心海学校
青いラインの入った白いセーラー服と紺色のスカートが、キラキラした水に揺れる。
私の目の前を泳ぐのは、海の生き物たち。イワシ、マグロ、エイ、ウミガメ、タコにウツボにリュウグウノツカイ。深海魚も回遊魚も関係なく入り混じって泳いでいる。
群れをなしているイワシの先には、3階へと続く階段。
リュウグウノツカイと共に階段を上がっていくと、すぐに教室に辿り着く。
どこかから差し込む光は、白くゆらゆら揺れている。
窓際の席に座ると、机の上にタコが這い上がってくる。
クスリと笑って、窓の外に目を向ける。外ではマグロやエイ、サメも泳いでいる。いつも見ている魚も、初めましての魚も、みんな自分のペースでゆっくり泳いでいる。
海の学校に、生徒は私1人。
私だけの、私のための学校。私の世界。青い世界に、私は今日も一人。
ここにいる魚達は、生き物は、私を含めてみんな酸素が必要ない。
゜。°◦゜。゜°
今日の水の中は穏やかだ。
遠くから差した光が、水の奥の方までキラキラ揺らめいている。
みんな、自分の思うままに自由に動いている。何にも、邪魔されない。
昨日は酷かった。水が激しく渦巻き、魚達は渦に流されてしまわないよう、必死でえらを動かしていた。
渦の中心にいる私は、逃げたいのに逃げられなくて、ただ巻き込まれてしまった魚達が、小さな骸となっていく姿を見ていることしかできなかった。
今日は、もう大丈夫。
酷くかき乱された心は落ち着いて、渦ができる気配もない。
今日も始まってしまった1日が、平穏に終わってくれるなら、私の海の中も穏やかなまま過ぎ去ってくれる。
目を閉じれば、水が動くコポコポとした音が届くのみ。私の耳には、すべての雑音が抜けきった、水の音しか届かない。
この世界でなら、私は私だけで心落ち着かせて暮らすことができる。
全てから遮断された、水の包まれた世界。
心海の世界だけが、私の逃げ場所。
私の、居場所。




