アルム
あれから少女アルムは毎日現れるようになった。そして洞窟に入ると毎回必ず同じ言葉を話す。
「こんにちは! ラルゴ様っ」
「今日もお礼をいたします」
「どうぞ召し上がって下さいっ!」
そう言って果物やら魚、野菜などを持ってきては俺の前に並べる。最初は地面の上に置いていたが、最近は祭壇のような物を勝手に持ってきて、その上に並べている。俺はそいつを渋々食べている。竜はこんな物を食う必要もないし、別に欲しいわけでもない。何年も飲まず食わずでも寝ていれば衰弱もしない。
最初は鼻息で飛ばして毒沼に放り込んでいたが、そのたびにアルムが大声で泣いてうるさくてかなわない。自分が食われないように、こんな物を持って来ているのだろうが、そもそも毎日来ることを期待しているわけでは無い。来なくなっても困りはしない。
いや……そうでもないな。退屈しのぎにはなる。アルムは物語を読むのが好きらしい。本を持ってきては俺に聞かせる。色のついた絵が描かれた物語の本だ。俺の知っている本は魔法使いの持っている魔導書だ、その本を読みながら何かの攻撃を仕掛けてくる。だから最初にアルムが本を出した時には、どのような魔法で攻撃するのかと期待もしていた。
魔法使いがやるように、呪文という理解に苦しむ言葉で俺を罵るかと思いきや。アルムの言葉は俺の知らない世界の話ばかりだった。花の世界、虫の世界、人の世界、神の世界、星の物語、食べ物、求愛など、日々色々な話を語った。俺は何もかも知り尽くしていたかと思っていたが、正直おどろきを隠せなかった。アルムは満足そうに俺の顔を見て。
「ねっ、面白いでしょう!」
そう言って満面の笑みを見せるのだ。そしてそんな日々が続いたある日、伝説の竜の話を俺に聞かせてきた。長く生きてきた俺は、竜の話なら知らぬはずが無いと思っていた。しかし驚いたことに、その伝説の竜は人間の姫と恋に落ち、人と結婚して子を授け、さらに心臓と血まで与えたという。さすがに死んでしまうだろうし、どうやって子供を作ったのか興味深かった。人間も卵を生むのだと初めて知った。更に驚いたのがアルムの言葉だ。
「これってラルゴ様のお話だよ! わたしラルゴ様大好き!」
俺には全く身に覚えがないし、そもそも竜は人と結婚などしない。アルムは俺のことを勘違いしている事が判明した。俺は首を横に降って否定してみせたが。
「ラルゴ様、今度は私と結婚してね!」
まるで決闘でもするかの気軽さで求愛をし始めた。このように毎日俺を驚かせ、楽しませる。今ではアルムがやってくるのを楽しみにしている俺が居た。
ある日アルムは魔法使いの帽子を被ってやってきた。誰に借りたのかは知らないが、かなり年期の入った代物だ。かすかに魔力を感じる帽子は、それが本物であることを示している。アルムはいつものように光の差し込む場所に立って本を取り出した。しかしそれは、いつもの絵の書かれている本では無く、魔導書を出してきたのだ。しかもこれもまた本物だ。一体何をするつもりだ、今になって俺を攻撃するつもりなのか? アルムは魔導書を開くと、俺に向かって呪文を唱え始めた。
「万物の精霊よ我に力を貸し給え、面前たる者に祝福を与え、その姿の変化を雇う」
「王子様になれっ!」
当然ながら何も起こりはしない。変化の魔法は高等魔法だ、少女の扱える物ではない。人間の術者で若い姿に出会ったことはない。幸い発動できないので反動の呪を受けることも無く、アルムには何の危険もなかった。
「ううっ、もう一度!」
それからアルムは何度も繰り返すが、当然結果は変わらない。余りにも必死なので、これは俺を笑わせるための滑稽な動きなのかと考え始めると。
「王子様になってくれたら、お喋りできるのに……」
そう言うと、アルムは涙目になって寂しそうに帰っていった。アルムが身につけていたあの帽子も、手に持っていた本も、俺と話をするために必死に頼んで貸してもらった物なのだろう。俺はその日、少しだけ自分に腹を立てた。俺の口や舌が、人間のように器用に動けば良かったのに……。
次の日にアルムはまた魔法使いの帽子を被ってやってきた。まだ諦めていないのかと呆れていたが、良く見ると比較的新しい帽子だ。それを自慢するかのように俺の眼の前でクルクル回って見せてくる。そして手には魔導書……では無く小さな小瓶が握られている。昨日までの寂しそうな姿は何処かへ行ってしまい、満面の笑顔で俺を見上げてくる。その吸い込まれるように透き通った瞳には何が写っているのかと考えていると。アルムは俺に話しだした。
「わたし魔法使いになったよ! いつかラルゴとお話するんだ。まだ見習いだから魔法は使えないけど、魔力で花の種を咲かせたら初級合格だって!」
「いつか凄い魔法使いになって、私も竜になる!」
何だろう、この心は、この驚きは、俺は嬉しいのか? この小さく弱い存在が、俺と同じになるなどと大口を叩いている。こんな滑稽な話は始めてだ、笑いが込み上げてくる筈なのに。怒りが湧いてもおかしくないのに……。人間にとって竜は討伐の対象、そして俺にとって人間はただの餌だ。この人間の子供は、アルムは、俺のようになりたいと言う……。ああそうか、俺のように強くなりたいのだろう。人間の寿命は短いから尽きることのない命が欲しいのだろう……。その小さな願い、見届けてやってもいいだろう。俺の周りには既に薬草が生えている。種を育てれば花を咲かせることなど造作もないはずだ。
俺の周りを走り回り、今度は花を植えだすアルムを見ている。アルムは種を土に埋めると何かの呪文を唱え始めた。
「大地の精霊よ、この眠りし命を目覚めさせ給え、与え給え、大いなる命の力を」
「花よ咲け!」
当然なにも起こらない。そもそも魔力が弱すぎる。またしても失敗を繰り返し、だんだん涙目になっている。いきなり魔法が使えるようになるわけが無いのだが、余りにも必死な姿を見ていると次第に哀れに思えてきた。どれ、少しだけ力を貸してやろう。
俺はアルムの中に根源の力を流し込む。集中してアルムの事を思う。その姿を、その心を、その魂を……。見つけた、アルムの小さな魂、白く小さな光。そこに少しだけ触れる。壊さないようにそっと静かに……。すると光が広がり、俺は光りの中に包まれてしまった。小さな光だと思っていたのに……。心地よい光だ、人間の魂を心地よいと感じたのは初めてだった。今までに感じて来たのは怒りや憎しみ、恨み、恐怖、絶望に濁っていた。ここに俺の魂を置いていくのは良くない。純粋な光を汚したくなかった。俺は結局何もせずにアルムの心を離れた。
「あつ! 出来た! やった!」
アルムはそう言うと、俺に自慢げな顔を向けてくる。そして曇りのない、濁りのない笑顔で俺を見上げている。俺は地面に目を向ける。出来るはずのない魔法、しかしそこには、アルムの想いが有った。種は発芽し、二枚の小さな葉をつけていた。
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その日は雨が降っていた。洞窟の中で暮らしてはいるが、天井に開いた小さな穴から外の様子を窺い知ることができる。穴から滴り落ちる雨は俺の体を濡らし、周りの草の糧となっている。
アルムの苗は枯れ果ててしまっていた。近くにある毒沼が原因だろう。魔法で芽吹かせた植物は強い生命力を持っている。なのにあっという間に枯れてしまった。ここの土には長い年月をかけて毒が染み込んでいる。薬草などのように、毒に対する抵抗を持つ植物でないかぎり、耐えられるはずも無い。
ここの毒は俺が作ったと言っても良い。ここにはもともと先客がいた。強力な毒と酸で攻撃を仕掛けてくる巨大な蛙の魔物だ。奴は執拗なまでに攻撃を浴びせてきたが、俺には効かなかった。俺には鱗がある。毒も酸も弾いてしまうのだ。奴は俺に踏み潰され、断末魔の叫びを上げながら、自らの酸に溶けて消えた。そして酸と毒の混じった死の沼が残されることになった。
アルムはこんな日にもやって来た。大きな帽子を傘がわりに、本を守るように抱えながら走ってくる。だが俺は、それを喜ぶことができなかった。
「こんにちはラルゴ様、よしっ、今日も頑張る! あっ……」
笑顔が曇る。アルムの想いと努力が消えてしまったのを知ったからだ。ここでは花は育たない。それを教えてやりたいが、伝える手段が分からない。震える背中を見ているだけなのがもどかしい。俺も簡単に花を育てられると思っていた、しかしここには毒がある。洞窟の外であれば花を咲かせることもできるだろう。
その時俺はある方法を思いついた。伝わるかどうかは分からないが、やってみよう。俺は立ち上がり、毒沼に向かって歩きだした。
「えっ? ラルゴ様? そっちはダメ!」
アルムは必死で止めようとしてくるが、人間に竜を止めることはできない。自分で掴んだ尾に引きづられていたが、毒沼の淵でようやく手を離した。アルムが見ていることを確認すると、俺は毒沼に一旦沈んでみせた。
「ああっ! 嫌だ! 消えちゃ嫌だあああっ!」
アルムは何か叫んでいるが、沼の中では良く聞こえない。だが悲しそうな声を叫ばせるのは可哀想だ。俺はゆっくり浮上すると、上を向いて翼を大きく開いてみせた。そしてその後腹を上にして浮かぶ姿勢を取った。毒のせいで花が枯れたことを伝えるために。これだけやれば伝わるだろう。毒のことに気づいてくれれば良いが。
「あはははははっ! やめてっ苦しい! あはははははっ」
俺の渾身の演技は全く伝わらなかったが、アルムを元気にする目的は達成したと言っていいかもしれない……。竜を見て笑う人間を初めてみたが、笑われたのも初めてだった……。何だろうこの気持ちは、怒った方が良いのだろうか? まぁ良い。俺も気分が良くなったので問題はない。俺も笑いの咆哮を上げる。竜が笑うとはどう言った声なのだろう。自分自身がうるさくてよく聞き取れない。アルムもその声を聴いて笑っているようだが、やはり良く聞き取れなかった。
アルムは俺をこんなにも楽しませる。新しい驚きを与えてくれる。一緒にいると心地よい。これが幸福と言う感情なのか? かつては知っていたはずの懐かしい感情。長く忘れていた感情。アルムの未来を、願いを成し遂げることを、俺自身も強く願うようになっていた。
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今日は雨、降り注ぐ雨水は洞窟へと流れ込み、毒の沼へと入ってゆく、俺はこの時の雨が、アルムを苦しめる事になるとは思わなかったのだ。
その日を境に、アルムの体調が悪くなっていった。最初は気がつかない程度に。そして次第に目に目えて衰えていることがわかった。そしてある日、アルムは辛そうな顔で俺に訴えた。
「ラルゴ様……疫病が……薬草を取っても良いですか?」
俺は薬草を噛みちぎり、アルムの前に積み上げた。
「ありがうございます、これで良くなる、よかった……」
アルムを一刻も早く治してやりたかった。住み家まで飛んで送り届けたかった。しかし、このように小さく弱い存在を傷つけることなく運べるほど、俺の手や口は器用では無かった。もっ早く気が付いていればと、自分を責めることしかできなかった。俺は何と無力なのだろう……。
次の日にアルムは俺の前に現れなかった。そして次の日も。アルムはどうなったのだろう、ちゃんと回復しているのだろうか、また俺の元へ来てくれるのだろうか。またあの笑顔を見せてくれるのだろうか。アルムの回復を願わずにはいられない。
一体何に願うと言うのか。精霊か? 神とか言う奴か? それともアルム自身にか? もう訳がわからない。なぜ俺の心はこうも荒れる。なぜ鎮まらない。誰でもいい、アルムを助けてくれ、俺の元に連れて来てくれ!
そう思う俺の目の前に、アルムが立っていた。目には涙を浮かべている。顔はやつれ、肌は紫がかって変色していた。そしてか細い声で俺に話し始めた。
「ラルゴ様、ごめんなさい……もう来られない」
「きっと今日が最後……お別れに来たの……」
一体何を言ってる。薬草は使っていないのか? どうしてこんなふうになっている。俺は薬草を集めアルムの前に置いた。アルムはそれを食べながら答える。
「ありがとう、美味しい、うぐっ……」
「いっぱい薬草も飲んだ、いっぱいお水も飲んだ、早くここに来たかったから」
「でももうダメだって、お医者様に謝られた……」
「嫌だ、ラルゴ様に会えなくなるの嫌だ、死ぬの嫌だ……」
「ラルゴ様、たすけて、怖いよう」
崩れ落ちるアルムを見て思い知った。俺は恐怖している。かつてこれほど恐れさせた者はいなかった。アルムを失ってしまう恐怖。この小さくか弱く、それでいて俺に取って最も大きな存在が消えようとしている。これは本当に現実なのか? 夢であってくれと願う。
夢……このままアルムの夢は叶わないのか? 何か一つでも叶えてやりたい。俺に大魔法使い程の魔力があれば、王子様にでもなってやれるのに。心臓でも血でもいくらでもくれてやる……。
そうだ、血だ……。竜の血なら、何か効果があるかもしれない。俺は指の鱗を噛みちぎって血を垂らした。そして倒れて意識の消えつつあるアルムの口に注いだ。
「ぎゃほっ! ゲホッ! あああうっ」
「うっ、ごくごく……」
アルムはむせかえりながらも血を飲み始めた。そしてすぐに気を失ってしまった。俺は狼狽えた。死んでしまったのかと思った。慌てて顔を近づけると、寝息が聞こえる。胸の膨らみも上下に動いている。俺はアルムの身体にありったけの薬草をかぶせた。そして再び目覚めてくれることを願った。
俺はアルムの顔を見ながら思い出していた。かつて討伐に来た者たち。その中に同じような顔色で死んでいった者がいた。そいつは毒の水を飲んでしまい、体を溶かしながら苦しみ抜いて死んでいった。アルムは疫病ではない。毒の顔色だ、俺は雨の日に水が流れ出していたことを思い出した。それが原因となり、アルムが毒を飲んでしまったのだ。
俺が毒の沼を作った。俺がアルムを苦しめてしまった。自分が腹立たしい。竜である自分に何も出来ないことが辛かった。せめて自分の命を分けてやりたい。
竜は永遠に生きる。その血には生命力そのものが宿っているはずだ。アルムの命は弱く、毒に負けてしまったのだ。命を強くすれば勝てるはず。アルム、負けないでくれ。戦ってくれ、勝ってくれ、お願いだから……行かないでくれ。
次の日、アルムは静かに目を開き笑った。そして俺は安堵して横になり、静かに目を閉じた。
******
その日からアルムの体調は徐々に回復していった。薬草のおかげなのか血の力なのかは分からなかったが、アルムがここに居るだけで満足だった。俺はあの忌々しい雨を何とかしなければならなかった。もう二度と、あんな思いはしたくない。俺はその日から雨の落ちる寝床から洞窟の入り口まで、水が通る道を掘りはじめた。そうすれば毒沼に雨水は入らない、もう外に流れ出ることは無いはずだ。器用ではないが力はある、俺は爪で土を掘り、岩を砕いた。そして余分な土砂を鼻息で吹き飛ばしてゆく。簡単な作業だが、まるで土竜にでもなった気分だった。そして完成する頃には、体中が土まみれになっていしまい、本当に土竜のようになってしまった。
「こんにちは! ラルゴ様……あれっラルゴ様? 居ない! 何なのこの溝……そんなっ!」
「ラルゴ様ーっ、何処に居るの? ラルゴ様ーっ!」
俺はここに居るのに探しまわっている。作った溝を見て俺を土砂の山か何かと勘違いしているようだ。俺はそんなに酷い姿なのか? こうなったら毒沼に入って体を洗えば汚れも溶けて元の姿に戻るだろう。俺は立ち上がり、毒沼へ向かう。
「ひやぁぁっ!」
泥をかぶって悲鳴を上げるアルムを横目に、毒沼へ浸かる。ところが浸かった途端に激痛が走った!
「グギアアッ!」
悲鳴の咆哮を上げながら、無様に沼から逃げ出してしまった。激痛の原因は指にあった。鱗を一枚噛みちぎっていたので、その部分に毒が入ってしまったのだ。これで毒沼には入れなくなってしまったが、アルムが居なくなることに比べれば何の問題もない。俺は何食わぬ顔で元の場所に戻り、アルムがどんな顔をしているか確認した。
「私のせいで……怪我を」
やはり心配顔になっていた。俺は何の問題もないことを示したかった。どうすれば良いかと考えながら周りを見渡してみると、指から剥がした鱗が落ちているのを見つけた。俺は鱗を咥えると、アルムの胸元に差し出してみせた。受け取って貰いたかったのだ。贈り物だと分かってくれたら、怪我は気にしていないと考えてくれるだろう。アルムは両手ですくうように手を前に出してくれた。手のひらの上に鱗をそっと落とす。アルムの目が大きく輝き、笑顔がはじけた。
「うわぁ、綺麗、ありがとうっ!」
「わたし、ラルゴ様に命を貰った! 鱗まで貰った、貰い過ぎだよ、お返し頑張る!」
鱗を両手に握りしめ、跳ねるように喜んでいる。アルムが居ると心が満たされてゆく。アルムは貰い過ぎだと言うが、貰い過ぎているのは俺の方なのだ。
次の日、アルムは奇妙な形の杖をついてやって来た。鱗はペンダントにして首にかけ、腰には美しく光る石まで有る。見た目だけは立派に魔法使いの佇まいとなっている。
「こんにちは、ラルゴ様、今日はお掃除するから、じっとしてて下さいねっ」
そう言うとアルムは背中に登ってきた。何をするのかと首を曲げて見ていると、持ってきた杖をひっくり返し、呪文も唱えずに振り回し始めた。すると背中のあたりに土埃が舞い上がり、くすぐったい様な気持ちいいような、なんとも言えない刺激が来た。
「ラルゴ様は沼に入れないので、私が代わりに綺麗にしますね、はいっコッチの翼を広げて下さい」
何だこの感覚は! 物凄く心地よい。何かの魔法か? 俺は何をされているんだ? そんな事はどうでも良い。とにかく良い。俺は心地よい刺激を堪能しながら、言われるがままに横になったり腹を上にしたりした。見習い魔法使い一人に討伐された気分だ。かなわない。俺はアルムに対して、力以外何も凌駕する物がない。恐るべしアルム……もっとしてくれ……
一通り体を掃除し終わると、アルムは指に近づき、剥がれた鱗の跡を触り始めた。
「痛かったらごめんなさい、ちょっと我慢してね」
そう言うとアルムは腰にあった石を取り外し、鱗の代わりに石をはめ込んだ。
「川で拾った石なんだ、綺麗だったからラルゴ様に似合うと思ったの……良かった、大きさもピッタリ」
ホッとした表情で見つめている。石職人にでも頼んだのだろうか、石には綺麗な穴が開けられ、皮の紐が付いている。それを俺の指に結んで固定していた。
「鱗のお礼、これで一緒だね」
そう言って、アルムは鱗のペンダントを見せてくる。鱗には、石と同じように綺麗な穴が開けられ、革紐が取り付けられている。それはアルムが俺にくれた、一番の宝物となった。
ちょっと長くなってしましたまたが、ここでで読んでくれてありがとうございます。
次も宜しくお願いします。