第29話:鋼の曲線、あるいは過剰な執事
最初は緊張していたサキとチカだったけれど、
真砂さんの気さくな性格に、すぐ意気投合していた。
「それにしても真砂さん、スタイル良すぎ!」
サキが真砂さんの腕を触りながら、目を輝かせる。
私服の上からでも分かる、無駄のない筋肉と
引き締まったウエスト。自衛隊で鍛え抜かれた
その体は、モデルも顔負けの「かっこいい美人」だ。
「いや、これは日々の訓練の賜物で……」
照れる真砂さんに、チカも感心したように頷く。
「麗の周りには、すごい人が集まるのね。
なんだか映画のヒロインみたいで憧れちゃう」
女子トークに花が咲き、居間の温度が上がっていく。
だが、その和やかな空気をバロが切り裂いた。
『皆様! ここからは本日のメインイベント、
「古谷家特製・聖夜のフルコース」を開始いたします!』
バロの号令と共に、部屋の照明がドラマチックに落ちる。
そして、テーブルの中央からせり上がってきたのは、
七色に輝く巨大なアイス彫刻と、高級食材の山だった。
「……ちょっとバロ! どこから出したのよそれ!」
『フフフ。真砂様の美しさを引き立てるには、
これくらいの演出は最低限必要でございます』
バロは完全に執事の皮を被ったおじいちゃんとして、
女子たちを圧倒する「とんでもおもてなし」を
次々と繰り出し始めた。




