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その後ドミニクは連行されていった。というか持ってかれた。
彼は莫大な費用を持ち出していたが、その殆どをアビーとの豪遊で使い果たしてしまったらしい。
ドミニクはオリヴィアを国外に連れ出して、もう一儲けしようと思っていたが、思いの外オリヴィアが稼いでいたので、そっちに便乗しようと切り替えたのだ。
控えめに言って、救いようのないクズだった。
ドミニク、アビーの下衆な会話と、アレなシーンは、ビデオカメラの最初期に録画された歴史的な映像として、今後、人の世が続く限り、永遠に受け継がれていくことになるだろう。
ドミニクは自分が見つけた人類史上稀に見る大発見により、人類史に残る正真正銘の『汚点』を残すことになったのだった。
ドミニクは国外追放されることとなった。
そもそもあんな映像があったのでは、とても国内で過ごせない。そのうち国外でもあの映像が流れ出すようになり、山奥か辺境の地に引っ越して、細々と暮らすしかなくなるだろう。
あれだけ顔が知られたら、ドミニクは得意の弁舌で仕事をすることも出来ない。何せフンドシ一丁でクネクネ動く男が、相手の脳裏には常にチラついているのだから。
アビーも同様に顔を出して過ごすことが出来なくなり、今は顔を隠して、一日中、強制的に尺八を吹かされる仕事をさせられているという。
オリヴィアは、彼が出港する際、まとまった金を渡した。と言っても映像機による収益からすれば微々たるもので、無一文の彼が出国し、何週間か寝泊まり出来るくらいの旅費くらいにしかならないだろう。彼の人生が今後も超ハードモードであることに変わりはない。
ウォーレンからは「止せばいいのに」と言われたのだが、ドミニクのお陰で発明品が生み出されたのは確かなのだ。
それにあくどいことはしていたものの、初期のオリヴィアの研究を売り出してくれた成果もある。
ドミニクは金を受け取る際、泣いていた。泣いて感謝していた。
彼の顔面はボコボコに腫れている。彼はかつてのスポンサーたちから詰め寄られただけでなく、映像が広まったことで市民からもヘイトを買い、街を歩けば石を投げられ、殴られる有り様だった。きっと映像が広まれば、外国でも似たような扱いを受けるだろう。
その彼が久々に受けた、親切だった。
「オリヴィア。こんな時になってやっと、お前の優しさに気付いたよ。じゃあもう一度、俺と……」
「それは死んでも嫌」
オリヴィアは笑顔で言った。彼女は決してドミニクの事を許したわけでは無いのだと、彼はその笑顔を見て悟った。
「あの時逃げなければ」「最初からずっと彼女の傍に居れば」という後悔がドミニクの胸に押し寄せた。恐らくその後悔は、一生涯に渡って続くことになるだろう。
こうしてオリヴィアは、半ば連行されて行くドミニクを見送った。
自分の口で主張することは大切だ。それも元はといえばドミニクの件から学んだことだ。
これからも研究者として沢山人々に貢献していく。
それと同時に、自分の意見を持ち、それをしっかり人に伝えられるようにしようとオリヴィアは思うのだった。
もしかしたらそれは、映像を後世に残すことよりも、遥かに大事なことかもしれないのだから。
おわり
ここまでお読みいただきありがとうございました。
オリヴィアが裏切られるシーンは自分でも読み返していて辛かったですが、乗り越えて幸せになってくれて良かったです。




