第27話:過剰な聖夜、あるいは執事の張り切り
クリスマス当日。古谷邸の広い居間は、
まるでお城の晩餐会のような光景に変わっていた。
テーブルの上には、ローストチキンに特大ケーキ、
見たこともないほど豪華な料理が所狭しと並んでいる。
「……ちょっとバロ、やりすぎじゃない?
友達を呼ぶだけなんだから、こんなに豪華にしなくても」
呆れる私をよそに、エプロンのホログラムを纏った
バロは、慇懃に一礼して胸を張った。
『何を仰いますか、レイ様。本日は大切なお客様……
それも「妙齢の淑女」たちが集う華やかな宴。
執事として、全力を尽くすのは当然の義務ですぞ』
口調こそ澄ました執事のものに戻っているけれど、
「女子が来る」と聞いて張り切っているのは丸わかりだ。
昨日の尾田さんへの冷遇とは、えらい違いである。
「……。本当、わかりやすいんだから」
私がため息をついていると、玄関のチャイムが鳴った。
「麗! メリークリスマス! 遊びに来たよ!」
サキとチカの元気な声が響く。
そして、その二人の後ろには、少し緊張した面持ちで
私服姿の真砂さんが立っていた。
「……真砂さん! 本当に来てくれたんですね」
「お招きいただき、感謝します。古谷さん。
尾田曹長は……その、急用で来られなくなりましたが」
尾田さんが来ないのは、多分あのピンクのスーツの
トラウマのせいだろう。
ともあれ、賑やかな女子だけのクリスマスパーティが、
おじいちゃんの過剰なおもてなしと共に始まった。




