EP#24:準備
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心臓近くまでプラグ用の穴を通す。恐らく手術だ。
スカイは体に“基板”をプリントする必要があると言っていた。
確か、熱で皮膚を焼く。
説明だけを聞くとかなりの苦痛を味わう事になりそうだが、世の中には麻酔というものがある。故に律はあまり気に掛けてはいなかった。
朝日が終わってから、ひたすら上を目指して登った。そのゴールはハッチになっていて、一番上にいたスカイがそこを開けて、上へ出る。律もそれに続いた。
「あれ、ここ……」
律はこの場所に見憶えがあった。そうだ。SCSに来たとき最初に立ち寄った病院施設の入院患者用フロア。ユーリアのいたところだ。
「パイロットがアレースに乗り降りするための部屋……心臓接続装置のプラグが置いてある部屋はSCS最下層だ。あそこにアレースの機体も収容されてる。そしてここはその真上。もともとはパイロットが大怪我した時にすぐ処置ができるように、昇降口の上に医療施設を作ったんだそうだ。
さっき登ってきたタラップは作業員専用の抜け道。一部に透明のアクリル板でできた窓があって、そこから地球が見えるんだよ」
「……そうか」
律はすこし目を伏せて言った。
たぶん、アレースに乗ってしまえばあれが新鮮な景色には見えなくなる。
それでも構わないと思ってた。
なんのための感動なのか、それは分かってる。なんだかんだで運命の言いなりだ。
「それでも構わない」
律は小さく呟いた。
さっき来た病室だ。テオバルドがドアを開けた。
褐色の肌に長い黒髪が揺れる。ニコは既にユーリアの所に居たらしい。
「あ!スカイとテオと、リツもいるー!どうしたの?」
ニコは美しい緑色の目をこちらに向けて言った。
「ユーリアの様子を見に来たんだ。もう大丈夫そうだな」
「そうなの?ありがとう。僕もう平気!」
テオバルドの言葉に笑顔を見せるユーリア。その表情には裏も表もなさそうだ。
ユーリアの病的に白く細い手足から見れば、彼はそんな風に元気な少年には見えない。
しかし彼は実際に健康な律よりも、ずっと元気があるように見える。
ユーリアという少年は、きっとそういう性格をしているのだ。
「そうだ、シェナリーさんに言いに行かないと」
律ははっとして呟いた。
「何を?」
「俺、パイロットになるって決めたんだ。だから、心臓接続の手術をしないと」
律の言葉にユーリアの表情がさらに明るくなった。
ァァア前回投稿からずいぶん間が空いてしまい申し訳ないです……!




