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#2 異世界じゃ今ニホン人が熱い!(2)

リノン、女神に食ってかかる!

「――ってか、それだったらあーしが実体の中に入ればそのまま復活出来るよな? それならあーしはニホンの方に戻るぞっ」


「残念ですが、アナタがニホンで復活するのは不可能です」


「んでだよ!」


 ヤケクソ気味にキレるあーしに、ファリーリーはその理由を説明してきた。


 一度途切れた霊体と実体は、自分の力だけじゃ再び一つには戻れない事。


 復活に必要となる力、それは神や超自然のエネルギー――よく漫画やゲームに出てくる魔法みたいな力である事。


 ファリーリーは女神だけどニホンで人を復活させるようなデカい力を使うのは、この世に数多く存在する世界間の禁忌タブーに触れちまう事。


 そして重大なのは……。


 こうしてる間にもあーしの実体はその生命維持の為の力を失いつつあり、何処に居るかも分かんねーニホンの神や超自然の力を扱えるヤツを探す余裕なんて無かった事だ……!


「く、くそぉ……」


「完全に死んでしまったとて、魂はこの空間のような『魂の通り道』に当たる場所を巡り巡って、いつかは何処かの世界に転生出来ます。しかしその時にはアナタの今生こんじょうでの記憶や人格は、つゆと消えてしまっているでしょう。本当の意味で別の生を生きる事になる訳です」


「と、当然、肉体だってどんなのになるか分かんないんだよな?」


「はい。男性かもしれませんし、或いはジャングルの王者たるゴリラであるかもしれません」


 そこでピンポイントでゴリラ押してくる必要あるぅ!?


「動物で例えるならせめてネコとか可愛いのにしてくれよっ!」


「私これでも女神ですよ? 確証も無いのに、無闇にアナタに希望を持たせるような無責任発言は出来ませんっ」


 な、なんだよコイツぅ。ただのアホっぽい女神かと思ったら、ここぞという時にはめっちゃ本物の女神的な威厳出してくんじゃんよぉーーー。


 感情任せな反論なんかとてもじゃないけど出来ねぇ……。てかきっとやるだけ無駄だ……。


「なーんでニホン人は文明ばっか育てて、そーゆー不思議パワーはおろそかにしてきたんだぁ?」


「でもだからこそアナタ達は他の世界でもそう見られない、独特な魂の個性を持っているんです。ゲームなどの文化に触れているという下地が有るから、実際に今のような超自然的な事象じしょうが起きても高い順応性を示してくれますし。その上で、文明人的なロジカルな思考も併せ持っています。そんなニホン人は実は多くの世界で重宝されているんですよ」


「……そ、そーなの?」


「はいっ。異世界では今、ニホン人がアツいんです!」


「なるほどな!」


 うん。難しーことは分かんね―けど、そーゆー軽いノリで言われたら、逆にそーなんだなって気になってくるぞっ。


 あーしが色々理解出来た所で、ファリーリーは改まった口調になった。


「私の世界ゼルトユニアは、人が持つ感情の力――テンションの力を尊んでいます」


「テンション、か」


 言い換えればノリ、だよな。そりゃー確かに大事だ、難しいことは抜きにそー思うわ。


「ラクアミ・リノンさん」


「――ん?」


 あーし自分の言葉遣いは悪いって自覚有るけど、でも、相手の言葉が真剣なものかどうかってのはぜってー見逃さねえ。


 ここでのフルネーム呼びは、きっとこれから肝心な話をしたいってことだ。


「アナタは自分が聖女にふさわしくないと言いましたが、私はそうは思いません。アナタから発せられる、時に他者をおおらかに包み、また別の時には強く照らすの光にも似た精神の波長は、きっと多くの人を支えてあげられるでしょう」


「陽の、光ねぇ……アンタにはあーしがそー見えんの?」


「はい。あの老夫婦だってそうだったじゃないですか」


「……」


 あーしはふと実体のあーしを見る。


 とーちゃんかーちゃん、先生とかにもぎゃーぎゃー言われたミルクティーベージュの髪が、こんな夜みてーな空間でだって『負けるかよ』ってキラめこうとしてる。


 本人らを直接見返せねーのは、カッコつかないって思うけど。


 けどだからってさ。


 まだ()()()()()()()()()()で挑戦出来る道が有るのに、世界が違うからなんて理由でそれを捨てちまっていいのか?


 ――違うよな。そんなの、ダセーよな!


「なあファリーリー!」


「はいっ!」


 あーしの声のハリ具合に、このノリの良い女神サマの目が一際らんらんとしやがった。


 もー分かったんだろーな、きっと。けどあーしは自分の言葉でちゃんと言う!


「なってやんよ、そのゼルトユニアで。サイコーにイケてる聖女サマにさっ!!」


 ――#2 おわり!――

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