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#75 反乱軍と戦った話

 マリーと俺でファルカスとラーファに危険が迫っているからはよ避難しろと言ったのに、避難の仕方がわからなくてできなかった。

 本当、王城の奴ダメダメだよな。多分正妃が何かしたんだろうけど、ファルカスの避難指示が来ないなんて。

 仕方ないから民衆、特に逃げ遅れの捨て子やら孤児やらを急いで避難させて、戦場良くないから国王に言って後方につかせてもらって。

 俺は魔法が使えないから、直接戦場に行って怪我人を運び込んでいる。

 反乱軍も例外なく運んでいる。そして確保だ。

 死体がそこらに散らばっているし、俺も攻撃されるし。匂いもきつくていつまでできるかわからないが、とりあえず戦争ダメ絶対! 平和的解決を目指そうぜ。

 っていっても、俺なんかの力じゃ何の影響力もない。だから剣とロープ持って、反乱軍をどんどん縛っていってる。

 マリーが危険だ何だと俺を行かせたくなかったようだが、本当の危険が来ればクロードが来るらしい。

 恐ろしいな。多分ずっと観察されてる。絶対にクロードには来てほしくないので、自力で頑張る所存だ。


「遅くなった。君が敵軍を縛ってってるおかげで後方もだいぶ落ち着いてきたよ」


 お、マリー。彼女もロープを持って、反乱軍を纏めて縛っている。

 彼女がいるなら安心だな。

 ところでさっきから後方の場所が異常な程明るい。ラーファが大規模に治癒魔法をやっててそれのせいか。

 作業の続きをしようとロープを構えたところ、王国軍がどんどん撤退している。そして追いかけようとした反乱軍の前に大量の魔法障壁が張り巡らされた。

 ファルカスか。あいつもなかなかやりおる。だが長くは持たないだろうな。魔力消費が激しい。

 マリーが魔法で縄を飛ばし、反乱軍の周りを一周するように縄が広がっていく。そしてマリーが縄を引っ張り、一瞬にして反乱軍は鎮圧されてしまった。

 しかし指揮官とかもいるわけで。マリーは急いでどこかに行ってしまった。俺は退去命令が彼女からくだされたので、剣をしまってさっさと帰る。

 ファルカスは一気に魔力を使ったからぐったりしている。一般人ならあれだけの魔法を使えば一秒で倒れるのに、十秒くらい維持してたんだから大層な魔力してるよな。

 後方に帰ると、今もせっせとラーファが治癒魔法を負傷者にぶっかけていた。もう負傷者は来なくなっていて、ラーファの仕事が終わるのも時間の問題だな。


「ウリア。俺達でお父様に報告しに行こう」

「わかったー」



 多少元気になったファルカスが急いで城に向けて走っていく。

 うへぇ。国王、威厳あるから怖いんだよな。かといって護衛の俺がファルカスについてないと職務怠慢だし。

 王城で国王にことのいきさつをファルカスが伝えた。まあ、アレだ。俺達の誰も死傷しない作戦は俺達が勝手にやったものだし。こちらの指揮官が機転を利かせてくれたけど、一応国王に申し上げるってわけかな。

 国王はため息してちゃんと言えよと注意されたが、少し笑顔だった。お褒めの言葉もいただいちゃったし。ファルカスが。


「さて、ここからは一人ひとり縛らないとね。鎧も脱がさなきゃいけないし」


 とファルカスが面倒なことを言ってたので心底ビビッたが、既に王国軍がそれを進めていた。

 ここは任せて、マリーのところにいこう。

 そういえばこの反乱軍、侯爵軍なんだろ? 変なこともするよな。正妃を助けるために攻めてくるなんて。

 絶対正妃が裏で手を回しただろ。近頃静かだったのはそれをやってたからか? ほんと、何をしたいんだか。

 王国の乗っ取りなら、国王を操れば良かったのに。それをしないってことは、何か別の目的があるのか?

 例えば······? うーん。ファルカスを殺すためにしてはやりすぎだし。でも王国をどうかしたいにしては小さすぎるな。

 しかも正妃を助けるためって、別に何も危険じゃないだろ。正妃も捕らえられて今は避難中だし。避難するってわかってたなら、わざわざ王都に攻め込まない方がいいし。

 じゃあ、何でだ?


「――――狙いはお父様······?」


 ファルカスが突然そんなことを呟いた。多分彼も、俺と同じことを考えていたのだろう。

 俺もそれを聞いて確信に至った。

 いや、それはないだろう。そう思うだろ? でも今は違う。戦いが終わって後片付けに追われているとき。そして油断中。

 国王は人手が足りないから、護衛までこき使って仕事をするだろうからな。だから必ず、一人になる瞬間がある。

 その時を狙うために、今回の内戦を始めた。避難してて本当に人手が足りないだろうからな。

 負け戦確定のクソ作戦じゃないか。どうしてそこまで国王を殺そうとするんだ。バカじゃねぇの。

 ファルカスは転移魔法で国王のところに行っちゃったし。魔力ないのに突っ走んなよバカが。

 俺は急いで王城を駆け上がり、剣を抜いて念には念を入れて魔力を準備しておく。

 最上階。国王のいる場所では彼自ら魔法で戦っていた。ファルカスも応戦中だ。

 あれは······王妃じゃないか。本人が来るとか、本当にバカなんじゃないの。

 このまま俺が行けば不意打ちができるか。殺さないようにしないといけないから、そこら辺のカーテンを切ってロープにする。ロープの在庫が足りなかったから持ってこれなかったんだよな。

 流石に罪人とはいえ切るのはだめだよな。抜いた剣をしまってカーテンを捻じって紐状にする。


「ファルカスから殺してあげるわ!」


 正妃は巧みな魔法で圧倒している。バカな、二人がかりだぞ。

 よく見ると、国王は腹を刺されていた。だがファルカスにも彼にも治癒する余裕はない。

 正妃は俺に気づいていないみたいだし、不意打ちして治癒する余裕を作って差し上げようか。

 うーん、そうだな。ここは火属性で行こうか。魔力は結構あるし、行け! 魔之紅炎プロミネンス

 魔法に対して背を向けた正妃を囲むように、燃え盛る炎が巻き付く。そして、正妃がその炎を消した瞬間に、剣を抜いて不意打ち。

 全部気づかれてそうだったからな。ロープを作って剣をわざとしまって、剣という攻撃手段を思考から外したんだ。

 そして魔法に集中してるように見せてロープを床に置き、手を空けた。剣で攻撃したが、勿論魔法障壁で防がれる。

 そもそも正妃は俺が魔法を使えないと知ってただろ。きっと。だから結構驚いたんじゃない? ほら、国王が万全になっちゃった。

 刹那、と思う暇もなく。国王が一閃。しかし王妃のどこも切れていなかった。そう、これは隙を作るためのダミー。

 本命は俺の縄カーテン。体にぐるぐると巻き付け、ギュッギュと縛る。動きはできないが、魔法が使えてしまうのが欠点だな。

 そう思っていたところ、国王が奴隷用の足枷を正妃につけた。アレ、いわゆる魔力封じってやつなんだよね、確か。


「何故だ。国を覆せる権力を持っているのに、何故こんな馬鹿なことをした」


 苛立ちを含んだ国王の低い声が、荒された部屋に響いた。腹は刺されたし普段しないようなことまでしたのに、余裕の表情である。

 それに対して正妃アリアは動じず、屈辱的な状況にありながらもファルカスを睨みつけていた。

 俺はファルカスの近くに立って、職務怠慢をなかったことにする。仕方のないことだったしね。


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