表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
73/100

#73 隣国王子の友だちになった話

「あれ、ウリア君が二人······」


 あ、違います。確かにウリアとウリアだけど······確かに、黄色みのある髪に赤の目だけどね!? やっぱり似てるのか!? 嘘だろ、一緒にするなよ! 王子が可哀想だろ!

 どっちに応じるべきか。ユリウスは何故か立ちすくんでいるし、王子の方に応じよう。ダジャレじゃないんだけど。


「そちらは? お知り合いの方ですか?」

「まあ、そんな感じです」


 親を殺した奴の仲間というのは伏せておこう。ユリウスには恩がある。恩とも思っていないけど。

 それより何か? 早く本が読みたいんだ。


「あの、ウリアさんとも、お友達になりたくて······」


 うわ、ついに来たよ。ファルカスだけお友達ってわけにはいかないだろうなとは思っていたが、まさか俺に来るとは。彼、身分は気にしなさそうだとは思ったけど。

 俺と友達、ね。まあいいけど。


「勿論! 仲良くしましょう!」


 ここは笑顔で明るく首を縦に振るのが正解だろう。ちっ、面倒な。ラーファにしてくれっつーの。

 ユリウス? お前何してんの。さっきからうつむいたりしちゃって。


「あ、ありがとうございます! じゃあ、僕はこれで」


 早々と王子は立ち去っていった。お次はラーファかな。せいぜい塩対応してくれるなよ、ラーファ。

 ユリウスはさっきから様子がおかしいので、俺は無視して本を探し始める。セントリア、セントリア。文化とかは流石にないか。

 しばらく経って、俺がいい感じの本を見つけたくらいに、ユリウスがやっと口を開いた。


「さっきの、もしかしてセントリアの王子様?」

「はい」


 え、見ただけでわかるのか。見たことあるのかな。それとも留学して来たっていうことを知ってたか。

 俺は随分と彼に神経を削られたから決して目を合わせず本を開いて読み始める。もう行っていいかな。

 ユリウスの方を少し見やると、何故かとても不機嫌そうだった。俺のせいじゃないのは確定だが、何かセントリアに因縁でもあるのだろうか。


「······そういえばウリア君と同じ名前だね」

「はい。とても不便です」


 うふふ、そういえば実質俺の名前つけたの、君だったねユリウス君。何か、企んだりしているのかい。

 レイガルドには誰か中にいるし、ユリウスは何考えてるかわからないし。必ずいつか苦しませて殺したる。

 ウリア、か。すっかりこの名前に慣れてしまったな。

 用がないのならと数冊抱えてその場を後にしようとしたが、ユリウスの様子がおかしい。

 魔力についての本ももらって恩もあるし、恩返しとして話でも聞いてやろうかねぇ。多分俺の方が年上だし。


「何か、悩みごととかあるんですか」

「え、あぁ、いや? 何でもないよ」


 あはは、と軽くユリウスは笑った。しかしその表情は固く、上手く笑えていない。

 どうしたんだ、もしかしてかなり疲れているのか? レイガルドに振り回されてるんだよな。よろしい、愚痴なら聞いてやろう。誰にも言わないし、俺はレイガルドの悪口なら際限なく言える自信あるぞ。


「あ、そうだ。もし苗字がなくて困ったなら、ウリア君。僕の養子に――――」

「いえ、結構です」


 そういう話じゃないんだよな、ユリウス君。お前はいいや。

 誰が親を殺した奴の養子になるかい。アホか。たとえ彼が親を殺していなくとも、仲間なのは間違いないだろ。それに、ユリウスまだ若いでしょ。若造に親になる責任を負わせたくない。

 長話になりそうなので、俺はとっとと逃げた。悪いな、早く本が読みたいんだ。

 やっぱり、終始ユリウス様子がおかしかったな。もしかして、彼もレイガルドと同じで誰かに操られてるんじゃ······!? 要注意だな。

 王子と別れ、王城に帰る。今日も無事だな。いつ何が起こるかわからない以上、神経をすり減らす日々だ。

 ファリナも、無事だな。アルタイル付いてるし。

 じゃあちょっとだけ自分の部屋で休んで、ゆっくりしようかな。

 俺の部屋のドアを開け、あくびをしながらまた閉める。そこで気づいた。誰かがいたことを。小汚いローブで顔を隠し、いかにも怪しい。

 一旦ファルカス達のところに戻ろうかと考えたが、かえって危険だな。一人で対処するしかないか。

 これぞ、練習の成果だ。剣を抜き、なるべく素早くぶっ倒す。しかし忍び込んで来るくらいだから簡単に避けられた。


「何もの――――」


 クソッ。俺、魔法使えないから不利か。一瞬で姿を消したと思ったら、俺の後ろに移動して口を塞ぎやがった。

 こいつ、まさかファルカス目当てじゃない? 魔法がこれだけ上手に使えるなら、既にファルカスを殺すなり焼くなりしてるハズ。

 剣を振り回そうにも······あ、腕掴まれた。相手は大人。力と体格の差で暴れても負けてしまう。


「私だ、マリーだ」


 マリーさん!? え、あー、何だよ、紛らわしいな! まあとにかく、怪しい者じゃなくて良かった。

 腕と口を解放されたので、俺も大人しく剣をしまって机の椅子にどうぞどうぞする。ファルカスたちは呼ばない方が良さそうだな。

 何の用かと聞くと、俺の身に危険が迫っているらしい。


「クロード君から君を守れと言われているからね。仕方なく私の家は犠牲にしたよ」

「犠牲?」


 彼女曰く、ここ、王都に反乱軍が迫っているらしいのだ。確かにさっきかたら城内がうるさい。

 そして王都が確定で戦場になるから、王都郊外の彼女の家は捨ててきた、と。とはいえ荷物を全部収納魔法で保管済みだから大丈夫、か。

 いや、これ絶対ファルカスに言ったほうがいいやつぅ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ