真・摂政戦記 001話 思惟
【筆者からの一言】
人の革新はあり得るのか?
今回の小説はそんなお話。
1941年某月某日 『日本 東京 閑院宮邸』
嵐が来ていた。
窓を大粒の雨が叩き、強風が窓を揺らす。
その様を見ながら閑院宮総長は心のうちで呟いていた。
再び我が敵となるか米国。
だが、日本は勝つ。
たとえ米国であろうと他の如何なる国であろうと日本は勝つ。
それが総長の揺らぐ事のない信念だった。
「威武も屈せず」
如何なる強大な敵にも決して膝を屈する事はない。
それが総長の矜持であった。
アメリカの国力だけを見て全てを見ず、弱点を探そうともせずに、ただ「日本は勝てない」「日本は敗北する」と主張する惰弱で怯懦な者とは総長は考え方が根本的に違う。
あらゆる要素を分析し勝利の方策を見出す。
不利ならば有利にするまで、敵に弱点が無いならつくるまで。それが総長のやり方だ。
どれだけ不利であろうとも、どれだけ敵が強力であろうとも常に勝利を求める。
総長の求めるものは唯一つ。勝利なのだ。
これまでに果てしなく繰り返されてきた転生?憑依?人生において、総長は何度もアメリカと戦ってきた。
時には山本五十六となり、時には伏見宮海軍軍令部総長となり、時には永野修身海軍軍令部総長となった。
そして常に勝利して来た。
今回は四度目となる閑院宮戴仁親王だ。
当然、今回の歴史でも勝ちに行くつもりだ。
それが大量の人の死を招くものだとしても……
だが、総長は思惟する。
今回で閑院宮は四度目だ。ただ、勝つだけでは芸がない。今回はあの説を試してみるか……と。
総長の狙うものとは果たして……
外では嵐が増々その激しさを強めて行く。
【to be continued】
【筆者からの一言】
主人公の事ですからロクな事は考えていません。