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第2話 戦闘 矢道

 こちらの奇襲に合わせて柔軟に規則正しく部隊を分けた時には驚いたが、一緒にいた軽量級2機が敵を引き付けると言ってくれたため動きやすかった。2機はうまく敵部隊を分割して相手に反撃を繰り返しつつ20機近くの数からなる包囲を突破して見せ、更には引き付けて見せている。性能差はあれども一発が命取りとなりかねない中、弾幕を潜り抜けるように突破する姿にファルフリードは身震いをしてしまった。


―負けられないな。


 自分に割り当てられた機体は3機、腕前は前回の奴らより上かもしれないが性能や弱点は前回の戦いで学習できた。機体構成上どうしようもないが瞬発力は負けているが、最高速度で考えれば速度は負けていないどころかこちら側に分がある。

 3機は距離を保ちながらにこちらに対して牽制をかけるように距離を取って明らかに陽動の態勢を取っている。


―加速力ならこいつがある・・・!


 機体の背面ブースターを点火させて、急加速をする。補助脚を持ち上げて速度をつけ、足が接地後は補助脚を降ろし補助脚の加速力も利用する。体が操縦席に食い込むような急激な加速の後はその速度を殺さないように左右へ機体を振りつつ距離を詰めていく。

 近づいてきたことを確認し、機体の腰や肩に複数取り付けられている火器で牽制する。


―わかっていたが狙いは粗い!


 急造である上、詳細な試験データを取っていないため射撃精度は粗い。しかしそれを予想していたのだろう取り付けられている火器はどれも連射ができる代物ばかりとなっている。


―これほど分かりやすい一点特化の機体は無いか。


 使ってみれば固い装甲とそれに見合わない速力をいかして肉薄、携行火器を使用して逃げ道を制限し、敵機を正面に捉えたならば取り付け火器で弾丸をばらまき蜂の巣にするというコンセプトに特化していることが分かる。

 ブースターで急加速し、相手の攻撃をものともせず距離をつめて手持ちのアサルトライフルで相手を誘い込み、正面に回ればこちらの重火器で仕留める。単純な機動だがそれも特化すれば一発芸としては十分となる。相手の対応能力がなかったため、早速こちらの足止めにきた3機を行動不能にする。


―正面の火力で行動不能にできるのは楽だ。やらせてもらう!


 普段は少ない弾で行動不能にさせなければならないため不意を打つ、回り込むことで倒してきたが弾数制限のない高火力で正面から倒せるのであればこれほど楽なことは無い。


―このまま押し込む!


 高機動型を追い込むような陣形をしていた部隊の横っ腹から大火力で奇襲し、崩れさせる。複数機に囲まれて補助脚をやられてしまえばこちらが不利になるため、できるだけ大回りをしながら回避し、囲まれないように細心の注意を払う。フェイントや騙すような機動を繰り返し、その際に少しでも不用意に正面に立ってしまった機体には気の毒に思うほどの弾丸の雨を与えて、1機また1機と行動不能にしていく。

 ふと、気づくと自分に向かって後ろに待機していた2機がこちらに向かって走ってくるのが見える。


―ちぃっ!手ごわい・・・!


 2機はこちらの長所と短所を掴み、この短い時間で対応方法を組み立てたらしく、1機が回避主体で寄り付いたと思えば、もう1機が後ろに回り込むように動いて銃撃を加えてくる。こちらも負けじと不意を打つようにブースターで狙う相手を変えて動こうとするが、その瞬間に役割を入れ替えてまたもやこちらの動きを制限する。こちらに対して有効打を与えることはあきらめているようだが、それでも弾丸が機体をかすめていく。


「敵機、『速駆ハヤガケ』により撃破。残り7機。ただ、『速駆』はこれ以上の戦闘機動は難しいみたい!」


 アイーシャからの通信によりこちらが有利と分かる。こちらの勢力としては足止めを食らっているだけでも周りの戦果によって程なく勝利を収められるだろうが、それではアステリズモという名前の沽券にかかわってくるだろうと動きを更に複雑にしていく。

 上手く2機との距離を近づけていくことに成功すると、うち1機が焦ったのかこちらの後ろに向かって回り込むように動いてくるのが見えた。


―かかった!


 恐らくこちらがブーストを吹かしても向き直ることはできない位置に立ったつもりだろうが、それこそがこちらの狙い通りの動きとなった。

 ファルフリードは指でブースターの方向を微調整しつつ、ペダルを操作し補助脚を最大角度まで持ち上げる。機体の後ろで銃口がこちらに向いてくるのが感じられたその瞬間に大きく足を踏み込みブースターで旋回動作をする。

 脚をハンマーに見立てて機体を回転させ、胴薙ぎをするように相手を吹き飛ばす。機体のダメージを示すパネルが赤く明滅するがあそこまでの衝撃を予期せぬ方向に食らえば操縦者も無事では済まないだろうと思う。

 相棒がやられた1機は撤退するそぶりなど見せずに果敢に攻め込んでくるが、


―2機でやっとこさ互角だったろうが・・・。死を恐れない、か。


 機体の性能の差は凄まじく、食らいつこうという意気込みと僅かな可能性を見せるが一つとして直撃は無くファルフリードは鎮圧に成功するのであった。


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