試行錯誤③ 月面地下基地「バイオスフィア3」
色々考えたけど手持ちの知識では無理だった。
こう、後世に影響だの、オーパーツだのが見付かるのが怖くて月面の永久影に隠棲しているわけだが、だいたい真空中だから色々不都合が大きいんだよ。
なので、考え方を変えた。地下に居住空間を作ってしまおう。
小規模隔離空間内にミスリル筋魔法石でドームを作る。
鉄筋コンクリートの超強化版だ。
ドームの大きさは適当に半径100m位の半球にした。
中はくり抜いて居住部にしてある。構造計算は一応やった。アーチ構造だし、柱も建ててある。気密も完全に保たれている。
俺には必要ないが、窒素、酸素、二酸化炭素を一応充填。
最後にドームに鉛の外張りをして、プロパティ変更。
このドーム内に入って、ドコマデモ光経由で月面地下200メートルの土砂と置換。地下基地の完成だ。出口のないトンネルとも言う。ついでに近距離テレポートもできちゃった。月面から地球に戻るときは、土砂とドームを置換しとけばいいだろう。時間の流れは同じだ。
NATM(新オーストリアトンネル工法)はパス。トンネルはNATMで作った方が強い。が、この深さなら普通のアーチトンネルで大丈夫。ミスリル筋魔法石は頑丈だ。億年単位で劣化するようなら隔離空間で同じドームを作って置換すればいい。
ここまでコストは驚きのゼロ。ドコマデモ光や隔離空間はランニングコストの中だし、物資は過去に集めた物で間に合った。
「わざわざそんなことをしなくても、隔離空間内ではダメなのですか?」
エイダはきっとそうなんだろうね。でも俺、隔離空間内だと主観的な時間が狂うのよ。今でも千年二千年は誤差なんだけど、さ。
「そうですか。」
これで農政全書や動物百科を有効活用出来るかも知れない。
日光も風もないが未来の地球を真似してやった。上手くいくよう祈って「バイオスフィア3」と名付けよう。
「『バイオスフィア2』は失敗したプロジェクトですよ?」
エイダさん、そうは言うがな、そこから得られた知見って大事だと思うんだ。それに「バイオスフィア1」って地球の事だから悪くないと思うんだけどなあ。
「まあ、マスターは沢山悩みましたものね。ネーミングはともかく、マスターの考えが上手くいくと良いですね」
本当にね。こっちなら実体のエイダに指輪を渡せるかも知れないし。
「まあ!」
バイオスフィア2:実験は2年交替で科学者8名が閉鎖空間に滞在し、100年間継続される予定であったが、実際には最初の2年間で途切れた。第1回は1991年9月26日から1993年9月26日まで、その後第2回は1994年に6か月間一時的に行われた。(ウィキペディアより)
次回は月、火、水10時投稿します。




