8月6日(木)「花火の分解」
「起きて!!起きなさい!!今何時だと思っているの?!!7時よ学校行く時間よ!!」
叩き起こされて私の朝は始まる。今日は8月6日、広島県民の学生はみんな学校に行く日だ。広島県以外の子も登校があるのかは知らないが。
登校してやることは3つ。瞑想して、お話を聞いて、感想を書く。平和のありがたさや戦争の恐ろしさを学ぶためだ。家で毎日戦争を起こしている母親にもこれを義務付けるべきだな。
感想書きも終わり帰ろうとしたその時、
「水津、あとで事務室に来なさい」
担任に呼ばれた。何かやらかしたのか?心当たりが多過ぎて分からない。
「……というわけで、奨学金が貰える申請書だ。保護者に渡しておいてくれ!」
まさか、学校が私を優等生と認めるなんて。確かに成績は優秀だが、裏ではタバコに酒に洗剤、銃の密造に警察を轢きかけた不良生徒だぞ。
「先生、眼鏡を新しくしたらどうですか?」
「?」担任は首を傾げた。
家に帰ると、また母親がいた。未だに胃のダメージが癒えないらしい。なのでプランBだ。
「外に遊び行ってくる。」
「分かったわ。そこで待ってなさい」
外に行くことを聞くと、母さんは私の服を勝手に選び出す。私には服を選ぶ権利がない。本人曰く、センスのない服を着ないで欲しいからとのこと。
その隙に、花火とカッターを鞄に忍ばせる。プランBとは、外で花火を解剖することなのである!
夏はさらに勢いを増していて、外に出るだけで頭がクラクラする暑さだ。神社の長い階段を乗り越え、山に着く。森の日陰が心地良い。
花火を置き、昨日の解剖リベンジをする。相変わらず外殻は硬く、中を開くことができない。ならば!カッターを横に倒し、鉛筆削りの要領で剥がす!
削り方を変えるだけでこんなに違うのか。外殻はぱらぱらと赤黒い粉になって剥がれた。その粉から火薬の匂いがする。推定火薬を容器の中に集める。
さらに花火を削っていくと、木が出てきた。おそらく、持ち手の竹串だ。ずっと作業をしていると、遠くから女性のうめき声が聞こえだした。
「うぅ〜〜〜〜ぅ〜〜〜……」
苦悶に満ちた声色で、絶えることなく聞こえる。
当たりを見渡す。どうやら向こうで新幹線が車庫に格納されているようで、その音が人の声っぽく聞こえているだけだった。また幻聴が悪化したのかと焦った。やはり幽霊も神もいないのだ。
一本の花火を全て剥がすと、結構な火薬が取れた。ようやく発射テストができるようになった。これにて十一日目の報告を終了する。




