第0話 ブリーフィング
「今回私たち、アステリズモにきた依頼内容を説明するわ。作戦目標は武装集団に占拠された施設への救出活動よ。企業に雇われた科学者たちが待機している施設が襲撃を受けたようね。研究内容は教えてくれなかったけど、どうやら武装集団はその知識を目標としているみたい。今は何とか自前の防衛線力で何とかしているみたいだけど、陥落は時間の問題みたい。
依頼者はそこにいる科学者の父親ね。どうやら直接助けを求められ、そこから依頼の流れになったみたい。だから最優先救助対象がいるわ。名前はゲール。彼だけは必ず助けるように。一応、いると思われる場所がデータで来ているわ。後で確認をしておいて。また、今回の依頼はギドラという人物からアルケーに依頼があって、その下請けで入っていることになっているわ。
この依頼に当たり、すでにアルケーが潜入して奇襲ルートを確保しているそうよ。そのルートに乗っていれば補足はされないみたい。
私たちの役割は電子機器の破壊と陽動よ。救助活動を開始する前にパルサーを放って電子機器を破壊。あとはうちのスカベンジャーでできるだけ暴れて相手のM,Aを破壊するまでが仕事よ。」
場所は傭兵会社『アステリズモ』。会社の従業員数は5人。傭兵稼業としては異例の人員の少なさであるが彼らの実力は、狭い世界ではあるが多くの同業者に名が知られている。彼らの戦力として保有する機体は1機だが、その1機の性能の高さと操縦者の腕により一点特化の戦力が必要な時は彼らが候補に挙がることが多い。
また、パルサーと呼ばれる本来政府組織や一部の大企業にしか運用できない電子機器阻害装置を所持しておりその戦力は非常に高い。しかしながら、戦闘が依頼に含まれる―いわゆる荒事を受けることがまれであり、救助活動や運送依頼を積極的に受けることでも有名である。
会議室で作戦目標の説明を受ける。資料には主な概略や地図。他にも火器使用禁止エリアや最優先救助対象者の顔が印刷されている。
会議室には5人の男女がいるが、うち、一人が4人に対して説明を行っていた。一人の男が手をあげて質問する。
「要はアルケーが襲撃しやすいようにとにかく暴れろ、ってことでいいか?」
「その通り。事前情報によると任務自体は簡単なはずよ、一応アルケーとすり合わせてM,Aを撃墜すればするほど収入を上げることを約束したわ。それ以外の戦力を撃退した場合は収入が危険度に応じて上がるわね、あなたにとっては歓迎できないでしょうけど、スカベンジャーでもいてくれれば収入は5割増しよ。」
「ずいぶん気前がいいな・・・。それだけ元請けからもらう報酬がでかいということかね。」
「恐らくね。まぁ、でも基本的にいたら撤退がいいでしょうね。奇襲とはいえ相手方にスカベンジャーがいたら戦力的には不利になるもの。」
「了解。何とかするさ。」
「言わんでもわかると思うが被弾には気をつけろよ、ざっと計算してみたが今回の報酬からすると破損率が7割を超えたら弾薬費込みで考えると損益的にマイナスになりそうだ。」
「・・・いつもより被弾してもいいってことになるか?まぁ、死にたくないしできるだけ最小限にするさ。」
「一つ補足いいですか?・・・いいですね。一応、敵勢力のM,A以外の危険度についてはスカベンジャーを最高に5段階とされています。なお、危険度報酬については破壊または撃退が条件ですんで気を付けてください。要するに人が乗っていなかったらチャンスですから、優先的に破壊をお願いしますが、乗っていれば撤退を推奨します。あと、その後の交渉ごとについてはいつも通りお任せてください。」
会議室にひとまずの沈黙が下りる。
「どうやら他に意見は無いみたいね、社長、一言お願いするわ。」
会議室の奥にいる小柄な女性が立ち上がる。
「今回の依頼はいつもより危険度が高いと聞いているわ。どんな時も自分の命を優先して仕事にあたって。みんなの無事を祈ってるわ、お願いね。」
会議室にいるものたちからめいめいに了解の声が上がった。
そして、彼らの命を懸ける時間が始まる。




