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異界転生(修正版)  作者: 七変化
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第26話

まさか見た目が熱血猪突猛進タイプなだけで、実は文系キャラの如く深く静かに…ってタイプだったのか?


やべ~やべ~よ、どうしよう?

家族に紹介ってかなり本気だよな…ゴクリッ。


果してこの場を笑顔と当たり障りの無い返事だけでごまかしきれんのか?


いや…でも、お姉さん達の会話では期待ハズレそうに言ってるけど、時々こっちに向けてくる笑顔はかなり意味深そうでコワイヨ~。


ウンウンって調子よく返事もしてるけどニアの反論なんて全然聞いてないし、信用して無いっぽい。


むしろ、子供の惚気話を聞いてる優しいお母さんって感じが滲み出てるヨ~。



「あ、あのですね。僕とニアはお付き合いしてませんから。」


「そ、そうだユージの言う通り、契りもまだなんだ!」


いやいや、ニアさん…契りて……。


「え~?ユージちゃんて純粋なんだ~。」


「ニアの何処に不満が有るのか教えて欲しいわね…。」


はわわわっ、おっとり口調のヤダさんとは対象的に、メアさんは何か気に障ったみたいでジト目で睨んでくる。


「き、気に入らない所なんてありません!ニアは頼りになるし大切な仲間と思ってるだけです!」


慌てて弁解するとメアさんは溜息をつきながら「ニアの…下手くそ」と小さく呟いたのが聞こえた。


……何が下手くそなんだろう?


一瞬疑問に思ったが、深い考えない方がいいと本能が警告してきたので、聞こえなかったフリをしとく。


その後も続いた家族水入らずの話題にキリがついたのか、ヤダさんに客室まで案内されシチューで満腹にもなってたせいもあって一直線にベットに向かい、そのまま倒れ込むとすぐに眠りに落ちた。



翌朝はなにやら香ばしい香りで目が覚め、匂いの元を辿りながら一階に降りて行くと、ちょうど台所で朝から焼肉を作ってるニアに出くわした。



「おはよう。昨日はよく眠れたみたいだな!」


「あぁ、流石に二日も走りっぱなしだと疲れも溜まってたみたいだ。」


「あら~、溜まってたのは疲れだけ~?」


後ろから入ってきたヤダさんが意味深に微笑む。


コワイヨ~昨夜の続きとかヤダヨ~~。


「本人がそう言っているのだ。ヤダ姉は茶化すな!」


ニアに怒られ軽く首をすくめる仕草が色っぽいが、あの目は絶対反省してない。


ニアさん、ニアさんあなたの姉様キケンデスヨ~反省シテナイデスヨ~~。



「で、昨夜ユージが寝てしまってから姉様達と色々確認したのだが奴は今、村の北の方にいるらしい。

叔父が討伐隊を率いて一昨日から出発しているそうで、私も朝食を済ませたら向かおうと思うのだがユージの意見はどうだ?」


まぁ、追い払う依頼で来てる訳だが応援に回れと言うなら人数が多い方がいいだろうし特に異論は無い。


強いて言うなら……

焼肉だけの朝食って白くて暖かいご飯が無償に欲しくなるんですけど。

焼肉は大好物だが、白いお米は普通ワンセットだろ?



「特に無いからそれでいいよ。」


ここでお米の話してもコメとは何か?って所から説明しないと理解されなさそうだったので、ニアに同意して手早く食事を済ませながら討伐隊を探しに出かける段取りについて話を詰めていく。


その後、大方の予定が決まったところでお姉さん達から討伐隊が向かった場所を再確認。準備を済ませ森に入る。


それにしても、この辺りの樹木ってでかいよな~。

それに緑が濃いっていうか、空気が美味い!野生動物も成長する訳だ、うんうん。


なんて事をのんびり考えながらハイキング気分で辺りをキョロキョロしつつも、前を歩くニアに内緒で「探知」を使いながら討伐隊と思える反応の位置確認をしつつ最短距離を進んでいく。


ニアもニアで


「この辺は、昔良く遊んだ場所だから私にとっては庭みたいなものさ。」


とか言いながら途中で見つけた木の実や木苺みたいなのを採っては食べながら進むくらいの余裕を見せている。


その中でもこれはこの辺りにしか無い珍しい奴なんだと、言いながら渡されたプラムみたいな赤い実は、食べるとかなり甘く果汁も多く気に入った。


そんな散策みたいなノリも突然大気を震わせながら響いてきた雷鳴の様な音に一瞬にして掻き消された。


「探知」の反応だと討伐隊とはまだ1Kmは離れてる筈なのにと驚いたが、ニアは音にすぐ反応して右手を大剣の柄に添え表情を引き締めて速度を早めた。



「なぁ、彩龍を食べてる奴ってどんなんだ?」


「私も実物は見た事が無いから、名前と確認されている最強種の一種と言う事以外は知らん。」


……確認されてる最強種って事は、未確認はどんだけ居んだよ?


軽く頭痛を覚えながらも自分が彩龍を狩った自信からさほど緊張もせずに更に速度を上げたニアの後を追ってたのが間違いだった。





樹の上からコンニチハ~。


え?何でそんな所に居るのかって?


討伐隊を探索&追跡

バインドの雄叫びを聞く

ニアが突然走り出す

魔法の余波か何かで

吹っ飛ばされる←今、俺ここ

ニアは眼下で絶賛戦闘中!



って事です、はい。


まぁ、彩龍を狩って変な自信がついてたんだろうなー。


もうすぐ御対面ってところで全身に激しい衝撃波を喰らい、「肉体強化」をする間もなく大木の上の方に吹き飛ばされ、太い幹の上でさっきまでしこたま打ち付けた背中の痛みに悶絶してました。


んで、とりあえず痛みが引いた今は「肉体強化」もして、眼下に広がるバインド対討伐隊の戦闘状況を観察している最中だったりする。


なんせ余りにも高い所まで吹っ飛ばされたせいでバインド以外の連中が親指サイズなんだもん。


それに討伐隊の方々が大型の剣やら槍やら爪やらでワラワラと向かって行っていったり魔法で攻撃してはいるが、一向にダメージが有るようにはみえない。


あんだけの人数から猛攻受けて殆どノーダメージって事は、かなり防御特化してるって事か…。


そんな事を考えながら注意深く少し下に降りると、ニア発見!その途端バインドが雄叫びを上げ、吹っ飛んだニアと数人が大木にぶつかり動かなくなる。


慌てて「探知」で生存確認をしてみると、どうやら気を失ってるだけみたいだ。


このピンチでヒーローは参上しないとなっ!


再度「肉体強化」を重ね掛けして彩龍狩りにも使ってた骨刀を出す。


対ザック戦の時にはその斬れ味からあえて使わなかったこの刀。


実はこの世界に来てから一番最初に創った時より狩りに出て何度も斬れ味だけを追求し、改良し直した自慢の一刀だったりする。


その刀を両手でしっかり握り締めると気配を殺し幹を蹴って、落下速度を早め全体重を乗せた斬撃を一閃!


首に狙いを定めて斬りつける!


ザシュ


突然頭上から落下してきて地面に片膝ついて着地した俺に振り向いて威嚇の表情を向けたまま、バインドの首がゆっくりとズレ落ちていく。


「俺、参上っ!」


派手な音を立て首が地面に落ちたタイミングに合わせ骨刀を肩に担ぎ特撮ヒーローの如く、ポーズを決めると首を斬られた巨大なバインドの身体がこれまた派手な音と土煙をたてて倒れる。


一瞬の出来事に討伐隊の皆は何が起きたのか理解出来なかったみたいで、戦闘体制のまま武器を構えたり技の予備動作にはいった状態でポカ~ンと呆けて固まってしまった。


……数秒の沈黙の後、バインドを倒した事が理解出来ると次々と大歓声が沸き上がりリーダーらしき獣人が勝鬨カチドキを上げ、その場に立っていた全員がバインドの遺体に群がり解体作業を済ますと大量の肉や毛皮と共に数人の怪我人を引き連れ村へと帰ってきた。


村に着くと怪我人の治療を数人の女性がしてまわり、後は集会場らしき建物前の広場で夜遅くまで大宴会がひらかれ村人全員から祝いとお礼の酒を勧められた。


しっかし、こうしてリアル半獣人と焚火を囲んで宴会とかって……なんてファンタジー胸熱な展開。



「いや~しっかし、バインドがこんな近くまで現れるとは珍しい。」


「そういや最近、彩龍の姿もあまり見てないし、空腹で探しに来てたんじゃね~のか?」


ギクッ


「だが、バインドには及ばないが彩龍の討伐でもかなりの戦力が必要だぞ?誰か王都から討伐隊が来たとか、流行り病にかかった彩龍を見たり聞いたりした奴はいるか?」


「んなもん、聞いた事もね~な〜。もしかしたら彩龍どもは別の場所に移動したんじゃね〜のか〜?そうじゃなきゃ、このバインドが他所から来た『ナガレ』だったんじゃね〜のか〜?」


ギクッギクッ


そんな俺の感動を打ち消すように小耳に入ってくる会話が恐い…ってか痛い。


まさか「家を買うために俺が乱獲しました、テヘッ!」とは言えるわけもないし、今後は食物連鎖を壊さ無いようにちゃんと念頭に入れて気をつけて狩りマスデス。ハイ。



「それにしても、ユージ殿とか言ったか?アイツは凄いな~っ!流石、ニアが連れて帰って来た婿候補だけある。」


ブッ…


な、なんだって~~!

いつの間にそんな話に?


飲みかけの酒を吹き出し、声の聞こえた方をみるとニアの姉様達が後ろから酌をしながら色々吹聴して回ってた。


ニアさんニアさんっ、早く起きてヨ~~。

お姉さん達止めないとタイヘンダヨ~。

オレノ身ガ大変ナンダヨ~~。


ニアはあの後自宅に運ばれ俺が治癒するから看病させてくれと説得し、改めて怪我が無いか全身を調べたがショックで気を失っただけと判り、寝かせてから宴会に参加した…ってかさせられた。


だから俺の必死な心の叫びなんてモノは届く筈も無かったのだが、思わず絶叫する。


そしてニア姉さん達が「もう婚約までしてるのよ~」とか「このまま新しい家を建ててあげないと新婚が同居って辛いわ~」とか、更に増長したそら恐ろしい妄言を吹聴してるのがちらほら聞こえてきたのを、「婿だなんてお姉さん達の誤解デスヨ~、まだ婚約なんてしてないデスヨ~」と、必死で酒を片手に弁明してまわったのだが……。


酔っ払い共は今日一番の立役者が来たとか言いながら返杯してくるだけで、なかには「ガッハッハッハ~照れるな、照れるな!」とか「うんうん、判ってるから照れるな」とか全然理解してもらえそうも無い返事をされた上、結構な量を飲まされた。


ダメだ~、酔っ払いに何いっても無駄だ~。

明日ちゃんとニアに説明頼も…。


そんな考えを最後に泥酔して意識が途絶えた……。

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