第80話:破壊の序曲、あるいは平穏の終焉
スマホから響く不気味な音に、
私の指先はガタガタと震えた。
「な、何が起こったの!?
バロ、テレビを付けて!」
モニターには真っ赤な速報。 ヘリの空撮映像が映し出される。
『緊急ニュースです。現在、 〇△市の港へ向け大型船舶が
異常な速度で接近しています!』
画面には、不自然に物々しい コンテナを積んだ巨大タンカー。
アナウンサーの絶叫が重なる。
『沿岸の皆様、直ちに現場から できるだけ遠くへ逃げてください!
未確認の危険物が満載されており、大爆発の恐れがあります!』
バロのレンズが鋭く光り、映像を瞬時に解析し始めた。
『解析完了。甲板のコンテナは、 偽装された軍用火薬および、
短距離誘導ミサイルの弾体です。 衝突まで、残り約30分』
バロが投影した予測図は、 画面を真っ赤な円で埋め尽くした。
『爆発のエネルギーは、この〇△市 だけでは済みません。衝撃波は、
隣接する自治体を含む広範囲を 壊滅させる規模になります』
「うそ……そんなの、
何万人の人が死んじゃうの……?」
窓の外からは、パニックに陥った
車のクラクションと、遠くで
鳴り響くサイレンが混ざり合う。
私は、おじいちゃんの残した
地下の重圧と、目の前の絶望的な
光景の間で、ただ震えていた。




