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プロ野球スカウトは、鑑定スキル(野球ゲームの能力画面が見えるスキル)で優秀なドラフト選手を発掘する  作者: 犬兎ゆん
球速120キロ台のスロー投手を指名したい

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スカウト会議4 上原の逆襲

 なんで上原さんが取り立ての、ヤクザの事を知っているんだ。


 岡田君の方を見た。岡田君は首を何回も振った。


 どうやら岡田君ではないようだ。疑ってごめんね。


 「上原、それはどう言う事だ。星夜空選手の事を何か知っているのか。知っているなら話してくれ」


 福山GMが上原さんに、続きを話すように促した。


 これはマズい。上原さんより、先に話した方が良い。


 「ここからは私が話します」


 「福山GM、吉田に話させたら肝心なことを言わないかも知れないので、私が話しても良いですか?」


 上原さんが私の話に割って入った。


 「吉田が隠すとは思えんが、ヤクザの件が気になる。コンプライアンスの問題もあるので、上原に先に話してもらう」


 「ヨッシャー」


 上原さんがガッツポーズをした。最近ではコンプライアンスの問題も重要なので、福山GMが気になるらしい。福山GMが言うなら仕方ないので、上原さんの意見に反論する準備はしておこう。


 「私は長谷田学館と都立山王子高校との、練習試合を見に行きました。もし晴宮四十郎選手を見て緒方大成投手の方が良いなら、最初の1位を緒方投手に変えてもらおうと思ったからです。しかし晴宮選手の方が緒方投手より1位に相応しいと思ったので、そのまま帰ろうとしました」


 上原さんは緒方投手を最初の1位で指名し、1本釣りを狙っていたのか。


 「すると吉田が都立山王子高校の投手と何やら話し込んだ後、その選手の家に向かうではないですか。これは後をつけなければならないと、私は吉田の後をつけました」


 上原さん。それはストーカーですよ。何してくれてんだ。


 「星夜空投手だっけか、その選手の家で吉田が出るまで張っていたところ、危ない連中が来ました。借金取りでした。吉田がその連中と話した後に、借金取りは帰って行きました。誰に借りたのか突き止めてやろうと思い、借金取りをつけたところ有名なヤクザの事務所に入っていきました」


 やはり借金取りは、ヤクザの人達でしたか。


 「借金のある人間やヤクザと関わりのある人間を、指名すれば球団に問題が起きるかも知れません。星夜空投手の指名を止めてください」


 「確かに今まで借金する選手や、ヤクザ関係の問題はあったからな」


 千葉の投手が借金をしてシーズン途中で解雇になった(後に警察に捕まった)事や、女性問題を起こした選手が所属する球団に、ヤクザがお金を脅しに来たりなど、昔から借金とヤクザとプロ野球は色々問題があった。


 「星夜空投手が、借金をしたわけではありません。父親が借金をしていました。借金取りも、お金を返せば良いと言っています。彼は球団に入って借金をして、問題を起こす人間ではありません」


 「本人に問題が無いのなら、考える余地はあるか」


 福山GMも、考えてくれようとしている。


 「父親がそんな人間なんだから、息子も碌な人間じゃない。金に汚いに違いない。他の選手の用具を盗んで、フリマサイトで売り捌きますよ」


 プロ野球選手には過去に借金をして他の選手の用具を盗み、それをフリマサイトで売り捌く、球界のルパンと呼ばれる選手がいた。


 父親やそんな選手と、夜空君を同じにされたくない。上原さんが夜空君の何を知っていると言うんだ。勝手なことは言わないで欲しい。


 「夜空君はとても良い子です。子供の頃から父親のせいで、めちゃくちゃ苦労をしました。父親に暴言や暴力を振るわれました。そんな父を持っているせいで、誰も野球に入れてくれませんでした。それでも野球が好きで1人で必死に野球をしていました」


 「子供の頃から色々あったんだな」


 年配の方達が、少し涙ぐんだ。


 「今は母親が病気で彼は母の手術代を稼ぐ為に、必死に野球をしています。その母親の手術代を稼ぐ為に、支配下選手での指名が必要です。どうか支配下選手での指名を、どうか宜しくお願いします」

 

 夜空君の色々な思いを、福山GMにぶつけた。


 「吉田の説明で星夜空投手が、問題を起こす人間ではないと解った」


 福山GMの言葉で、私はほっとして息吐いた。


 「でも、球速125km/hの投手を支配下選手で取っては駄目ですよ。そんな遅い投手なんかプロ野球で、活躍する訳なんてないですよ。小学生や中学生でも今は120km/h台の、ストレートを投げれます」


 上原さんがまた言ってきた。


 「上原さん、球速が120km/h台の投手でも名投手はいました。球速で判断しないでください」


 大阪ブルーローズのOBには、平均球速が120km/h台でありながら、通算150勝以上挙げた名投手がいるし、名古屋の球団にもストレートで120km/h台を投げたことがある投手(普段は130km/h台)が、50歳まで現役をして、通算200勝以上し名球会に入っている。


 「なんやとー、吉田」


 「こんなとこで喧嘩するな。吉田よ。星夜空投手の高校1,2年の成績はどうなっている」


 「星夜空投手は高校1,2年時は今より球速が遅くて、前任の監督がそんな遅い投手なんか使えるかと言って、監督が替わる高校3年まで、球拾いをしていました」


 前任の監督には、見る目がなかった。今の監督は当時はコーチで、監督ではなかった。


 「球拾いを指名って」


 上原さんが笑った。


 「今はエースです」


 「また揉めるな。高校2年まで実績がないんじゃ、判断が出来ない。高校3年のこの夏の成績で、指名するか決めようじゃないか」


 「わかりました」


 まあ、すぐに支配下指名を決めてくれるとは思っていない。


 「同情を誘って指名させようとするなんて汚えな。まあ、せいぜい応援ぐらいはしてやれよ。活躍なんか出来ないから、無駄だけどな」


 「活躍します。星夜空投手に、失礼な事言わないでください」


 「へっ、じゃ活躍したら星夜空投手に謝ってやるよ。でも活躍しなかったら、お前が俺に悪態をついた事を謝れよ」


 「解りました」


 悪態なんかついたっけ。まあいい。上原さん、絶対に謝ってもらうからな。


お読みいただきありがとうございました。


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