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Re:CALL 2  作者: 明上 廻
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才能と現実

 「ぐへぇ」

 案の定というか………歴然というか。

 手加減をするので精いっぱいだった。

 指一本チャレンジもできてしまった。

 「ここまで、10戦したけどそろそろ限界でしょ?」

 もちろんだが、私は魔法を使ってない。

 身体能力だけで訓練をしていた………はずだ。

 力加減を誤れば殺めてしまう危険性まであるくらい歴然だった。

 そのくらい東雲という人物は、弱すぎたのだ。

 返事が返ってこないことをおかしいと思い様子を見ると、少女は、呼吸がまだ整わないのか口から『ヒューヒュー』といった呼吸音が聞こえてくるだけだった。

 しかたない。

 彼女を担いで医務室のベッドまで運ぶことにした。

 女医さんによると、突然の過剰運動による肉体的疲労だそうだ。

 ようするに、『運動不足』だ。

 そこで、疑問に思ったことを女医さんにぶつけることにした。

 「こういった子も前線に立たせるの? 無謀としか言えないけど」

 「正直、数年前の『MOTHER AI』の暴走が暴走して廃棄されたわ。その代わりに新しく導入された『HOPE AI』によってデザインチルドレンが変質したことも原因だけど、最も多い原因は就業難だね」

 就業難?

 「コロニー内部における仕事は、ほぼコロニー内部の進学校卒業組が占めているの。それに対して、地上地区の住民は、防衛局に就業するか、リステージ計画に参加するかのほぼ2択になって、例外はないわけではない………けれどその道は運要素があるかな」

 そういって、今は意識がない彼女を見つめ直す。

 「彼女は、魔法適正が防衛局向きではないのよ」

 その言葉に、頷くほかなかった。

 「さっき、練習試合をしてわかったけど、彼女の基礎体力も、基礎魔法力も底辺レベル。確実に戦闘向きの能力じゃないし、そもそもの肉体強度が低すぎる。これじゃあ、軍学校の卒業すらあぶなくない?」

 「危ないというか、無理でしょうね。………()()()()()()()()()()()()()()事情は変わっていたかもしれないけれど」

 その言葉に引っかかりを覚えた。


 「進学校なら、この子の力が発揮される、みたいな言い方ですね?」


 その言葉に女医さんがためらいながら口を開いた。

 「その子は、軍学校での成績は見られたものではないけれど、軍部が使う補助具と言われるデバイスの組み立てに秀でているし、同学年の汎用性デバイス程度なら調整だけでなくコピー品も作れるくらいの実力を持っていますよ?」

 ほーん。

 なるほどね。

 コロニーの制度に潰されたパターンか。

 それに、『MOTHER AI』が無くなったことによって、人類の全体を俯瞰する傍観者がいなくなったことも起因している、と。

 デザインチルドレンは防衛局以外の道はほとんどない。

 月下健吾さんみたいに、多彩であれば他の道はあるが難しいだろう。

 「それで、この子の試験練習にこれからも付き合うの?」

 「私も暇じゃないの。それに、防衛局以外にもメイドとしての仕事があるから」

 私は私という存在がよくわからない。

 でもお父さんとお母さんは、得体のしれない私を可愛がってくれている。

 だからと言って公私混同はしない。

 お父さんは、仕事終わりの一時間は組手の練習に付き合ってくれている。

 お母さんは、仕事の運営の仕方を教えてくれている。

 何より難しいのは、言葉を発することはできるけれど、文字の読み書きができない点だ。

 そこも含めてお母さんに指導されている。

 でも、できたら喜んでくれるし怠けていると怒られる。

 仕事は、一日おきに交互で行っている。

 お父さんは、軍部に入れたくないと思っているらしく、お母さんは四乃宮家………というよりも、コロニーにあまり関わってほしくないという気持ちがあるらしい。

 両親の複雑な思いもある。

 だからこそ、私は早く自立して二人を支えられる存在になりたい。

 ここで足を止めるわけにはいかないのだ。

 そう思って切り捨てようとした時だ。


 「ここまで、あなたに会いに来たのに?」


 また含みのある言い方だ。

 「何が言いたいの?」

 「ここは防衛局よ? そして、彼女は軍学校の一生徒。ここに入れるパスは持ってないのよ。明らかに、罰則覚悟の侵入行為よ。そこまでして、あなたに会いに来るくらい憧れているんじゃない?」

 「憧れ………」

 よくわからない。

 それに、その責任は個人の勝手だ。

 私が負うべきものじゃない。

 「個人の問題には立ち入らないわ」

 そんな時だ。

 「こんなところにいたのか、紅葉ちゃん」

 お父さんが、迎えに来たのだ。

 「お父さん!」

 「どこかケガでもしたのか? それとも体調がすぐれないとか?」

 「違うよ!」

 そこで、ことと顛末をお父さんに話したら少し難しい顔になった。

 「紅葉ちゃん、この子を可能な限り助けてあげなさい」

 「え、どうして!?」

 その問いに、お父さんは微笑みながら言葉を返してくれた。

 「それが、()()()()()()()()()()()()()()

 お父さんは時々、難しいことを言う。

 でも、結果としてお父さんは間違えない。

 だから、私の結論を変更する。

 「わかった」

 でも、どうしたものか。

 


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