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魔力使いのまったり冒険者クライド  作者: 大野半兵衛


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第68話 やろうという意志

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 第68話 やろうという意志

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 アルガードの町を治めるプレンサス伯爵家。その警備兵長オルガノさんが俺の顔を見て苦笑した。


「久しぶりですね、クライド君、いや、アアメンター殿と呼ぶべきですね」

「いえいえ、クライドでいいですよ」

「では、クライド殿と呼ばせてもらいます」


 俺は頷く。


「クライド殿の噂は聞いていますよ。最年少Sランク冒険者なんだとか」


 これまでに15歳でSランクに昇格する人はいなかったのか。自分が最年少Sランクなんて、初めて知ったよ。


「それにソロのSランク冒険者ですからね。貴族の間ではかなり話題になっていますよ」


 それも知らなかったなー。ホルトンで暮らしていると、そういうことはほとんど耳に入らない。


「さて、今回は強盗を返り討ちにしたとか」

「町中で襲われるなんて思ってもいませんでした。嘘を見破るマジックアイテムで確認しますか?」

「いえ、それは生き残った者らに、すでに確認しました」


 それは手際がいいことで。


「今回の10名の中に指名手配犯はいないため、報奨金はないです」


 盗賊や犯罪者を殺したり捕まえても、お金にはならない。お金になるのは、賞金首と言われる犯罪者のみだ。

 あとは彼らがもっている資産をもらえるところかな。


「10名の資産を回収し、ギルド手数料と税が引かれて7割がクライド殿らに支払われます」

「たしか、1人がマジックバッグを持っていましたよね? あれはどうなりますか?」

「マジックバッグなどのアイテムは、全て現金換算され、その合計資産の7割が支払われますが、現物でも構いません。幸い、今回のマジックバッグの所有者は生きていましたので、先程使用者登録を解除させてあります。5-3のマジックバッグでした」


 本当に手際がいいですね。できるイケメンとか、爆発すればいいのに。


「また、捕縛した3名のうち、2名はCランク冒険者でしたので、奴隷にすればそれなりの金額になるでしょう」

「ツキオス君たちはまだマジックバッグを持っていなかったですよね?」

「はい、お金を貯めている最中でしたので、マジックバッグはまだ手に入れていません」

「だったら、今回のものをもらっておこうか」

「いいのですか?」


 俺は頷き、オルガノさんに視線を移した。


「マジックバッグは現物で、他は現金化してください。マジックバッグはこの3人名義にできますか?」

「使用者登録の代金さえ支払えば、できますよ」

「では、マジックバッグはこの3人の名義で、その登録代金は現金から引いてください。残った現金は均等割りして3人に渡してください」

「「「師匠!?」」」

「Sランクのモンスターを1体倒せば、数百万Gになります。お金には困っていないし、俺はすでにマジックバッグとマジックポーチを持っていますから。それに、ボーマンらを無力化したのは3人で、俺は何もしてませんよ。オルガノさん、そのようにお願いします」


 容量無限のアイテムボックスを持っているから、今さらマジックバッグは要りません。それに、マジでお金も使い切れないほどあるんだよね。


「承知した。……そうそう、以前クライド殿を捕縛しようとしたロイメス男爵家のポロン・ゴルガスが死罪になったそうだ。反逆罪らしい」

「そうですか。それが何か?」

「気にならないかな?」

「なりませんが?」

「そうですか。いや、気になるかと思っただけです」

「それはどうもありがとうございます」


 これで取り調べは終わり、俺たちは開放された。


「マジックバッグやお金を僕たち3人で分けて、本当によかったのですか?」

「いいよ。それに俺に感謝しているなら、遺跡調査を手伝ってね」

「「「うっ」」」


 その日、俺は3人と野営することにした。


「さて、今さら言う必要はないと思いますが、ジュブレール大森林には高ランクモンスターがたくさんいます」


 アルフィンの串焼きを食べながら、俺は話を始めた。


「俺は3人を死なせる気はありませんので、しっかり守ります。ですが、せっかくなので、3人にもSランクモンスターくらいは狩れるようになってもらおうと思います」

「僕たちにできますか?」

「ツキオス君たちだからできると、俺は思っています。3人の強い意志がそれを可能にする、そう思いませんか?」

「私、やってみます。やります!」

「アリス!?」

「お兄ちゃん、私はやるわ。師匠が私たちならできると言うんだもの、できるはずだわ」

「そうだね。僕たちは師匠のおかげでどん底からここまで上がってきたんだ。師匠を信じてもっと上にいこうよ!」

「レットン……分かった。僕もやってみるよ」


 いいねぇ、君たちの向上心は必ず実になるはずだ。


 翌日、朝早くから3人の特訓をする。


「まず、アリス君のドームを見せてほしい。これまでで最っとも硬いドームを作ってほしい」

「はい! ドーム!」


 形成されたドームをコンコンと叩く。


「それじゃあ、ツキオス君とレットン君は最高の力でこのドームに攻撃してくださいね」

「「はい」」


 ツキオス君は剣、レットン君は槍でドームを攻撃した。

 いい一撃だが、ドームを破壊するほどのものではない。

 細かいことは分からないが、Cランクのモンスターなら十分に利く攻撃だと思う。

 そしてアリス君のドームは、Bランクモンスターの攻撃を防げそうだ。

 よし、現在の状況は掴めた。



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