超絶孤高の深窓の令嬢超絶美人になってしまう
六月も下旬になり、もう夏かぁ、今年は空梅雨かなぁ、なんて考える余裕を持っている私。そう、絶賛保健室でお休み中だ。
私の血のことが知られても、まああまり変わっていない。殆どの時間を保健室で過ごしているからっていうのもある。佳も今までと同じように凄い陽だし、先輩も大丈夫に見える。アイツは……今のところ接触無し。
唯一変わったといえば、他学年の人が私を見に来るようになった。公表しちゃったから仕方が無い。でも、それによって陽が増えて、私は教室外に出るのが難しくなってしまった。いや完全に出られないという訳じゃないけど、これは夏休み明け——も私のあまりの肌の白さに注目が集まってしまうから分からない。飽きるまで、飽きられるまで……! でも……私のような超絶美人が飽きられることは無いと思う。美人は三日で飽きるって言われても、私は超絶美人だし。
あああああああああっ! こうなるの予想してなかったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼
「なっちゃん、大丈夫ぅ?」
「悩んでます‼」
「大丈夫じゃなさそうだねぇ」
「まあ! はい!」
「保健室では静かにねぇ」
先生に注意されてしまった……。私が悪いな、これは。
それにしても、なにもしてこないっていうのが心配。一応先輩とも話はしているけど、なにも起きないから対策のしようもないし、交換する情報も無い。このまま何事もなければいいんだけど、夏休み前になにか一つありそうな気がする。
とりあえずは相手に情報を与えないよう学校生活を送るというということは意識している。これもこう動きが無いと意味があるのかどうか、でも心配だけど相手が相手だし、窮屈だけど頑張るしかない。
そうこう悩んでいるとチャイムが鳴って、休み時間が始まる。
一、二、三、四、五、六、七、八、九、十。
「鳴月」「なっちゃん!」
相変わらず早い。どうやら私は人気者のようだ。
なんて、佳が早いのはいつも通りだし、先輩は私のことを心配して来てくれている。本当にありがたいし申し訳ない、でもありがたい。
今のところ、二人がいてくれるから心強いし、まあ別になんとかなっている。私一人でどうにかしてしまうと孤立して、腫れもの扱いというか、超絶孤高の深窓の令嬢超絶美人になってしまう。
佳と先輩という友達を得てしまった私には、そんなことできるはずがない。
それはそれで弱点にもなりうるものだろうけど、そんなことを気にしていては駄目だ。守るというか、守られてるんだけど、絶対に離したくない。
「丁度十秒」
「次は十秒切れるように頑張る」
「うちはこれが限界!」
別に切らなくてもいいし、無理して十秒で来なくてもいいんだけど、なんだろうこの嬉しさ。
「無理しなくても大丈夫ですよ」
でも別にしなくてもいい、危ないし。
とまあ、こうして平和に過ごせているのは二人のおかげ。
「ん。そうだ鳴月、今日の部活はめんこをしよう」
「そーそー! ほら! しょーがっこーの時やったじゃん!」
「牛乳キャップでの? 私はやったこと無いけど、男子達はやってたね」
小学校でのと言われてピンときた。私はやったことないけど、佳はあるみたい。というかどの小学校でも流行るんだ、アレ。
「私もやったことは無いよ」
「えーっ⁉ 二人共やったこと無いの⁉」
「ほら、私達超絶美人だから」
「りゆーになってないよー‼」
こうふざけているけど、めんこはなかなかアリだ。室内でできる競技。暑くないし、目立たない。
「牛乳キャップはどうするの?」
先輩の言葉は最もで、牛乳キャップを用意できないことにはめんこはできない。……こともないな。だって普通のめんこって牛乳キャップでやらないし。
となれば買うことになるんだけど、それか——。
「佳の家に?」
「もしかして?」
私と先輩の期待の眼差しを受けた佳は、溜めて、溜めて溜めて——顔を赤くしていた。
「あった……けど……」
いやごめんて。




