることができなくて……今、すごい自己嫌悪してるんです」
「……………………」
「もちろん、友達になりたいって想いはあたしもあるんだけど、それとは裏腹の態度しか取れない自分ばかりで……このまま、友達らしい友達がいないまま夏休みに入っちゃうのかなーって」
「まだ夏休みまで時間があるじゃないですか。考えすぎではないでしょうか? 急いては事をし損じるといいますし、友達っていうのは、得てして自然となっていたりするものではないでしょうか?」
「……そういうものなのでしょうか? 以前通ってた学校で、あたしと同じような境遇の人を見たけど、その人は一日二日ですぐに友人をたくさん作ってたから。ただ単にあたしは不器用だから、できないんじゃないのかな~」
「いいえ、そんなことはありません。その人はその人、絵玖ちゃんは絵玖ちゃんです。友達を作るペースは、人によってそれぞれありますから。心配しなくても大丈夫です、絵玖ちゃんに友達になりたいって想いがあるのであれば、それはきっとクラスの人たちにも伝わりますから」
「……そう、かな?」
「ええ、そうです。この崎田が保障しますよ」
「じゃあ、もう少し、頑張ってみます」
「その意気です。……そういえば、まだクラスの人たちのことを聞いていませんでしたね。嫌でなければ教えてくれませんか?」
「みんな、優しくて良い人たちが多いです。それに、人数が少ないから全員幼馴染みたいで見えない絆ってものがあるみたい。その中でも印象に残ってるのは、真行寺さんかな。そのクラスのリーダーで、沢山面白い話をしてくれるんです。後、その友達の三山くんも、髪型がちょっと個性的だけど、よく話しかけてくれる。後は……そうだ、こっちに来る時に、学校までの道を教えてくれた学生さんのこと、崎田さんは覚えてる?」
「ああ、あの子ですか? もちろん覚えていますよ」
「あの人、同じクラスの五十沢秀吾って人だったんですよ。真行寺さんと三山くんと仲良しみたいで、よく面白い話をしてます。あたしの前だと、途端に口下手になるんだけど。ひょっとしたら、あたしと同じでそういうところ不器用なのかもしれない」
「そうなんですか? 道を教えてくれた時はあんなに丁寧に教えてくれていたのに……」
「だからあたしもびっくりしました。最初の印象と今の印象が全然違うから……一方的に、ちょっと連帯感が持てた感じがして」
「ふふ、それは良かったじゃないですか。友達になれるのも、近いのではないですか」
「だといいなって思いますね。……ちょっと話したらスッキリしてきた、ありがとう崎田さん」
「いえいえ、私は当然のことをしただけですから。私でよければ、いつでも相談に乗りますから遠慮なく言ってください」
「うん、ありがとう崎田さん」
……そうだよ、あたしは自分の意志でこの村に来たいって行ったんだもん。お母さんの力を借りなくても、自分の力で友達を……。
……………………。
…………。
……。




