表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/18

第4話 山を駆ける少年たち ~ 絆のはじまり~

山を駆けることは、前へ進むこと。


けれど、それは一人で進むことではないのかもしれない。


転びそうになった時、

立ち止まりそうになった時、


そっと手を差し伸べてくれる誰かがいる。


今回は、ヒカル、嵐、弁。


三人の絆が少しずつ形になり始める物語です。

「泣くには早いぞ!」


「狩りはまだ終わっちゃいない!」


山肌を震わせるような凪人(なぎと)の声が響いた。


木々を縫うように駆け抜けるその背中を、

ヒカルは荒い息を押し殺しながら必死に追いかける。


「ヒカル! ついてこれるか!」


「はぁ……っ、なんとか……!

叔父さんの背中は……まだ見えてる……!」


しかし次の瞬間には、

凪人の姿はもう見えなかった。


肩で息をしながら、ヒカルは後ろを振り返った。


後方を走る(べん)(らん)へ叫ぶ。


「弁、嵐……先に行ってくれ!」


二人は顔を見合わせ、ふっと笑った。


嵐が軽やかに肩をすくめる。


「気にすんなよ。

俺たちはヒカルの後ろにいたいから、ここにいるんだ」


「でも、僕……いつも二人の足を引っ張ってばっかりだ……」


悔しさを押し込めるように、ヒカルは唇を噛む。


湿った木の根へ足をかけた、その瞬間――。


バキッ。


嫌な音が、山に響く。


「っ――!」


足場が消えた。


ヒカルの身体が宙へ投げ出される。


(落ちたくない)


一瞬――世界の音が消えた。


(死ぬ)


手を伸ばしても、何も届かない。


ただ重力だけが、

容赦なく体を引きずり込んでいく。


「あっ――!」


すがるように伸ばした手を、

強い力がつかんだ。


「ヒカル!」


折れかけた枝へ全体重を預けながら、

弁が迷いなくヒカルの手首を引き寄せていた。


「……!」


揺れる視界の中で、

弁の顔だけが鮮やかに浮かぶ。


ヒカルは空いている手を胸へ当て、震える息をひとつ吐いた。


「……また、迷惑かけて……ごめん……」


「気にするな」


弁の静かな声が、

ヒカルの震えをそっとほどいていった。


その横で、嵐が苦笑する。

「ほんと、放っとけないやつだな」


その言葉のあと、嵐は大きく息を吐いた。

口元が崩れ、

今にも泣きそうだった。


ヒカルは二人を見上げた。


弁は、どんな時でも仲間を守ろうとする。


嵐は、どんな状況でも前を向き続ける。


ヒカルにとって二人は、

ずっと追いかけてきた背中だった。


そして――。


いつか自分も、

二人のようになりたいと願っていた。


―――――


挿絵(By みてみん)


べん 17歳

―― 揺るがぬ背中で仲間を守る者


大人びた体格と、拳に宿る“守る意志”。


困難の前でも決して折れず、

仲間の盾となって立ち続けるその姿は、村の大人たちからも深い信頼を得ていた。


やがて“鉄拳の守護者”と呼ばれていく少年。


ヒカルにとって弁は、

“支えてくれる背中”そのものだった。


―――――


挿絵(By みてみん)


らん 16歳

―― 闘志を胸に、道を切り開く風


冷静沈着で、追い詰められても瞳の奥の闘志を失わない。


逃げ道のない状況でも、

必ず“一筋の光”を見つけ出す。


その強さは、仲間たちの信頼を決して揺るがせなかった。


やがて“疾風迅雷のハヤブサ”と呼ばれることになる少年。


ヒカルにとって嵐は、

“前へ進ませてくれる風”だった。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。


第4話では、後に「進化の境界線」を越えることになる三人の原点を描きました。


特別な力があるから仲間になるのではなく、

困った時に手を差し伸べるから仲間になる。


この小さな出来事が、

やがて三人の未来を大きく変えていきます。


次回もお付き合いいただければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ