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七禍島、鳳恭介の帰還 ―七つの禍に選ばれた死者と、遺体なき兄の謎―  作者: 綾見 恋太郎


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第一章 七禍島へ帰る男

 海は、夜になると名前を失う。

 昼の海なら、人はそこに色を与えられる。青い海。鉛色の海。白く泡立つ海。凪いだ海。荒れた海。どんなに広くても、どんなに深くても、光の下にあるかぎり、人間はどうにかそれを言葉の中へ閉じ込めようとする。

 だが、夜の海は違う。

 小型船の船底が波を叩くたび、黒い水面が低く鳴った。音だけが近い。視界にあるのは、船首についた白い灯と、操舵室の計器の淡い光だけだった。右も左も、前も後ろも、同じ黒に沈んでいる。海面と空の境目は消え、水平線は見えず、方角というものは人間の記憶からそっと抜き取られていた。

 真壁彰は、船尾寄りの手すりに片手を置いたまま、その黒を見ていた。

 四月の夜にしては風が冷たい。

 潮を含んだ風が、コートの襟の内側まで入り込んでくる。船がうねりを越えるたび、足元がわずかに浮き、次の瞬間には沈んだ。船室の中では、何人かが黙り込んでいる。船に慣れていない者は、会話よりも胃を抑えることに集中していた。

 真壁は、船酔いをする方ではない。

 だが今夜は、胃の奥に小さな石を呑み込んだような重さがあった。

 理由はわかっていた。

 資料が、よくできすぎていたからだ。

 警視庁刑事部捜査一課の警部補として、真壁はそれなりに多くの事件資料を見てきた。現場写真、検視記録、関係者の供述、時系列表、報告書。急いで作られた資料には、急ぎの匂いがある。責任を避けるために作られた資料には、責任から逃げようとする手つきが残る。現場を見ている人間が書いたものと、現場を見たくない人間がまとめたものは、紙の上でも違った顔をする。

 七禍島事件の資料は、後者だった。

 整っている。

 整っているが、正確ではない。

 二十一年前、長崎県沖の孤島・七禍島で、七人が死亡した。

 海禍。

 火禍。

 土禍。

 風禍。

 鏡禍。

 音禍。

 血禍。

 島に古くから伝わる七つの災厄になぞらえるように、七人はそれぞれ異なる場所で発見された。海蝕洞、祠、旧祭壇棟、風洞回廊、鏡廊下、鐘楼、そして血禍の間。

 当時、島側は七禍祭に絡む事故の連鎖だと説明した。地元警察もその線で処理を進めた。いくつかの不審点は残ったが、島は閉じ、関係者は口を噤み、事件はいつしか「七禍島の惨劇」という名だけを残した。

 今年、その島の観光開発計画が動き出した。

 未整理の死亡記録。

 遺族への説明。

 島外メディアへの対応。

 過去事件を観光資源として利用することへの批判。

 そうした火種を処理するため、警察側にも協力要請が来た。地元県警が主であるとはいえ、二十一年前の資料の一部に警視庁関係者の照会記録が残っていたこと、そして近年の未解決事件データベース再確認の流れもあり、真壁たちが現地入りすることになった。

 表向きは、再調査協力。

 実際には、揉める前に火種を見てこい、ということだ。

 だが真壁には、火種という言葉では足りない気がしていた。

 二十一年前の資料には、死者が七人いた。

 それ自体は記録上の事実だ。

 だが、誰が七人目だったのか。

 誰を七人目として数えたのか。

 その一点だけが、資料の中で妙に白かった。

 書かれていないのではない。

 書かれすぎているから、白く見える。

 死者の名前はある。発見場所もある。七禍との対応もある。だが、なぜその人物がその場所で、その禍として扱われたのか。その説明だけが薄い。

 死んだ人間を確認した資料ではない。

 死者の名前を置くための資料。

 真壁には、そう見えた。

「こういう海、嫌いなんだよな」

 背後から声がした。

 真壁は振り返らずに答えた。

「船酔いか」

「違う。俺、そういう繊細なタイプに見える?」

「見えない」

「即答やめろよ」

 二階堂壮也は、船室から出てくるなり、風に乱れた金髪を片手で押さえた。紫がかった目が、暗い海を一瞥する。柔らかい顔をしているが、目は笑っていない。薄手のコートの前をきっちり合わせているところを見ると、寒さを気にしていないふりをしているだけらしい。

 警視庁総務部広報課所属。階級は真壁と同じ警部補。

 ただし、二階堂は刑事ではない。彼の領分は、事件をどう社会へ出すかだった。報道対応。発表順序。会見文。質疑想定。世論の受け止め方。現場で証拠を拾う真壁とは、事件への入り口が違う。

 違うからこそ、同じものを見ていても別の異物に気づく。

 二階堂は手すりに肘を置き、海ではなく、船室の窓に映った人影を見た。

「海ってさ、境目がなくなるだろ」

「何の」

「全部の。陸と水。音の出どころ。人の距離。こう暗いと、誰がどこにいるのかも曖昧になる。嫌じゃない?」

「お前は、もっと曖昧なものを平気で扱ってるだろ」

「言葉は曖昧でも、順番がある。海には順番がない」

 真壁は、少しだけ横目で二階堂を見た。

「珍しくまともなことを言うな」

「俺はいつもまともだよ。真壁が俺の良さを雑に扱ってるだけ」

「良さ?」

「そこ聞き返すところじゃない」

 二階堂は軽く笑ったが、すぐに表情を戻した。

 船室の奥では、九条雅紀が膝の上に資料を広げていた。

 白い髪。赤みを帯びた目。肌の白さは船室の蛍光灯の下でさらに目立つ。細身で長身だが、姿勢に無駄な力がない。船の揺れに抗わず、揺れそのものを存在しないものとして扱っているようだった。

 大学医学部法医学教室所属の法医学者。

 警察内部の人間ではない。だが、重大案件や継続案件では、司法解剖、検案協力、鑑定意見照会という形で事件の中心に触れる。

 九条はページをめくる速度が遅い。

 遅いが、読み飛ばしてはいない。一行ごとに、そこに書かれていないものを拾っているようだった。

 二階堂が声をかけた。

「九条、まだ読んでるの」

 九条は顔を上げずに答えた。

「読んでる」

「それ、もう三周目じゃない?」

「四周目」

「そんなに面白い?」

「面白くはない」

「じゃあ怖い?」

「気持ち悪い」

 二階堂が真壁を見た。

「ほら」

「ほら、じゃない」

 真壁は船室へ戻り、九条の向かいに腰を下ろした。船が大きく揺れ、資料の端が浮く。九条は左手で紙を押さえた。左手薬指の第二関節あたりにある小さなホクロが、紙の白さの上で一瞬だけ見えた。

「何が気持ち悪い」

 真壁が訊く。

 九条は、資料のうち一枚を持ち上げた。二十一年前の七禍島事件の概要。島側が保存していた発見場所一覧と、当時の簡易検案記録の写しをまとめたものだった。

「死体の説明じゃない」

「何が」

「この資料」

 九条は紙面を指で軽く叩いた。

「死因より、場所の説明が詳しい。損傷より、見つかり方の説明が詳しい。誰が、どこで、どちら向きに、どの禍として発見されたか。そこはすごく丁寧。でも、医学的な記録は薄い」

 二階堂が隣から覗き込む。

「古い事件だからじゃないの?」

「それもある。でも古いから薄いんじゃなくて、薄くしてある感じがする」

「意図的に?」

「たぶん」

 九条は、何でもないことのように言った。

「死因を知りたい人の資料じゃない。死体を配置として見たい人の資料」

 配置。

 真壁はその言葉を、頭の中で反芻した。

 海禍は海蝕洞。

 火禍は祠。

 土禍は旧祭壇棟。

 風禍は風洞回廊。

 鏡禍は鏡廊下。

 音禍は鐘楼。

 血禍は血禍の間。

 七つの死体は、島と館の上に、点のように置かれていた。

 散らばっているようで、散らばり方に意味がありすぎる。自然に人が死んだ結果というより、誰かが物語の章題を並べたようだった。

「二十一年前の事件は、事故として処理されたんだよな」

 二階堂が言った。

 真壁は頷いた。

「一応な。全員が事故扱いというわけじゃない。いくつかは不審死扱いのまま、捜査継続になっていた」

「でも世間的には“七禍祭の惨劇”で固まってる」

「そうだ」

「その固まり方が気持ち悪いんだよな」

 二階堂は、資料の見出しを指差した。

 ――七人は禍に選ばれた。

「この言葉、強すぎる。新聞記事にも、島の保存会資料にも、開発会社のパンフにも出てくる。普通、二十一年前の事件にまつわる言葉って、媒体ごとに少しずつズレるんだよ。けどこれはズレてない。誰かが最初に置いた言葉を、みんなで使い回してる」

「誰が置いたか、だな」

 真壁が言うと、二階堂は軽く口角を上げた。

「そう。誰が最初に言ったか。こういうの、わりと大事」

 九条が資料をめくった。

「七人は禍に選ばれた」

 その声は淡々としていたが、船室の空気がわずかに低くなる。

「死者の数が先にあったみたいに聞こえる」

「七禍だから七人」

 二階堂が言う。

「でも実際は、七人死んだから七禍になぞらえたのかもしれない」

「逆かもしれない」

 九条は言った。

 真壁は、九条の顔を見た。

「逆?」

「七つにするために、誰かを死者にした」

 沈黙が落ちた。

 船底を叩く波の音だけが続いた。

 二階堂が、少しだけ肩をすくめる。

「到着前から物騒すぎない?」

「まだ可能性の話」

「九条の可能性って、だいたい嫌な方向に当たるんだよな」

「当てようとしてるわけじゃない」

「そこが一番嫌なんだよ」

 その時、船室の前方から低い声がした。

「七つにするために死者を選ぶ。建築でも、似たことがあります」

 三人がそちらを見た。

 窓際の席に、一人の男が座っていた。

 二十九歳。黒に近いグレーのコートを着て、膝の上に折り畳んだ図面を置いている。髪は柔らかく整えられ、顔立ちは穏やかだった。研究職に特有の、物音を立てずに思考を進める静けさがある。

 ただ、目が違った。

 男は、島ではなく、島に並ぶ灯の間隔を見ていた。人が住む灯りとしてではなく、構造物に付随する配置として見ている。

 視線が、人間を通り越して建物へ向かっている。

 二階堂が先に声を上げた。

「あれ。鳳先生じゃないですか」

 男――鳳恭介は、窓から視線を戻した。

「二階堂さん」

「今度は塔じゃなくて島ですか」

「できれば、もう事件現場でお会いしたくはなかったんですが」

「それ、こっちの台詞ですよ」

 二階堂は笑った。

 真壁は、鳳を見た。

 鳳恭介。

 東都医科総合大学、工学部建築学科准教授。年齢は真壁たちと同じ二十九歳。九条と同じ大学に所属しているが、医学部と工学部では学部棟も生活圏も違う。互いに名前だけを知っていた程度だったという。

 真壁たちが初めて鳳と関わったのは、以前の「十二灯館」事件だった。

 塔の構造が事件の鍵を握っていたあの事件で、鳳は建物を見る人間として、真壁たちと同じ場所に立った。穏やかな顔で危険なことを言い、静かな声で逃げ道を潰し、誰よりも先に建物の嘘を読んだ。

 以来、真壁は鳳の視線をある程度信用している。

 ただし、本人の安全判断だけは信用していない。

「鳳さんも呼ばれていたのか」

 真壁が訊くと、鳳は頷いた。

「ええ。七禍館の構造調査という名目で。開発会社からの依頼です」

「開発会社が、事件関係者を呼ぶのか」

「僕は、事件関係者ではありません」

 鳳は穏やかに言った。

「ということに、なっています」

 二階堂の目が細くなった。

「含みますね」

「含まざるを得ません。僕の名前より先に、兄の名前がこの島に来ていますから」

 真壁は、鳳の膝に置かれた図面を見た。

 島の地図と、七禍館の配置図らしきもの。いくつもの線が書き込まれている。赤、青、黒。動線、標高差、増築部分。初見の者が暇つぶしに眺めるような書き込みではない。

 九条が資料から顔を上げた。

「鳳悠一」

 鳳の指が、図面の端で止まった。

「はい。兄です」

「二十一年前の血禍の死者」

「資料の上では」

「遺体は」

「見つかっていません」

 鳳の声は変わらなかった。

 だが、船室の窓に映るその横顔が、さっきより少しだけ遠く見えた。

「僕はこの島に来るのは初めてです」

 鳳は言った。

「でも、兄の名前は二十一年前からここにあります。血禍の死者として」

「お兄様は亡くなられたんですか」

 九条が訊いた。

 二階堂がちらりと九条を見る。

 九条は、こういうことを躊躇わない。無神経なのではない。必要なことを必要な場所に置く。その置き方が、時々人間には冷たく見えるだけだ。

 鳳は、少しだけ口元を緩めた。

「わかりません」

「わからない?」

「はい。死んだ証明も、生きている証明もない。残っているのは、血禍という名前と、兄の名が書かれた資料だけです」

 九条は少し黙った。

「遺体がないことは、死んだ証明じゃない。生きている証明にもならない」

「ええ」

「ただ、誰かが確認を避けた跡にはなる」

 鳳は、初めて九条をまっすぐ見た。

 二人の視線が短く交わる。

 死体を見る人間と、建物を見る人間。

 どちらも、残されたものから失われたものを読む。

 似ているようで、決定的に違う。

 九条は死体があれば強い。

 鳳は死体がないから、この島へ来た。

「海から見ると、七つには見えません」

 鳳が窓の外へ視線を戻した。

 真壁も海を見る。

 黒い海の上に、さらに濃い黒が浮かび始めていた。最初は雲かと思ったが、波に合わせて動かない。島だ。輪郭は低く、中央だけがわずかに盛り上がっている。その高みに、小さな灯が並んでいた。

 七つではない。

 もっと多い。

 あるいは、少ない。

 波に揺れる反射のせいで、数は一定しなかった。

「七禍館の灯のことです」

 鳳は言った。

「資料では、七つの禍に対応する七つの灯が保存されていると書かれています。でも、海から見ると灯は七つに見えない。灯そのものより、反射と周囲の補助灯が混ざるからです」

 二階堂が腕を組む。

「それって問題?」

「記憶には残ります」

「記憶?」

「人は、夜の建物を正確には覚えません。窓がいくつあったか、壁がどこで折れていたかより、どこが光っていたかを覚える。七つの灯を見た、と証言した人がいたとしても、それが本当に七つだったかは別です」

 鳳の声は柔らかい。

 だが、言っている内容は柔らかくなかった。

「海面に映ったものも、補助灯も、船の灯も、人の記憶では混ざります」

 二階堂が小さく息を吐いた。

「いいですね。到着前から嫌な話が増えてきた」

「すみません。建築の人間は、こういう見え方が気になってしまうので」

「建築の人間って、みんなそうなんですか」

「人によります」

「鳳さんは?」

「僕は、隠し方を見るのが好きです」

 その一言に、真壁はわずかに反応した。

「隠し方?」

「はい。建物は、何かを隠すときに癖が出ます。壁の厚み、廊下の曲がり方、窓の位置、床の高さ。隠すつもりで作られたものと、結果的に隠れてしまったものは違う」

 九条が言った。

「死体も似ている」

 二階堂が九条を見る。

「似てるの?」

「隠そうとした損傷と、結果的に見えなくなった損傷は違う」

 鳳は九条を見た。

「建物は嘘をつきます」

「死体は嘘をつかない」

 九条は即座に返した。

「でも、置き方で嘘をつかされる」

 鳳は少しだけ笑った。

「その点は、似ていますね」

 二階堂が小さく手を叩くふりをした。

「真壁、やばいよ。今回も九条と同じ方向に嫌な人が増えた」

「俺に言うな」

「真壁はこういう人を拾ってくる係でしょ」

「拾ってない」

「鳳さんは拾ったんじゃなくて、自分で来た」

 九条が言うと、二階堂は呆れたように笑った。

「九条、そういう補足が一番怖いんだって」

 船がさらに島へ近づいた。

 黒い輪郭が、少しずつ形を持ちはじめる。断崖。低い集落。小さな港。港から坂道が上がり、その先に、海へ突き出すような高台がある。

 そこに建っているのが、七禍館だった。

 最初に見えたのは、屋根の線だった。

 尖った屋根。低い屋根。後から継ぎ足したような平たい屋根。鐘楼らしい高い塔。灯が点るガラス張りの回廊。断崖に沿って伸びる外壁。その下には、暗い海が打ち寄せている。

 美しい建物とは言えない。

 だが、目を引く。

 正面から見れば古い洋館風にも見える。だが、少し角度が変わると、神社の拝殿のような部分、蔵のような部分、近代的なガラス回廊、鉄骨補強の入った外壁が重なって見えた。

 統一されていない。

 統一されていないものを、無理やり一つの物語として見せようとしている。

 真壁はそう思った。

「継ぎ足しが多いな」

 真壁が言うと、鳳が頷いた。

「ええ。かなり」

「どこが古い」

「おそらく中央の祭壇棟が最古です。そこに宿泊棟、迎賓棟、鐘楼、鏡廊下、風洞回廊、海側の展望部が順に足されている」

 二階堂が眉を上げた。

「見ただけで?」

「だいたいは。屋根勾配と壁材と窓の高さが違います。あと、海側の回廊だけ床線が低い」

「床線?」

「床の高さです。たぶん二センチから四センチ程度、海側へ下がっている。古い基礎に後から接続したのでしょう」

 真壁は館を見直した。

 言われてみれば、ガラス回廊の下端が本館の窓台とわずかに合っていない。だが船上から、それを見てすぐ判断できるものなのか。

 鳳の声は穏やかだった。

 穏やかすぎるほどに。

「七禍館は、外から見られることを意識しています」

「観光開発のために?」

 二階堂が訊く。

「それ以前からです。灯の配置が、内側の生活に対して不自然です。あれは住む人のための灯ではなく、見る人のための灯です」

「つまり」

「この館は、昔から誰かに見せるための建物だった」

 船が大きく揺れた。

 窓の向こうで、七禍館の灯が海面に映る。実物の灯と反射の灯が重なり、数が曖昧になる。

 七つに見える瞬間があった。

 次には、十にも十二にも見えた。

 九条が静かに言った。

「海は名を呑む」

 真壁は九条を見た。

「何だ」

「資料にあった歌」

 九条は紙をめくり、そこに印刷された古い木札の写真を示した。

 一つ、海は名を呑む。

 二つ、火は顔を奪う。

 三つ、土は声を塞ぐ。

 四つ、風は影を吊る。

 五つ、鏡は罪を返す。

 六つ、音は時を狂わす。

 七つ、血は死者を選ぶ。

 二階堂が、その文面を眺める。

「よくできてるよな」

「何が」

「見立て殺人の予告みたいで」

「実際、二十一年前はそう見られた」

 真壁が言う。

「そう見られた、ね」

 二階堂は、歌の最後の一行を指で叩いた。

「七つ、血は死者を選ぶ。この言い方が一番嫌だな」

「なぜ」

「死者が選ばれるって、普通は神様とか呪いの話だろ。でも事件の資料でこれを何度も見せられると、別の意味に見えてくる」

 九条が言った。

「誰を死者にするか選ぶ」

「そう」

 二階堂は頷いた。

「死んだ人間を確認するんじゃない。誰を死者として扱うかを決める。そういう匂いがする」

 鳳の指が、膝の上の図面を一度だけ押さえた。

 真壁は、その動きを見た。

「鳳さん」

「はい」

「あなたのお兄さんは、その血禍の死者として記録されている」

「そうです」

「それを、あなたは信じていない」

 鳳は、すぐには答えなかった。

 視線だけが、島の灯から真壁へ戻る。

「信じる、信じないの問題ではありません」

 声は静かだった。

「兄が死んだというなら、死んだ場所があるはずです。死んだ時刻があるはずです。死因があるはずです。遺体がないとしても、遺体がない理由があるはずです」

「資料には?」

「名前だけがあります」

 鳳は窓の外を向いた。

 七禍館の灯が、また海面に揺れた。

「兄は、血禍ではありません。鳳悠一です」

 その声は、大きくはなかった。

 だが船室の誰かが、ふと会話を止めた。

 真壁は思った。

 この男は、怒っている。

 怒鳴らないだけだ。

 怒りを言葉にすれば自分が壊れることを、知っている人間の声だった。

 船が港へ向かって速度を落とした。エンジン音が低くなり、波の音が近くなる。港には数人の人影が立っている。明かりは少ない。観光開発が進む島というより、まだ外部の目を拒む漁村に見えた。

 港の奥の坂道に、黒い車が二台停まっている。

 そのさらに上。

 七禍館が、島を見下ろしていた。

 海側に顔を向けた館。

 島側に背を向けた館。

 いや、と真壁は思った。

 背を向けているのではない。

 顔が二つあるのだ。

 島民に向ける顔と、外から来る者に向ける顔。

 どちらが本当の正面なのかは、まだわからない。

 船が岸壁へ近づくと、ロープを持った男が一歩前へ出た。

 四十代半ばほど。日に焼けた肌に、海風で荒れた手。作業着の上に古い防寒着を羽織っている。資料にあった写真と一致する。

 灯村要。

 この島と本土を結ぶ船の管理者であり、七禍館の物資搬入にも関わっている男だ。

 灯村はロープを受け取り、無言で係留柱に巻きつけた。その手つきは慣れている。だが、目だけは乗客の顔を順に確認していた。

 地元県警の担当者。

 開発会社の関係者。

 島の保存会の老人。

 真壁。

 二階堂。

 九条。

 そして、鳳。

 鳳の顔を見た時、灯村の表情がわずかに変わった。

 恐れではない。

 嫌悪でもない。

 もっと複雑なものだった。見たくないものを見た時の顔。

「鳳恭介さん、ですね」

 灯村が低く言った。

 鳳は穏やかに頭を下げた。

「はい」

「帰ってきたんですか」

 その言葉に、周囲の空気がわずかに変わった。

 鳳は少しだけ首を傾げる。

「僕は、この島には初めて来ます」

 灯村は、薄く笑った。

「そういうことに、なってるんですか」

 真壁は二人の間に視線を置いた。

 鳳の表情は変わらない。

 だが、右手の指先が図面ケースの端を一度だけ押さえた。苛立ちではない。緊張でもない。言葉を選ぶための微かな停止。

「灯村さん」

 坂道の上から女の声がした。

 三十代後半。黒いスーツに、落ち着いた色のストール。長い髪を後ろでまとめている。顔立ちは整っているが、目元に疲れがある。表情の作り方が丁寧すぎる。

「お客様に失礼です」

 灯村は肩をすくめ、ロープの端を処理した。

「失礼しました」

 声には謝意がなかった。

 女は岸壁まで降りてきて、真壁たちに向き直る。

「七禍館管理人の鷺宮依子です。本日は遠いところをお越しいただき、ありがとうございます」

 声は柔らかい。

 柔らかいが、隙がない。

「県警の方々はすでに館へお入りです。皆さまにも、まずは七禍館へご案内いたします」

 二階堂が笑顔で応じた。

「よろしくお願いします。警視庁の二階堂です。今回は広報調整と資料確認の補助という形で」

「承知しております」

 鷺宮は、二階堂の言葉を最後まで聞く前に頷いた。

 その反応を、二階堂が見逃すはずはなかった。顔には出さない。だが目が少しだけ細くなる。

 真壁も名乗り、九条も短く自己紹介した。九条の所属を聞いた時、鷺宮は一瞬だけ視線を動かした。医師を見る目ではなく、死体を読む人間を見る目だった。

 鳳が名乗ると、鷺宮は丁寧に礼をした。

「鳳先生も、ようこそ」

「先生はやめてください」

「島では、先生と呼ぶ方が多いと思います」

「僕はまだ、それほど偉くありません」

「二十一年前から、お名前は残っていますので」

 鳳は、今度は笑わなかった。

 真壁は、二人のやり取りを記憶に置いた。

 二十一年前から名前が残っている。

 鳳は二十九歳だ。二十一年前なら八歳。事件に正式な関係者として関わるには幼すぎる。だが資料には確かに、鳳恭介という名前も出ていた。

 ただし、それは本人の正式な証言ではない。

 七禍館の構造に疑義を呈した「鳳家の少年」として。

 地元旧家の遠縁。建築家の父を持つ少年。七禍館の図面を見て、現場配置の不自然さを指摘したが、子どもの発言として退けられた。

 その少年が、今ここにいる。

 建築学者として。

 鷺宮は坂道を示した。

「車で上がります。夜道は足元が悪いので、お気をつけください」

 港から七禍館までは、曲がりくねった坂道が続いていた。

 車に乗るほどの距離ではないようにも見えたが、実際に乗ると、道の険しさがわかった。石垣の間を縫う細い道。ところどころに古い祠。崩れかけた階段。海へ落ちるような急斜面。闇の中に、島の家々の小さな窓が沈んでいる。

 車内では、誰も多くを話さなかった。

 運転席には灯村。助手席に鷺宮。後部座席に真壁、九条、二階堂。鳳はもう一台の車に乗るよう促されたが、二階堂がさらりと言った。

「鳳先生、こっちでもいいですか。館のこと、少し聞きたいので」

 鷺宮は一瞬だけ迷ったが、拒まなかった。

 鳳は二階堂の隣に座った。

 車が坂を上る。

 途中、七禍館の灯が見え隠れする。角度が変わるたび、館の形が変わる。海側からは洋館に見えた建物が、島側からはまるで別の顔をしていた。低い石塀。古い門。木造の庇。神社とも寺ともつかない祭祀施設のような重さがある。

「正面が二つあるな」

 真壁が呟くと、鳳が頷いた。

「おそらく、本来の正面はこちらです。島側。海側は後から作られた顔でしょう」

 二階堂が言う。

「外向けの顔」

「はい」

 鳳は窓の外を見た。

「人を迎えるための正面と、人に見せるための正面は違います。七禍館は、その差が大きい」

「それ、事件に関係あると思います?」

 二階堂の問いに、鳳はすぐには答えなかった。

 窓の外で、黒い木々が流れていく。枝の隙間から、館の灯が見えた。七つの灯のはずなのに、斜面や窓や反射のせいで、数は一定しない。

「二十一年前の発見場所が、海側から見た配置を基準に語られているなら、関係します」

「島側から見たら違う?」

「違います。建物は見る方向で、意味が変わる」

 九条が静かに言った。

「死体も、見る順番で意味が変わる」

 二階堂が小さく笑った。

「やっぱり似てる」

「似てない」

 九条はすぐに返した。

 車が門をくぐった。

 七禍館が、目の前に迫る。

 近くで見ると、館は想像以上に大きかった。中央に古い祭壇棟。その右手に宿泊棟。左手に迎賓棟。奥に鐘楼が高く立ち、その横にガラス張りの回廊が海へ伸びている。さらに、海風を逃がすための細い風洞回廊が、建物の間を斜めに貫いていた。

 統一性はない。

 だが、無秩序でもない。

 どこかに、歪んだ規則がある。

 車を降りると、潮の匂いに混じって、湿った石と古い木の匂いがした。館の入口には、大きな木札が掲げられている。

 そこには、船で見た歌が刻まれていた。

 一つ、海は名を呑む。

 二つ、火は顔を奪う。

 三つ、土は声を塞ぐ。

 四つ、風は影を吊る。

 五つ、鏡は罪を返す。

 六つ、音は時を狂わす。

 七つ、血は死者を選ぶ。

 木札の文字は古い。

 だが、すべてが古いわけではなかった。

 真壁は、文字の溝に目を凝らした。いくつかの文字だけ、彫りの深さが違う。補修されたのか、後から彫り直されたのか。

 鳳も同じところを見ていた。

「気づきましたか」

 真壁が言うと、鳳は頷いた。

「ええ」

「どこだ」

「血、死者、選ぶ。この三つの文字だけ、彫り直されています」

 二階堂が木札を見上げた。

「一番嫌なところだけじゃん」

 九条は黙っていた。

 ただ、その目は木札ではなく、館の入口の暗がりを見ている。

 鷺宮が扉の前に立った。

「どうぞ。七禍館へ」

 扉が開く。

 中から、冷たい空気が流れ出した。

 潮でも、木でも、古い布でもない。

 もっと沈んだ匂い。

 閉じた建物が、長い時間をかけて抱え込んだ湿気と、埃と、人の気配。

 真壁は一歩、中へ入った。

 足音が、広い玄関ホールに響いた。

 天井は高く、壁には古い照明が並んでいる。床は黒く磨かれた石。奥には二階へ続く階段があり、その踊り場に大きな鏡が掛けられていた。鏡面は曇っていて、入ってきた者の姿を正確には映さない。

 真壁の背後で、扉が閉じた。

 外の波音が、一段遠くなる。

 代わりに、館の内側の音が近づいた。

 木が軋む音。

 風が細い廊下を通る音。

 どこかで水が落ちる音。

 そして、人が息をひそめているような沈黙。

「ようこそ」

 鷺宮が言った。

「ここが、七禍館です」

 その声は丁寧だった。

 だが真壁には、別の言葉のように聞こえた。

 ここが、二十一年前に七人の名前を置いた場所です。

 玄関ホールには、すでに何人かが集まっていた。

 開発会社の黒羽宗一郎。高価そうなスーツを着た五十代の男で、表情には不満を隠す気配もなかった。保存会の古賀清澄。白髪の老人で、背筋だけは妙に伸びている。映像作家の久世玲央。カメラバッグを肩にかけ、館の壁や照明を職業的な目で追っていた。

 そして、赤いストールを巻いた若い女が一人。

 二十代後半ほど。黒髪を低い位置で結び、やや伏し目がちに立っている。顔立ちは整っているが、どこか疲れていた。誰とも積極的に目を合わせない。だが、鳳が入ってきた瞬間だけ、ほんのわずかに顔を上げた。

 真壁はその動きを見た。

 女はすぐに視線を逸らした。

「火野朱里さんです」

 鷺宮が紹介した。

「二十一年前の火禍で亡くなられた火野千景さんのご遺族です」

 火野朱里は、小さく頭を下げた。

「よろしくお願いします」

 声は細い。

 だが、不思議とよく通った。

 二階堂が柔らかく会釈する。

「二階堂です。今回は、できるだけ余計な騒ぎにしないよう動きます」

 朱里は、少しだけ笑った。

「騒ぎにならないと、何も見てもらえないこともあります」

 二階堂の笑顔が、わずかに止まった。

「そうですね。でも、騒ぎになった時に最初についた名前は、なかなか剥がれません」

「剥がしたい名前がある人には、必要かもしれません」

 その言葉に、鳳が朱里を見た。

 朱里はもう、鳳を見ていなかった。

 真壁は、その短いやり取りを記憶に入れた。

 この島の人間は、名前の話になると目を逸らす。

 名前が残っているからではない。

 名前が間違った場所に残っているからだ。

 県警の佐伯警部補が近づいてきた。四十代前半。実直そうな顔つきの男で、疲れを隠していない。

「真壁さんですね。地元県警の佐伯です。遠いところをすみません」

「こちらこそ。状況は」

「開発会社、保存会、遺族側で話が噛み合っていません。二十一年前の資料も確認中です。ただ……」

「ただ?」

 佐伯は、玄関ホールの奥へ視線をやった。

「七禍館の中に入ってから、皆さん少し様子がおかしい。まあ、無理もありませんが」

 二階堂が軽く言った。

「この木札を見せられたら、誰でも多少は演出に乗りますよ」

 古賀清澄が、鋭く二階堂を見た。

「演出とは何だ」

 二階堂は、すぐに笑顔を作った。

「失礼しました。言葉を選びます」

「七禍は演出ではない。島の記憶だ」

「記憶には、誰かの編集が入ります」

「若い者が知った口を」

「若さは関係ありません。最初に置いた言葉を誰が繰り返しているか。そこを確認したいだけです」

 古賀の顔色が変わった。

 真壁は、二階堂の一歩前に出た。

「今夜は全員、長旅で疲れているはずです。詳しい確認は明日にしましょう」

 古賀は真壁を睨んだが、それ以上は言わなかった。

 鷺宮が場を整えるように手を合わせた。

「皆さまのお部屋へご案内します。夕食は簡単なものになりますが、二階の食堂でご用意しております」

 人々が動き出す。

 鳳は、玄関ホールの中央に立ったまま、上を見ていた。

 真壁は近づいた。

「何を見てる」

「鏡です」

 階段の踊り場にある大きな鏡。

 曇っていて、像ははっきりしない。真壁たちの姿も、黒い影のようにぼやけている。

「ずいぶん古いな」

「古いですが、位置がおかしい」

「位置?」

「この鏡は、入ってきた人を見るためのものではありません」

「何を見る」

 鳳は少しだけ首を傾けた。

「二階から降りてくる人を、一階にいる人間が先に見るためのものです」

 二階堂が背後から言った。

「つまり、見張り用?」

「あるいは、見せるためのもの」

「どっちも嫌だな」

 九条が階段下の床を見ていた。

「床に傷がある」

 真壁は視線を落とす。

 黒く磨かれた石床に、薄い線が残っている。何か重いものを引きずったような跡。古い。だが完全には消えていない。

「古い傷か」

「たぶん」

 九条は左手で床に触れる。

「でも、同じ方向に何度もついてる」

 鳳が床を見た。

「祭壇棟から玄関へ向かう動線ですね」

 二階堂が小さく笑った。

「到着して十分で、もう嫌な情報が多い」

 真壁は、館の奥を見た。

 廊下は暗い。

 古い照明がついているのに、なぜか奥へ行くほど暗く見える。まるで、館そのものが人間の目に見られる場所と、見られない場所を分けているようだった。

 鷺宮が廊下の先から振り返る。

「皆さま、こちらへ」

 一行は部屋へ案内された。

 真壁の部屋は二階の東側だった。九条は隣、二階堂はその向かい。鳳は少し離れた角部屋に割り当てられた。廊下の突き当たりからは海が見える。窓を開けると、夜の海がすぐそこにあった。

 遠くで船のエンジン音が低く響いている。

 灯村が、船を点検しているのだろう。

 真壁は窓辺に立ち、港の小さな灯を見た。

 あの船が、本土との唯一のつながりだ。

 そう思った瞬間、背後でノックがあった。

「開いてる」

 二階堂が入ってきた。

「鳳さん、部屋に入ってすぐ出てった」

「どこへ」

「館の図面を見たいって。鷺宮さんが渋ってた」

「止めたのか」

「俺が?」

 二階堂は肩をすくめた。

「止めたら止まる人なら、十二灯館の時に苦労してない」

 真壁は溜息をついた。

「九条は」

「廊下で床見てる」

「何やってるんだ」

「九条だからね」

 真壁は部屋を出た。

 廊下には九条がいた。しゃがみ込み、床板と壁の隙間を見ている。

「何かあったか」

「床が少し傾いてる」

「鳳さんみたいなこと言うな」

「建物は専門外」

「じゃあ何を見てる」

「水」

 九条は壁際を指した。

 小さな染みがある。湿気と言えばそれまでだが、筋のように下から上へ伸びていた。

「水が上がっている」

「古い建物ならあるだろ」

「海側じゃない。山側の壁なのに」

 二階堂が廊下の奥を見る。

「つまり?」

「地下に水の通り道があるかもしれない」

 真壁は、その言葉を胸の奥に置いた。

 地下。

 水。

 海。

 血禍の間。

 まだ何も起きていない。

 だが、起きる前から現場は少しずつ姿を見せている。

 階下から、突然、誰かの叫び声が上がった。

 三人は同時に動いた。

 階段を駆け下りる。

 玄関ホールには鷺宮が立っていた。顔が青い。手に持った無線機から、雑音混じりの声が漏れている。

「港で……火が」

 その瞬間、館の外が赤く光った。

 窓の向こう、坂の下。

 港の方角で、炎が上がっていた。

 真壁は玄関へ走った。

 背後で二階堂が低く言う。

「始まったな」

 九条が、扉の前で一度だけ振り返った。

「名前を置くな」

 真壁は頷いた。

 外へ飛び出すと、潮の匂いに混じって、焦げた臭いが風に乗ってきた。

 七禍館の入口に掲げられた木札が、炎の赤に照らされる。

 一つ、海は名を呑む。

 誰かが、背後で呟いた。

「海禍だ」

 真壁は振り返らなかった。

 まだ誰の名前も、呑ませてはいけない。

 坂の下で、船が燃えていた。


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