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僕らの冒険2  作者: じっつぁま
終わりから始まりへ
6/61

6話



次の日の天候は、雨だった。

ぐずぐずした天気の日も、ジュンイチは早起きだ。体力不足を解消する為に始めたランニングは、今も継続している。しかし、レベルアップの影響で以前より身体が軽い。不自然にならない様速度を少し抑えながら、町内を走るジュンイチであった。


濡れた身体をシャワーで流し、朝食を食べて学校に向かう。

クラスに入ると、リョウが笑顔で挨拶してくれる。周りの目線が痛い、だがしかし、リョウと話すのは楽しいジュンイチであった。


「おはよー」


「おはよー、ジュンイチ。昨日はどうだった?」


「うん、ぼちぼち」


「じゃあ、少しは上がったんだ?」


他愛もない話をしている間も、リョウは他のクラスメートから挨拶されていた。


「おはよう、綾波さん」


「おはよー。それでねジュンイチ、私ね、昨日フェンシングの模擬戦で勝てたんだよー。」


「・・・それは、すごいねー」


朝礼が始まるまで、ずっとリョウはジュンイチに話しかけてきた。ジュンイチは周囲の目線に負けまいとしながらも、リョウの話に返答するのであった。



昨日と同様6時限目が終わり、リョウはフェンシング部に行ってしまった。

ジュンイチは、異世界へ行こうと下駄箱で履き替え、校門に向かうとまた再びDQN3人組が待っていた。


「・・・デジャブの様だな」


「おぅ、佐藤、つらかせや!」


肩を組まれ、DQNに囲まれながら、昨日と同じ公園に向かう。


「要件はわかっとろうな!」


「・・・いえ、なんのことでしょう?」


「綾波様のことじゃ、ボケー!今日も仲良くしゃべっておったろうが!どうなっとるんじゃぁ!」


「いやそう言われましても、話しかけてこられるから、すげなくするのもいけないかと」


「そりゃそうじゃ!」


・・・どっちやねん。


「・・・そうすると、どうすればいいんでしょうか?」


「問題はだなぁ、ずっと一緒に話とるんがいけんのじゃー」


「じゃあ、途中で話すなと言うんでしょうか?」


「それじゃぁ綾波様がかわいそうじゃないか!」


・・・いやだから、どうせぃっちゅうねん。


「じゃあ、どうしろと?」


「そんなこと、わしが知るかー!」


DQN1号が叫んだ途端、2号が後ろから羽交い絞めに、3号が太ももに絡みついた。

DQN1号の攻撃、右ストレートが飛んで来る。

ジュンイチは、当たっても痛くないかな?と思いながら、寸前となり左後ろに躱してしまった。

1号は3号につまずき、2号はジュンイチの背中で押されて、そのまま後頭部を地面に打った。

やべっ、と思ってジュンイチはそのまますたこらさっさと逃げて行った。


「待てこらぁ!」


「綾波様にどうすればいいか、訪ねてくださいよー」


叫びながら、ジュンイチは走り去るのであった。

そして、そのまま、ジュンイチは日本からもガイア世界からも消えてしまったのであった・・・



*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*



それはジュンイチが消えてから5日後のことであった。

王妃の隣の部屋、勇者の間に7人の人間が集まっていた。


「ジュンイチが、ジュンイチがいないの!」


「落ち着いて、リョウ。ジュンイチの居場所は見当ついているわ。その前に、何が起こっているか説明するわね」


勇者の間に集まったのは、リョウ、レーコ、ケーゴ、ユーマ、ソフィア、王と王妃である。

そこには異世界の門が2つ存在していた。1つは以前レーコが作成した日本と繋いである門であるが、以前と異なり周囲には見慣れない魔石が数多く填め込まれていた。もう1つは、再度レーコが作り直した異世界の門であり、門扉に『日本行き』と書かれている。ジュンイチがいなくなって会議が5日も後になった理由は、門の異変に気づいてから再作成まで時間がかかったからであった。ようやくできた門をくぐり、今リョウがこちらに来たばかりである。


「まずは、情報のすり合わせをしましょう。5日前ジュンイチがこちらに来て、その門をくぐって帰るところまで王妃様が見ているわ。そうですよね?」


「ひっひっひっ。・・・ごほん、失礼しました。5日前の夕方、ジュンイチ様がこちらに来たところから見ています。日本での衣服を着替え、2時間弱程度の後に帰って来られました。衣服を着替えるときはわたくしは退室していますので、門をくぐって帰るところは見ていませんが、多分門をくぐったのだと思っています」


「その時、門にこのような魔石があることには気づきませんでしたか?」


「その前の日に掃除夫がやってきまして、門の清掃の為に塗料を塗ったからと黒布が掛けてありました。当日から数日間それが掛けっぱなしだったので、魔石に気が付いたのは3日後となります」


「ジュンイチがいなくなる前に一度この部屋からお出になったんでしたよね?」


「えぇ、この人(王)に呼ばれまして、1時間ほど歓談していました」


「結局3日後にユーマが門の違和感に気づいたのよね?」


「そうなんだ。特に用事があった訳ではないんだが、勇者の間にある自分のロッカーに荷物を取りに来て、門の黒布に気づいたんだ。掛けっぱなしもおかしいので捲ってみたら変な魔石が填め込まれていたんだ」


「そうして、私たちが呼ばれたということなの。この門はどうも別次元の異世界に通じているみたいで、ジュンイチはそこに行ったみたいよ。新しい門を作るのに丸1日かかって、リョウを呼んだという訳」


「5日前にお母さんがジュンイチ君が帰ってきていないんじゃないかって言って、次の日からジュンイチの姿が学校にも、自宅にも見えなくなったの。異世界の門は開かなくなっていたし、私心配で・・・」


「要するに、誰かが迎えに行かなければならないだろうな。最終的にはレーコが行かなければいけないだろうが」


「直ぐには無理だわ。この門と同調させるには、門の理論を構築しないといけないから。爺様にも来てもらって研究して、大体1週間は少なくともかかるわね」


「ジュンイチは日本の衣服で、別次元に行ったんだろうな。ブレーサーも置いてあるようだし」


「私が迎えに行ってくる!」


最終的にはリョウが別次元の異世界に行くこととなったのであった・・・

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