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 けたたましい警報が鳴り響いていた。赤い魔石灯が明滅している。


 研究所の暗い床には、粉々になった瓶の破片が散らばり、黒ずんだ液体がぶちまけられている。

 幾ら悔やんでも悔やみきれない。もう全てが終わったのだ。


 これまで積み上げてきた実績。徐々に築かれていた信頼。そして血と汗で創り上げてきた発明品の写真機。


 それら全てが、今日、この時をもって無に帰した。


「全部、壊れちゃった。もう終わりだ……」


 白衣に身を包んだ黒髪の令嬢、オリヴィアは力なく項垂れていた。

 彼女にとって、写真機は命より大切なものだった。それを失い、同時に莫大な借金を背負うことが確定した。



 全てを失った彼女に借金を返すあてなどない。頼れる人も居ない。ふと彼女にいつも声を掛けていた、娼館のスカウトの顔が過る。


 娼館で働いて金を返せるかどうかは分からない。しかし、今の彼女に思いつく方法はそれしかなかった。


「まさか、彼が裏切るなんて」


 借金を背負ったことよりも、研究成果が失われたことよりも、その事実が遥かに重く、彼女の心を押しつぶしそうになっていた。


 そしてオリヴィアは、ふらふらと研究室を後にし、いつもは鬱陶しいと思っていた、娼館のスカウトを探しに外へ出るのだった。


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