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吸血鬼が憩える保健室  作者: 坂持


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ごめん‼

 それから、平和ではないけど概ねいつも通り日は進み夏休みに入った。


 私の夏休みは昔から家の中で過ごすと決まっていた。ただ今年はアルバイトもあるし、ずっと家にいることにはならない。部活動は無いからアルバイト以外は家の中で過ごすかもしれないけど。


 昨日終業式で今日は土曜日、補習は月曜日かららしくて、佳はそれに備えて勉強をしなければならない。


 ただ、まあ……まだ起きていないみたい。


 補習はシンプルで、小テストで一定以上の点数を取れば合格とのこと。時刻は毎日十一時から、補習科目全ての小テストを同時に実施するらしい。受けられるのは一日一回、不合格教科は翌日。つまり、頑張ればすぐ終わるし、サボればずっと続くということ。


 ということで、私に課されたのは、テスト当日まで佳に教えるという役目だ。


 終業式まで、毎日先輩に部活の時間教えてもらっていたけど、佳のことだから油断ならない。私は佳が起きるまで宿題を進めることにしたけど、高校の夏休みはそれ程宿題は無い。そして現在時刻はだいたい九時、佳が起きるのは十二時回った頃だと思う。


 私の書くスピードを考えれば今日中に終わる。


 カリカリ文字を書きながら、佳から連絡が来ていないかを念のため確認する。


 私から電話をかけようかとも思ったけど、無理やり起こしても、寝ぼけまなこで勉強しても意味が無い。だからここは佳に自然に起きてもらうしかない。


 そして起こさないもう一つの理由、それは後ほど。


                 △


 夏休みの昼食でお馴染みのそうめんを食べ終えた私は優雅に自室へと戻った。スマホはわざと部屋に置いていて、現在机の上で沈黙しているはず——だったけど、凄い音鳴ってる。


 ピロンピロンピロンと、かなり音が鳴ってるね。


「なになになに?」


 画面を確認してみると、佳からスタンプが連打してきていた。


「うわすっごい」


 メッセージアプリを開いてみると、そりゃもう佳からのスタンプが滝のように流れている。


 そしてこのアプリはメッセージを読んだら『既読』の文字が付くみたいで、私が読んだことに気づいたのだろう電話がかかってきた。


「はい」

『ごめん‼ 今起きた‼』

「うん、知ってた」


 ここまで早いとは思わなかったけど。


『ほんとーにごめん‼』

「いいよいいよ、予想してたし」


 途轍もなく申し訳なさそうな佳。これがもう一つの理由。


『ごめん……うちがんばるから……』

「そうだね、頑張ってもらわないと困るね。ご飯食べてから始めよっか」


 あまりにもの申し訳なさに佳が頑張ってくれるはずだから。


『うん、本当にごめんね』

「いいって、じゃあ食べ終わったらまた電話お願い」

『うん……』


 いったん通話を終了。最後に『ごめん』のスタンプが送られて沈黙。急いでご飯を食べに行ったのだろう。


 それまで暇だし、トーク履歴を遡る。『ごめん』のスタンプ連打がかな~り長く続いて、その前はいくつかのスタンプが送られている。でもそれ程長くなく、今日の始まりの『不在着信』まで遡った。


 一応十二時ちょっと前には起きていたのか……。

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