↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
46/143

第十二章 ② 集結(ティータイム)

 赤煉瓦ベル。


 ティータイムに突入した。

 デザートは鎌倉クルミッ子と鳩サブレ。

 山梨県産・大粒葡萄(ぶどう)(山盛り)だ。


 凛花が食後のコーヒーと紅茶を運んできた。

 どちらも特売のインスタントである。

 黄金龍王一族は揃(そろ)って紅茶を楽しむ。

 所作が優雅だ。仕草まで上品だ。

 優美な絵画のように様(さま)になっている。


 強面(こわもて)乱波(らっぱ)はさすが大人の男!

 ブラックコーヒーをご所望(しょもう)だ。

 熱々のコーヒーカップを手に取る。

 ゴクリッ!

 冷ますことなく飲み込んだ。


 「ヴッ、ヴゔッ? ゔゔゔゔッ!

 熱(あ)ぢッ、熱(あ)ぢぢぢぢッ!」


 一斉(いっせい)に叫んだ。

 どうやら猫舌らしい。


 凛花は慌(あわ)てて水を足す。

 フーッフーッ……、

 息を吹きかけて手で扇ぐ。

 白い湯気を飛ばして冷(さ)ます。


 「はいっ、もう大丈夫!

 どうぞ!」


 乱波はコーヒーカップと凛花の顔を交互に見つめた。

 それからご機嫌に笑い合う。

 五人(五体)は照れくさそうに眉を下げた。


 「では、いただきます」


 ガブッ、ガブッ!

 一気に飲み干した。

 

 「はい、コン太にはこれ! 

 今日はミルク入りだよ」


 「ええっ? 凛花ひどいよ! 

 こんな茶色いコーヒーじゃ嫌だよ! 

 おいらもブラックコーヒーが飲みたいよ!」


 凛花は困り顔をする。


 「うーん……、ごめんね? 

 やっぱり今日はミルク入りにしてくれる? 

 最近のコン太、少し元気がない気がするの。

 だから胃腸を労(いたわ)わったほうがいいのかなって……」


 ノアがくすりと笑う。


 「コン太の場合。

 体調不良の原因は暴飲暴食でしょう? 

 ……だけどそうね。凛花の言う通りね。

 ちょっと体調悪い?」


 コン太は龍眼をキラッキラ輝かせた。


 「ノッ、ノアッ! 

 おいらの身体を心配してくれるのかい? 

 イヒヒッ(照)、嬉しいなあ! 

 じゃあこの際!

 おいら元気だけど元気ないことにしておくよ」


 「もうっ! 相変わらずふざけて……。

 心配して損したわ」


 ノアは唇を尖(とが)らせる。

 プイッ! 横を向いた。

 

 「はい、ミルク入り。どうぞ」


 北欧柄のマグカップを渡す。

 コン太専用・特大サイズである。


 「うーん、じゃあ、ありがと。

 あッ! もしかしてミルクってさあ?

 牛乳じゃなくて小瓶(こびん)の粉(こな)のやつかい?」


 「そうだよ。

 ほんのり甘くて美味しいよね!」


 「へえ? 

 コーヒー用の粉末のミルクって甘いのかい?」 


 「うん。実は大好きなの。

 台所のテーブルの下に潜(もぐ)り込んでこっそり食べたんだ。

 あっ、子供のころの話だよ!」


 「ふうん? 

 隠れて食べるほど美味しいのかい?」


 「すっごく! 

 だけど頬張ったら咳(せ)き込んじゃって。

 床を真っ白にしちゃったの。

 後の掃除が大変だったんだ……」


 「へええっ」


 「母さんとベタベタの床(ゆか)を拭いて片付けたの。

 凛花が全部食べちゃうから隠しておいたのに! 

 って笑ってた」


 ノアは目を丸くする。


 「粉末ミルクだけを食べたの? 全部?」


 「小さいひと瓶くらいなら楽勝だよ!

 だけど今は我慢してる。もう大人だから」


 「凛花は食いしん坊だな」


 「ふふっ、

 だけどコン太にはちょっとだけ負けちゃうかもね?」


 「イヒヒッ! 

 それじゃあ粉末ミルク入りコーヒー! 

 いっただっきまーす!」


 デザートを完食してティータイムは終了だ。

 凛花とノアが大量の食器類を洗う。

 コン太がせっせと皿を拭く。

 そうしてあっという間に片付け終わった。

 

 赤煉瓦ベルは和気あいあい。

 ほのぼのほんわかしている。

 穏やかで柔らかな空気が漂(ただよ)っている。


 しかしこれは。

 嵐の前の静けさ、だろうか…………?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
家族団欒って、幸せな時間ですね。温かさがあって、読んでて和みます。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。