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魔法使い?半魔王?

「ようやく使えるようになったか」


魔王様の拷問、もとい訓練から一時間ほどたってのこと。

俺の体力回復と座学の二つを同時進行でこなした。

正直何度か船を漕いで……つまりこっくりこっくりとしていたがそこは魔王様の魔法でバッチリお目覚めとなりました。

というわけでそんな座学で魔法の理論を学び、拷問のような訓練で感覚を学んだ俺は魔法、魔術と言われる類のものを使えるようになった。

使用方法はいたって簡単、まず魔力を感じます、このために訓練で魔王様の魔力を感じ取れるよう何度も魔術をよけさせられました。

次に心の中でどのような現象を起こすかを明確にはっきりと確実に練り上げます、頭の中ではなく心の中というのがポイント、座学でみっちり仕込まれました。

最後に魔力にイメージを載せて放出します、これであっという間に魔術使用完了です。

本来体つきを変える類と、攻撃などの類で放出するか体内にとどめるかなどの違いはあるけど大まかに言ってしまえばこんなもんだそうです。


「それで……いつまで私の腕の形で使うつもりだ?」


そう、おれは魔術を使えるようになっているけど未だに魔王様の、女性の腕のまま過ごしている。


「ひとまず俺の息子の相手をしてもらって、堪能し尽くしてから……嘘ですごめんなさいだからその魔術といてください」


ちょっと下ネタをぶちかましてみると魔王様は顔を真っ赤にして、目に涙を浮かべプルプルと震えながら訓練時の五倍(当社比)の魔力で俺を狙ってきた。


「……まったく、本当に勇者らしからぬやつだな、お前は」


「そういう魔王さまこそ、魔王らしからぬ可愛らしさですよ」


さっきの赤面涙目プルプルとかもう……股座がいきり立つ勢いだった。

そんなことを考えていたら後頭部を思いっきり殴られた、誰に?もちろん魔王様に。


「可愛らしいとか言うな、魔王たるもの威厳がなくてはならぬ」


これが魔王さまの考えのようだが実際威厳などあってないに等しい。

というのもさっきから魔族があちらこちらから俺たちの様子を伺っており、その大半が俺に嫉妬光線を放っている。

元の世界では光線を放つ側にいたためこう言うモノには敏感なのだ、嬉しくないけど。

ちなみに魔族の大半は、といのは一部奴らは微笑ましく俺たちを見守っているからだ。

これらのことから俺はここでやっていけそうな気がしてきている。

ずいぶん軽く思われるかもしれないが、嫉妬されるとか微笑ましく眺められるというのはある意味打ち解けているのではないかと考える。

もちろん友人、仲間としてはそうでもないかもしれないが、敵とは見られていないだろう。


「どうした?そんなに痛かったのか?」


魔王様がちょっと心配そうに俺の顔を覗き込んできた、うん何しても可愛いわこの娘。


「魔王様でえっちぃ妄想してた」


俺がそう言った瞬間、魔王様が俺の正面に立ち、左手で俺の袖右の内側を掴み、くるりと半回転して背中を俺の前面に押し当て、脇を通して右袖の外側をつかみ、足払いをかけつつ俺を放り投げた。

見事な背負投である……一本!とかいう余裕もなく俺はプルプルしている、もちろん魔王様のように恥ずかしいからでなく痛みと、背中を強く打って呼吸がうまくできないからだ。

さて、諸君よく考えて欲しい。背負投げを決めたあとの立ち位置を。

まず投げた相手は立っている、当たり前の話だ。

では投げられた相手は?もちろん寝ている、頭を投げられた相手の方に向けて。

そして、魔王様はスカートだ……わかるな?朗報だ諸君、こちらの世界にも水色の下着というものは存在する。つまり下着はカラフル十人十色である可能性が高いわけだ。


「魔王様……はしたないですよ」


まだちょっと苦しいが必死に言葉を紡ぎ出す。


「うるさい!自分の主を想像でとはいえ汚すやからがどこにいる!それもえええええええっちぃ想像でだなんて!」


赤面涙目っプルプル再び……カメラがないことが悔やまれる。


「ここにいますが……なんなら今晩お相手しましょうか?」


「死ね!」


結構シャレにならない魔術を頭めがけて撃たれました、もちろん避けたけど。


「冗談ですよ、えっちぃ妄想なんてしてません。ただみんなが微笑ましく眺めたり嫉妬したりしているから少なくとも敵とは思われてないのかなって嬉しくなったんですよ」


そろそろ本格的に泣かれそうなので本当の話をしてみた。

すると、なんと魔王様がジト目で俺を睨んでくださった。

超ぞくぞくする。

と思っていたら魔王様はため息一つついて普通の表情になって話し始めた。


「まぁいいさ、ここに居る魔族はみんな私の親代わりだったからね。それに私が右腕を与えたんだ、敵とは考えないだろうさ」


「どういうことで?」


「魔術とは己を傷つけることがない、己の魔力では傷つかないというルールがある。お前に右腕を与え、お前の右腕をもらった私、魔力は血に宿るため少なからずお前と私の魔力は混ざってしまっている。ここまで言えばわかるか?」


なんとなくわかった、つまり俺は魔王様を魔術で傷つけられないし魔王様は俺を魔術で傷つけられないわけだ……訓練とかで必死に避けていたとは言えノーダメージだったのはこういうわけなんだな。


「まぁ私自身としては信用しているというより唯一の敵であるお前さえどうにかしてしまえばという考えでこうしたんだがな……失敗したかもしれんな」


「俺としては美人さんと一心同体にな荒れて最高ですがね」


そう言うと再び後頭部を殴られた、魔術は聞かなくとも物理は聞くようだ。かなり痛い。


「最高といえば……さっき投げるときお尻や背中が当たって気持ちよかったですよ」


今度は背中を思いっきり蹴られた、魔王様を見るとかなりプルプルしていた。やっぱりうぶで可愛い。


「そういえば……水色の下着、俺語好みですしとても可愛かったですよ、ギャップ萌えってやつですかね」


みぞおちを半泣きで殴られた。正直三途の川目前まで悶絶していた。

魔王様はといえば。


「ばかああああああああああ!」


と叫びながらどこかへ走っていってしまった。

俺は一人、廊下に取り残されてしまったわけで……こっそり見ていた魔族たちからお説教と、《魔王様好き同盟》という俺好みの馬鹿野郎たちとの談笑と、帰ってきた魔王様による鉄拳制裁を経て自室に案内された。

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