第11話 無人タクシー
おばあちゃんの家は結構な田舎にある。
結構な田舎だけれど、その昔は貴族の別荘があったとかで、由緒正しい家柄のおうちが近所にいっぱいある。
伝統文化もたくさん伝わっていたらしいけど、人がいなくて、いくつも廃れてしまって残念に感じてしまう。
最近そんなおばあちゃんの家のある村である実証実験が行われるという話を聞いた。
無人タクシーの実験をするんだそうだ。
道路幅も大型ダンプもすれ違いできるくらいだ。
公共交通機関がないので、村の人たちの買い物の足代わりになるかもしれないとかなり前向きに話しが進んでいるらしい。
「おばあちゃん、無人タクシーできたら、買い物とかも楽になるんじゃない?」
「そうだねぇ、近所の人たちと街に出かけるのに良いかもしれないね。でも運転する人がいない乗り物って怖いねぇ」
「人間の目の代わりになるセンサーとかついてるし、最近のAIはすごいらしいから、大丈夫だよ。都会でも実験するみたいだよ」
「それって、機関車トー〇スみたいに顔が付いていて、会話しながら走ってくれるのかねぇ」
「顔が付いていたら面白いね!」
「顔が付いている車と言えば、この村には、こんな話があるんだよ」
そういうと、おばあちゃんはゆっくり話し始めた・・・。
今はめったに見ないんだけれど、春の朧月夜に村のメインストリート(どうやら神社の前の道幅の広い道路のことらしい)に、
キシ・・・キシ・・・
と軋み音を立てゆっくり進んでいく車があるらしい。
平安時代の牛車みたいなのを想像すると、似た様な感じだそうだ。
車の前には顔みたいなものが付いていて、スモークガラスになっているのか暗くて、誰が乗っているかわからない。
数年前に赴任してきた駐在さんの話だと、月夜で明るいからと言って無灯火だと危ないので、前方に回って注意しようと近づいたら、車の前の顔にウインクされたらしい。
びっくりして腰を抜かしながら見てたら、次の交差点でウインクしながら曲がっていって、す~っと音もなく消えてしまったそうだ。
「いや~車輪の音はするけど、音がしないっていうのは、最近のEV車みたいだね~」




