第1話 戦闘終了 帰還中の車内
帰りのトレーラーでは空調が利いている中、今回の戦闘で疲れたのだろうファルフリードがアイマスクを付けた状態でリビングルームの床に伸びて寝ている。
「本当に無事に終わってよかったわねぇ。」
ケイティがため息をつきながらつぶやく。
「本当よ。全く今回みたいな任務はうちみたいな零細企業には向いていないわ。」
アイーシャも全くとうなずく。
「それにしても、ニコが作ったの?あの手を使わないで起き上がる動き方って。」
「超、がんばった。」
場所はアステリズモのトレーラーのリビングルームでアイーシャ、ケイティ、ニコがお茶をしていた。今は女子会ということになっているのでクルガンとアルガスは操縦席にいる。
「だから、頑張ってあの短時間でどうにかなるほどの動きができるかなんておかしいのよ・・・。まったく。」
ケイティが頭を抱えながらぼやく。机の上には自分たちへのご褒美として焼菓子が皿の上に並んでいる。3人は少し喋ってはいそいそと焼菓子を口に運ぶ。
「正直、立ち上がるかどうかは賭けだったけどね。立ち上がるかどうかで半分の確率、そっからきちんとエラーなく動くがどうかで半分ぐらいの確率だから、どっちかというとファルフリードの運なんだけどね。」
ニコが無造作に言ったことに対して二人は焼菓子を取り落す。
「「どういうこと?」」
ニコはお茶をすすりながら続ける。
「だって、急造のプログラムをテストしないで動かしたんだから、何が起きても不思議じゃないもの。」
恐らく、これはファルフリードも同意の上だったのだろうが、なかなか危険なことをやってのけたことに改めてため息をつく。
「短期間で挙動プログラム組んで見せる方もどうなのかと思うのだけど、それを動かす方も頭おかしいわ。」
ケイティはさらに深くため息をつく。
「たぶん、本当に最後の最後の切り札にするつもりだったんだと思う。不意を衝いて1発だけでも入れられればそれでいいって思ってたんじゃないの?」
ニコは呟く。アイーシャはニコをじっと見てふっと笑って語りかけた。
「ありがとう。ニコのおかげでファルフリードが無事に帰ってくることができたのね。本当にありがとう。」
「ん、えと、えと、どう、いたしまして・・・。」
ニコは少しだけ顔を赤くしてうつむきがちに答えるのであった。
「ニコったらほんっとにかわいいわね。頭なでちゃう!」
ケイティはそのニコの姿を見て抱きつき、頭をなでているがなでられているニコはどうにも不服そうな顔持ちをしている。まぁ、照れているのだろう。みんなこれだけ笑顔で話せるのだ。本当に無事に帰れてよかった。
「ケイティも、ありがとう。わたし、がんばるよ!」
アイーシャは立ち上がり、2人に向かって宣言する。いきなりどうしたのというかたちでこちらを2人が向いてくるが気にしない。足りないものばかりの自分だけど、これからもがんばると、がんばり続けると決めたのだ。だからこれは決意表明だ。
「二人とも、これからもよろしくね!」
アイーシャの決意の込めた笑顔と協力依頼にケイティとニコはくっついた状態で顔を見合わせて、吹き出すように笑った。
「あれ、ニコったらだいぶわらうようになったじゃないの!さらにかわいいわね!もっとなでちゃう!」
3人のお茶会の時間は平和に過ぎていく。足元にファルフリードを横たえながら・・・。
・・・-・・・
「・・・アルガスさん、向うではきゃっきゃうふふの女子会が開かれているんですよね。」
「じゃのう。」
「素晴らしい空間になっていると思いませんか?」
「じゃのう。」
「そういえば、僕トイレ行きたいんですけど・・・。」
「おまるがそこにあるぞ?」
「んな無茶な!?それはもう覗きたいですけど!無体が過ぎますってもんです!なんでファルフリードさんは大丈夫で僕は!」
「しらん。」
「ううぅ、ファルフリードさんずるい・・・。」
「じゃが、あやつじゃぞ?あやつならば・・・。」
「ぐぬぬ、確かに、寝たまま16時間過ぎて七番街まで戻ってる可能性がありますね・・・。」
「じゃろ?」
「いや、でもずるいと思います。僕だって参加したい。」
「女子になってから言え。」
「なんですか、それは!」
操縦席は操縦席で彼らの日常が戻ってきている。
ちなみにファルフリードはクルガンの予想通り、皆が寝静まった後も、その場で他の全員が朝食をとってもそのままリビングの床で寝続け、七番街に到着するまでそのままの姿であったという。




