西東京大会1回戦VS都立村田高校2
1回裏、相手投手を鑑定したが、気になる投手ではなかった。
山王子高校の攻撃。
1番の小暮君がヒットで出た後に、盗塁をしてノーアウト2塁。
2番の林君がバンドで、ワンアウト3塁。
3番の平野君が、犠牲フライで1点を取る。
練習の成果が出て、きっちり点を取れている。
4番の内海君が倒れたが、1点を取った。
「よしよし、みんな練習通り出来てるよ」
「はい」
大宮監督の言葉に、ナインは力強く返事をした。
2回表、村田高校の攻撃。
「ストライーク、バッターアウト」
「ストライーク、バッターアウト」
「ストライーク、バッターアウト」
この回も1回と同じように、イマキュレートイニングで片付ける。
「おかしい、そんな凄い投手に見えない」
村田高校の監督は、混乱しているようだった。
2回裏も山王子高校は、1点を加え2-0とした、
3回表、村田高校の攻撃。
「ストライーク」
「ストライーク」
「ストライーク、バッターアウト」
1人目を三振に取った。
「ストライーク」
「ファール」
「おお」
ファールで少し観客が沸く。
「ストライーク、バッターアウト」
2人目も三振を取った。連続三振は止まらない。
「ストライーク」
「打ったー」
「おおーーー」
打球はショート正面のゴロ、ワンバウンドで1塁に投げアウトにした。
ショートゴロだったが今日は三振しか見ていない、村田高校の応援団はアウトなのに歓声を起こした。連続三振記録を止めたからだ。連続三振は8で終わった。
その後、山王子高校はさらに追加点を上げ、7回が終了して3-0で山王子高校が勝っている。夜空君は完璧な投球をして、7回まで村田高校を完全試合で抑えている。
8回表、村田高校の攻撃。
「おい、まさか完全試合するんじゃないだろうな」
「村田高校は何をしているんだ」
「1本ぐらいヒットを打て」
この回になるとスタンドは、異様な空気に包まれた。
「ストライーク、バッターアウト」
1人目は三振。
「カキーン」
「ファースト」
2人目はファーストへの、内野ゴロでアウト。
「ストライーク、バッターアウト」
3人目は三振。
8回も内野ゴロと三振に抑えた。
夜空君は体力Aあるので、バテる気配はない。また制球力Aあるので、フォアボールを出す気配もない。
これは完全試合いけるんじゃないか。
8回裏の山王子高校の攻撃は0に終わり、いよいよ9回表、村田高校の攻撃が始まる。
最初の打者に夜空君が、第1球を投げた。
初球は球速120km/hの、ど真ん中にストレート。
「ストライーク」
村田高校のバッターは打てないのでフォワボールを狙おうとしていて、打つ気が見れなかった。それを感じた夜空君は大胆に、ど真ん中にストレートを投げた。
夜空君が第2球を投げた。
2球目は球速70km/hの、真ん中低めにチェンジアップ。
「ストライーク」
ど真ん中でストライクを取られた事に焦ったバッターが、三振にならまいと慌てて振ってタイミングを狂わされ、空振りした。
夜空君が第3球を投げた。
3球目も初球と同じ球速125km/hの、ど真ん中にストレート。
「ストライーク、バッターアウト」
まさかもう1球、それもど真ん中に投げてくるとは思わなかったのだろう。バッターは固まったまま呆然としている。
1人目を三振で片付けた。
この回の2人目のバッターに、夜空君が第1球を投げた。
1球目は球速70km/hの、真ん中低めにチェンジアップ。
「ストライーク」
先ほどのバッターを見て、見逃しだけはやめようと振りに来たところを、チェンジアップでタイミングをずらした。
夜空君が第2球を投げた。
2球目は球速123km/hの、インコース高めのストレート。
「ファール」
球速差が50km/hあったが、どうにか当ててきた。
夜空君が第3球を投げた。
3球目は球速80km/hの、アウトコース高めにスローカーブ。
「ストライーク、バッターアウト」
あり得ないぐらい高い場所から、曲がって落ちてきた。高校生ではスローカーブ5の投手は、まず対戦しないだろう。相手打者も呆然としている。
2人目も三振で片付けた。あと1人で、完全試合だ。
「1本で良いヒットを打ってくれーーー」
村田高校の監督が叫んでいる。
初回はたいしたことない投手や打つのは簡単と言っていたのに、いまは必死に1本のヒットを願っている。
この回の3人目のバッターに、夜空君が第1球を投げた。
初球は球速120km/hの、アウトコース低めにストレート。
「ファール」
制球力Aあるので厳しいコースに投げられるので、そう簡単に前には飛ばない。
夜空君が第2球を投げた。
2球目も球速124km/hの、インコース低めにストレート。
「ファール」
これもインコースの低めの厳しいボール。バッターはよく当てた。
夜空君は2ストライクに追い込んだ。あと1球で完全試合だ。
夜空君が第3球を投げた。
3球目は球速112km/hの、アウトコース低めにボール球のスライダー。
先ほどインコースを攻められたので、少し目付がインコースにあったのだろう。バットの振りが悪い。またストレートを続けていたので、最後もストレートで決めに来ると思っていたのだろう、タイミングも速い。
しかしバッターは、どうにかバットに当てた。
ボールはセカンドの、小暮君の元へ転がった。
小暮君はそのボールをはじいた。
ボールは外野に、転がっていった。
みんな一斉に、電光掲示板を見た。
電光掲示板には、Eのランプが点いていた。
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