第十九話
達也と父そして水谷哲也の3人は板造りの粗末な家の前に浮き上がった。
建屋周辺は沼地であろうか水草や空を映した小さな水たまりが各所に点在し廻りは樹海に覆われたまさに隠れ家的雰囲気に満ちた家であった。
「お父さん…えらく粗末な家ですが これがドイツ組の本拠地なのですか」
「そうじゃ、まっ外回りはみすぼらしい造りじゃがこれはカモフラージュよ、中はちゃんとしておる」
父はそう言うとドアの前に立って呼び鈴を押した。
暫くしてドアが開けられ男が一人微笑みながら現れた。
(おや今日は新人さんもお見えのようですね)と思念で語りかける。
達也はドイツ組と言うからにはゲルマン風の顎の張った厳つい男が出てくるものと思っていたが…どう見ても父の顔に髭を付けただけのようにも見える優男であった。
(おおアレックスが出迎えるとは珍しいのぅ、今日は儂の息子を連れてきたのよ、それも喜ばしい情報を携えてな、シュミットはおるかえ)
(今日は若者4人が不在なだけでシュミットはおりますよ さぁ中へどうぞ)
男は言うと3人を建屋内へと案内した。
玄関に入り20歩も歩くとすぐ突き当たりの壁が迫る狭い造作で部屋数はどう見ても四室程度…それも男所帯のせいか各所にゴミや埃が散見された。
父は中はちゃんとしておると言ったが一体どこがと達也は思った、その時案内する男は突き当たりの壁に向かって頓着なく進んでいく。
後ろを歩いていた達也は思わず男を止めようと手が出そうになった、そのとき壁はフッと消え代わりに幅2mほどの下り階段が目の前に現れた。
(達也よ、壁はダミーなんじゃ 驚いたか)
(ほぉ…壁の映像が余りにもリアル!父さんこれはどんな仕掛けなんですか)
達也は階段を降りながら横を歩く父に聞いた。
(うん後で教えてやろう)
階段は踊り場を含め40段ほどを数えたがまだ10段近くもあり相当深い地下室だと達也は感じた。
ようやく地下のフロアへ到達すると長い廊下が走っていた、そして左右5m置きに扉が10扉ほども設えられ達也に巨大な地下空間を想像させた。
男はそのまま歩き突き当たりの大きな観音開きの扉まで行くと扉を開け皆を中へと案内する。
部屋内に入ると照明はまるで昼間の明るさに輝き達也は思わず目を瞑った。
次第にその明るさになれ部屋全体の景色も見えてきた。
この部屋だけでも広さはおよそ100坪余りもあろうか あの沼地の下にこれほどの地下空間を構築するとは…達也は驚きのあまり室内を呆然と見つめた。
(達也、何をボーッとしてるんだ さぁお前の脳に残る記憶を今から記録するからこっちにおいで)
父は達也の肩を叩き胸高の低いパーティションに区切られた通路を歩き出した。
部屋内は幾つものパーティションで区切られていた、そして見たこともない大小の機器が整然と林立するなか およそ10人余りの男らが一様に白衣状の服を着て黙々と実験や試作に取り組んでいる。
父は案内され奥へ歩くと ある機器の前で立ち止まり周囲に視線を走らせた。
(シュミット君 ちょっと手伝ってくれんか)と5m先でデスクワークをしている男を見つけると声をかけた。
(おおドクター五十嵐お久しぶりです、私に何か御用でも)言いながら男は機器の前にやってきた。
(うん、こいつは儂の息子じゃが 脳に残る記憶を見たいんじゃ、記憶映像を採取してくれぬか)
(いいですとも、でっいつ頃の記憶でしょう)
(えーと…日本時間で去年の9月10日午後2時40分前後の記憶じゃ)
(分りました、では…)男は事も無げに言うと達也を見詰めた。
(あっ…五十嵐達也と申します)慌てて達也は返した。
(では達也さん この椅子に座って下さい)
達也は機器前に設えられたメカニカルな椅子を見て首を傾げながら言われるままに座った。
(椅子を倒しますからね、それとチクッとする痛みがありますが我慢して下さいな)
男は優しく言うと背もたれ横のレバーを操作する、背もたれはゆっくり後ろへ倒れていき同時に足掛けが上方にスイングし達也はほぼ水平姿勢となっていく。
水平になった達也の頭をシュミットは微妙に角度調整しベルトで固定した、そして満足げに頷くと機器の操作に移った、達也はチクッとすると言われたことで身が次第に固くなっていく、暫くして小さなモーター音とともに達也の体は機器側へ移動を開始した。
機器には人間の頭がちょうど入るほどの穴が穿たれ、達也の頭はその穴へと誘導されていく。
達也は閉鎖恐怖症ではないが それでも余りにも狭い空間に押し込まれたことで心臓の鼓動が高鳴るのを覚えた。
(さぁちょっと痛いですが絶対に動かないで下さいよ)男は言うとボタンを押した。
穴の奥から「シュッ」という鋭い音が鳴り霧状の何かが頭に吹き付けられた、その噴霧が3回ほど続くと次いでヘルメット状のものが頭に被さった。
「うっ!」達也は思わず声を発した、それは無数の針が頭全体に突き刺さったのだ。
男が言ったとおり痛さはさほどに感じなかった、たぶんミクロンオーダーの極細ニードルであろうか、しかし頭中に針を突き立てられて平常心を保てる程の達也ではない、自分でも手足が無様に震えているのが情けなかった。
「ブーン」と頭を震わす様な振動が伝わってきた、すると次第に意識が霞んでくる、まるで脳みそを吸い取られていくような奇妙な感覚だ、その振動と共に意識も朧になっていった。
瞼を照らす明かりで達也は目覚めた、達也は慌ただしく周囲を見渡し気付くと寝ていた椅子はいつの間にか元に戻され達也はその椅子にちょこんと座っているのだ。
機器の回りには誰もいなかった、達也はキョロキョロ辺りを探す すると父やシュミットらはパーティションの向こうでモニターを取り囲み思念で何やら会話をしている。
達也は慌てて椅子から立ち上がると彼らのいるモニター前へ急いだ、いくら父親とはいえ人の頭の中を本人の了解無しに勝手に見られるのはかなわないと思ったからだ。
達也は彼らの後ろに立つと「お父さん僕に黙って見ないで下さいよぉ」と文句を言う。
「達也か、悪かった お前が目覚めるのを待てなかったのよ、まだ見始めたばかりじゃから勘弁しろ」
そう言うと達也の方に振り返ることもなく一心不乱にモニターを見詰めている。
モニターに映し出された映像はあの日の昼休み早坂教授が持ってきた弁当を食べ終え二人でコーヒーを飲んでいる最中であろうか…早坂教授の笑い顔が大きく映っていた。
「早坂君が笑ったのを見るのは50年ぶりよのぅ…しかしくだらん話しをしおって、シュミット君ちょっと早送りしてくれんか」
言われてシュミットはノートパソコン状の機器を操作しだした。
映像が高速に流れていく、やがてあの混血種集合階層の浮島がモニター一杯に映し出されるとシュミットはモニター速度を元に戻した。
(よし…浮島が見えてきた、シュミット君この映像元の緯経度が割り出せないか)
(はいやってみます)シュミットは別の機器を操作し始める。
映像はようやくあの屋根の場面となった、そしてモニターには行列の一団が映り始めた。
その行列は一様に茶褐色のボロ切れをまとい首枷を嵌められ数珠状に繋がれた一団である。
その数50人ほど…次第に近づき一団の全容が鮮明に映し出された、一団の表情は暗くボロ切れの各所は赤黒く濡れ血液らしきものが地に滴っていた。
数珠繋ぎの中には疲れ果てたのか病人なのか 歩くことも出来ず首枷によって無慈悲に引きずられている者も数人見えた、それらは既に死んでいるのだろう暗褐色に黒ずんだ顔に口からは長い舌をはみ出させていた。
この目を覆いたくなる惨状行列にさすがに父らは一瞬目を背けた。
(何と言うむごいことを…)父は拳を握り譫言のように呟いた。
数珠繋ぎの先頭がようやくモニター中央に近づいた、その時先頭の一人がクローズアップされた、その男は驚いた様に目を見張ってこちらを見ている。
(あっ父です!、父に間違い有りません)達也の横に座る水谷哲也が大きく叫んだ。
(うん、水谷昌明に間違いない…おい!その後ろを歩く男は足立じゃないか…おおやっぱり足立だ)
父は椅子から腰を浮かしモニターを齧り付く様に見始めた。
(ドクター五十嵐 緯経度が判明しました、緯度35度40分52.975秒, 経度139度45分57.902秒、現世で言えば東京駅の真上になります)シュミットは数値を紙に書いて父に渡した。
(達也ようやった これで彼らの居所は知れたも同然、この浮島は真東に時速18.5735kmで動いておるゆえ浮島の現在位置は時間経過を計算すれば容易に割り出せるというものよ、こりゃでかした)
父と水谷哲也は昂奮露わに達也を振り返った。
3人は興奮冷めやらぬままあの白ペンキの日本組が暮らす家へと戻ってきた。
父は着くなり足立雄三をリビングに呼び出し「足立君、君の父親も水谷君の父親と一緒に捕らわれておったぞ、また収容浮島の現在位置も判明した!」と昂奮顔で告げた。
「よし、さっそく救出隊を結成しなけりゃいかんな、そうだ…急襲は若い者4人とドクターは2人でいいか、あとは連絡と補給に3人だな、指揮は大島敏也君の親父さんに頼もう、武器とドクターはドイツ組に借りるとして…こりゃ忙しくなるぞ」父は興奮冷めやらぬままである。
「おっと達也よ、もうそろそろ2時間が経つが帰らんといかんのじゃろう…そう言えば信勝君と親父さんが見えんようじゃが…」
「あの親子ならもう日本に帰りましたが…」足立雄三が事も無げに言う。
「なに!もう帰った、ったく儂に挨拶無しかよ…今夜は盛大に歓送会を催す予定をしとったのに、まっ16年ぶりの再会に儂らなんぞ目に入らぬと言うことかな、達也よ日本に帰ったらちょくちょく彼奴の家に見舞いに行ってくれや…そう長くはないかもしれんがの」
父は一気に昂奮が冷めたのか悲しげな顔で達也を見詰めた。
達也は父に「また来ます」と言い残しハレイワの家を辞してホテルの裏庭に戻ってきた、たった2時間の出来事だったが達也には目まぐるしく驚異的とも言える時間であった。
特にドイツ組の隠れ家地下の壮大な研究施設…彼らは一体何を研究しているのだろう、また脳内の記憶を簡単に取り出せる機器一つを取っても現世には存在しない高度に進んだ技術であろうし その他の想像さえ付かぬ機器群もさぞ超先端の技術で出来たものであろうと思えた。
(今度行ったときじっくりと見せて貰おう、またイタリア組にも一度訪問しなければ…)達也はそう思いながら転位したホテル裏の庭で煙草を1本吸い、心が落ち着いたところでホテル内へと足を運んだ。
ハワイから戻ると翌日からすぐに仕事が始まった、達也は時差ぼけで朝から眠気を噛み殺して仕事を再開していた。
夕方仕事が終わりふと信勝を思い出した、あの日達也にも父にも挨拶無しで日本に帰った彼らの事が気になったのだ。
達也はブラインド越しに暮れなずむ街を見下ろしながら思念で信勝の脳に語りかけた。
(達也です、昨日ハワイから無事帰りましたが…お父さんの具合はどうでしょう)
(おっ達也君か、先日は挨拶無しで帰って申し訳ない、さぞ君の父上は立腹していたんじゃないかな、今度行ったら謝るよ、それと父のことなんだけど…今俺が勤めている病院に入院させた。
しかし病状は末期で余命半年と同僚に言われたよ、折角会えたと言うに悔しい限り…でも同僚に言わせれば数年前に亡くなっていても不思議じゃない体…今までどんな治療を施し延命させたのか是非にも教えて欲しいと懇願されたよ)
信勝の声は聞いていても痛々しく達也は近いうち見舞いに伺うよと言って思念会話を切った。
これで親父さんが亡くなれば信勝は本当に天涯孤独の身になるんだ…そう思うとやりきれなかった。
その後達也は本業の傍ら秋の終わりまでかかり環境関連の特願書類を全て作成し特許庁に委ねた、そして出願から公開までの一年半はとても待てずと10月の末頃より要約書と特許庁から受領した出願番号通知を持って環境関連の大手メーカーを回る営業を開始した。
営業当初はどのメーカーも対応に出た者等は達也の名刺と要約書を見て素人が分かりもしないでといった顔で薄ら笑いを浮かべ面倒そうに聞いていたが…特許請求の範囲・明細書・図面の一部を見せると対応に出た者らの顔色は一変した。
「すぐにも技術部会を招集致しますのでこのままお待ち下さい」と手の平を返したような態度に変わり懇願してきたのだ。
年末には環境技術特許12件を大手8社に売却し終えた、しかし売却益は達也が思ったほどの額には達せず少々ガッカリもした、それでも計画していた新工場借入と設備導入資金それと当座の運転資金にはなり年明けからの設備導入・人材募集に着手でき早ければ5月より新工場が稼働出来ると意気込んだ。
夏からこの4ヶ月間に達也はオワフ島ノースショワに10回以上訪れていた、目的はドイツ組の研究成果を見るためだがその間にイタリア組にも2回ほど訪問した、しかし日本組と同様 技術者の達也にとってイタリア組からは得られるものは何もなかった。
父らはあれから救援隊を組織し混血種集合階層に5度ほど侵攻して水谷哲也と足立雄三の父親2人を攻防の末奪還に成功した、そして脳内に埋め込まれた転位阻止チップを取り外すと現世へ帰還を果たしたのだ。
しかし足立雄三の父は帰還10日後 混血種集合階層での熾烈な労役がたたったのか多臓器不全であっけなくこの世を去った。
この奪還により現時点において上級世界・混血種集合世界に留まる者は皆無となり、この地ノースショワに全員が帰還したことになる。
また奪還を記念して日独伊組は協議を行い今後上級世界への侵入は禁止と決められた、それはあの世界で異境徒が隠れ住むことはこれまでに6人が逮捕抑留されたことから不可能との証明に基づいたものだった。
「お父さん、あの世界は本来私や皆さんが帰る郷里のはずでしょう、上級世界の連邦首脳か関係者に働きかけ永住権の取得は出来ないものでしょうか」
「そんなことはこの16年間 儂やアレックスそしてイタリア組のエンリコがさんざん試した事よ、結果は言わんでも分かるじゃろ、それとあの世界はお前はまだ知らぬだろうが今はそれどころじゃないんだ。
最上級世界を知っておろう その世界が今や環境危機に瀕し上級世界への移住を虎視眈々と狙っておるという話しよ、まっこの話は人伝に聞いた話じゃからあてにはならんがの。
それでも近い将来は環境問題から最上級人類が侵攻してくる可能性は充分に考えられる、そんな時に最下層の現世に生まれた似非上級人の移住などどうして許すものか、論外として捕らわれるのが落ちというものよ」
「そんな事情が有ったのですか…じゃぁ皆さんはあの世界にはもう行かないということですね」
「うん…日本やイタリア組は絶対行かぬじゃろう、しかしドイツ組は行くだろうな、彼らはあの世界の技術は垂涎の的じゃからのぅ、お前も見たであろうあの地下研究施設を…建設計画当時儂らやイタリア組は現世の自然摂理を変えることなく静かに暮らそうと止めたのじゃが彼らは言うことを聞かん、彼らの殆どは機械・電気・電子の技術バカばかりよ、彼等は旧ドイツ帝国の威信を取り戻す魂胆じゃなかろうかのぅ」
「この時代にヒットラーの再来じゃあるまいし…お父さんそれは考えすぎですよ」
「いや彼らを見ていると強ち御伽噺でもないようじゃ、まっヒットラーや世界征服と言うことはあるまいがゲルマン魂と言うか世界の覇者への想いは間違いないところよ」
「そうですか…だからでしょうか最近は私が機器の説明を聞いても以前のように応えてくれないんです、たまに嫌な顔をする時も…」
「その事じゃが先日アレックスから貴殿の御子息の訪問が頻繁すぎると暗に拒絶の連絡が有ったのよ、達也よこれからは控えてくれぬか そうでないともう二度と訪問できなくなるでのぅ」
「やっぱりね…わかりましたそうします、しかし彼らの開発した技術は上級世界の模倣でしょうが彼らなりに改良を加え全く新しい先進的技術に仕上げたものも数多く有りました、技術屋の私から見ても彼らは凄いと感じましたが、彼らは未だこの先進技術を世に出していません…そのストック化は魂胆有ってのことでしょうか」
「そんなことは儂にも分からぬ、彼らの思惑は母国ドイツのためなのか…それとも上級世界への復帰を虎視眈眈と狙っておるのかは当人らに聞いてみんとのぅ」
「でも彼らがストックしている技術を公開し また生産販売したら世界経済の構図は大きく変わるでしょう、世界のGDP順位で今ドイツは4位ですが数年で1位になるでしょう…しかし彼らの意図は全く別なところにある、そんな気がしてなりませんが…」
「何を言うか、そう言うお前も最近何やら企んでおるようじゃのぅ、儂が知らんとでも思うてかアレックスがやたら気にしとったぞ」
「フフフッ バレてましたか、その通り上級世界への夢が潰えた今この能力をお蔵にしまい込んでおくのは勿体ないですからね、この能力を生かし儲けて来年の夏にはワイキキの沖に豪華クルーザーを浮かべることが夢なんです」
「何と小さい夢だこと、お前はちっとも昔と変わらんのぅ…男だったら夢はもっと大きく持たんと、それよりちっとは儲けたら兄さんを援助してやれや、最近は金のことで困窮しとるらしいんじゃ」
「お父さんは兄さんのことも気に掛けて見ているんですか」
「そうよ、お前は放っておいてもその能力で何とでもなろう、しかし兄さんは一般人なんじゃ苦悩はついて回るものよ、そこんとこをお前も考えてやらにゃあのぅ」
「分かりました、これからは気に掛けるようにします、それで父さんはいつ中野に戻るのですか、日を決めて頂けたら私から母さんや兄さんを事前に説得しておきますよ」
「そうよのぅ手ぶらじゃ帰れぬし…今は上級世界で学んだ超先進医療についての論文を纏めておる最中じゃが、それを書き上げたら孝夫が開業した病院に世話になろうかと思っておるんじゃが…孝夫は受け入れてくれるじゃろうか」
「私から何とか兄さんを説得してみます、兄さんには先進医療を学ぶため父さんは外国に行っていたとでも誤魔化します…それでダメなら兄さんの脳をちょっといじりますが」
「お前…まさかシュミットが考案した脳解析メーターをパクったのか」
「はい、彼が試作した例の脳記憶記録計以上のものを考案し図面も引き終わってます、後は国際特許を出すだけですよ」
「シュミットがそれを知ったらさぞ怒るだろうに…お前って奴は」
「彼らが悠長にストックなんかしてるからいけないんです、そんなもん早い者勝ちですよ」
「お前知らぬ間に変わったのぅ」父は先程言った反対のことを言い達也の顔をまじまじと見詰めた。