第62話 尋問
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第62話 尋問
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さて、そろそろいいかな。
縄を切って、袋も切る。
荷台には俺が入れられている樽を2人が見張り、運転席と助手席に1人ずつ。合わせて4人が俺の護送にかかている。
樽に小さな穴を開け、魔力触手を伸ばす。
トラックのタイヤをパンクさせる。ガタンッゴトンッと激しい振動がトラックを揺らす。
「ちっ、パンクか。さっさと交換してこい」
助手席のヤツが威張って命令している。こいつが、この中のリーダーかな?
「ついてないぜ。おい、手伝え」
「ちっ、面倒だな」
運転手と見張りの1人が下りてタイヤを交換している間に、見張りのもう1人を魔力触手で締め落とす。
声もだせずに意識が飛んだ見張りをそっと横にし、助手席で威張っていたヤツも締め落とす。
あとは運転手と見張りの2人だ。この2人はタイヤ交換が終わったところで、同時に締め落とす。
トラックをアイテムボックスに収納し、4人を魔力触手で持ち上げてジュブレール大森林の中に移動。ここでタイヤをパンクさせたのは、ジュブレール大森林の近くだからだ。
「しかし、甘いよねー。アイテムボックスを回収しないなんて」
俺なら身ぐるみはがすけどな。まあ、アイテムボックスは透明化されているので、見えないけど。
ジュブレール大森林の中を移動していると、リーダー格と思われるヤツが目を覚ました。
「なっ!? か、体が!?」
「お目覚めですか?」
「貴様!?」
「目的を教えてくれるかな?」
プロなら簡単に言わないと思うけど、一応聞いてみないとね。
「ふんっ」
「ま、いいけど。あ、口の中にあった毒は4人とも回収しているからね」
捕まったら自殺しろ、とでも言われているのだろうね。
歌を口ずさみながら進んでいると、他の3人も目を覚ました。騒いだ1人をまた締め落として進んだ。
目的の場所までやってきたので、丁度いい岩に腰を下ろし、4人を逆さ吊りにする。
「さて、改めて確認しますけど、俺を攫った目的を話してくれますか?」
4人ともイエスともノーとも語らない。
プロなんだから、そう簡単に口を割らないよね。そんなこと俺でも分かっているよ。
「教えてくれないというなら、仕方がないな。あれが何か分かる?」
俺の指が差す方向に、4人を向ける。そこには土山があり、赤黒いものが蠢いている。
「あ、あれは!?」
「まさか!?」
「デビル……アント……」
「な、何をする気だ!?」
いい反応だ。
「デビルアント。単体ではFランクと弱いモンスターだけど、あの巣には数十万のデビルアントがいる。数十万のデビルアントは、Sランクのモンスターにさえ襲いかかる凶暴なモンスターだ」
俺は4人にニコッと笑みを見せる。4人は青い顔をして、俺を見ている。
「俺はあんたたちを殺したくないんだけどさ、あんたらが喋ってくれないなら、両手両足の腱を切って巣のそばに放置することになるかな」
「こ、殺せばいい!」
リーダー格が強気に怒鳴った。
「そう。なら、まずはあんたをあいつらの餌にしてあげるよ」
デビルアントの巣の近くへ移動させ、魔力触手で四股の腱を切る。血が飛び散ると、その臭いに反応したデビルアントの動きが活発になり、垂れた血へと集まってくる。
「それじゃあ、さようなら」
デビルアントの絨毯の上に置いてあげる。
「ギャーッ」
「見ての通り、俺は面倒な交渉をする気はないからね。死にたい人は、黙っていればいい。俺は殺さないけど、デビルアントは生きたままの貴方たちの肉を食い、ジワジワと殺してくれるよ」
デビルアントに群がられ、のたうち回るリーダー格の男の表情は分からない。デビルアントが殺到し、赤黒い塊にしか見えないからだ。
「さて、次は貴方ですね」
恰幅のよいヤツを指差す。こんな容姿でも動きはなかなか機敏だ。それに隠密行動も堂に入っていた。
それでも4人の中では下っ端なのは、タイヤ交換時に見張りから出ていったことでも分かる。
「あんたはデビルアントに美味しく食べてもらえそうだけど、喋る?」
「………」
「黙秘ですか。それはノーということですね」
そんなわけで、まだ食事中のデビルアントの上に移動。
「や、止めろ! 喋るから止めてくれ!」
四股の腱を切る。
「止めてくれぇぇぇっ」
「判断が遅いんだよ。それじゃあ、生き残れないぞ」
ポトリとデビルアントの上に落としてやると、あっという赤黒い悪魔たちに飲み込まれた。
「次は貴方です」
運転手をしていたヤツを指名する。
「貴方は喋ってくれますか?」
「しゃ、喋る!」
「おい!」
もう1人が声を荒げるので、俺はそいつに声をかけた。
「貴方は喋らないのですか?」
「くっ」
「はい、アウト。さようなら」
「や、止めろ! 止めてくれ!」
「残念でしたー」
デビルアントの上で四股の腱を切り、落とす。
「さて、後はあなただけになりましたが、俺の質問に速やかに答えてくれないと、ああなりますよ」
「は、はい! 喋ります!」
素直な人は嫌いじゃない。
「で、俺を攫った目的は?」
「そういう依頼があったんだ」
「依頼? ……貴方たちは、どういった職業の方ですか?」
「や、闇ギルドだ」
「ほう、闇ギルドですか。それは興味深いですね。で、誰が俺を攫えと依頼したのですか?」
「し、知らない。本当に知らないんだ。依頼人のことは俺たちには知らされないんだよ!」
必死さから本当なのかな。でも演技ということも考えられる。
以前見た嘘を判別するマジックアイテムがあるといいのだけど、そんなものは持ってないからなー。
あ、そうか! 魔力首輪で嘘をついたら反応するようにしておけばいいんだ。さっそくやってみるか。
「本当に知らないのですね?」
「ああ、本当に知らない」
嘘はないようだ。そうなると、どういった質問をしたほうがいいかな……。
「なら、俺をどこに連れていくつもりだったのですか?」
「アーヘンだ。アーヘンの郊外で引き渡す手はずになっていたんだ」
「ほう、アーヘンですか」
アーヘンといえば、入町税を取ろうとしたところだ。あそこは確かロイメス男爵の領地だったか。
なんか想像ができてしまったな……。




