#3-2 暁サイド
「え、」
さすがに驚く。大体、手榴弾なんて何処で手に入れたんだ…?
「あ。そう言えば…」
説明書の最後の方のページに、何か書いてあった気がする。確か、、、
「民家から奪ったか。」
俺達の周りを囲むように建ち並ぶ民家は、確か幾つかアイテムがあったはず。藍沢さんやノギ、流を倒すのを第一に考えていた為、すっかり忘れていた。
「ふっふっふっ…抜かりなしだよ、暁!」
麗美さんはそう言いながら、俺にライフルの銃口を向ける。俺も二丁拳銃の構えを取り、彼女の急所の部分に銃口を向けた。
「ふっ…それじゃあ…」
撃ちまくり合戦第二ラウンド。麗美さんは流より狙撃能力があるからか、俺もかなり苦戦していた。
「っていうか、『Eスポーツ』は麗美さんがやった方が良かったんじゃない!?」
「いや、私もあんまりこういうのやった事無かったし…うまく出来るかあの時は不安で…」
「俺もやったこと無かったんですけどっ!」
先程まで簡単だったゲームが一気にむずかしくなった気がする。だって、撃っても撃っても麗美さんに届くことが無いのだから。代わりに、麗美さんも俺を撃つことにやや手こずっているようだった。
「にしても、暁って避けるの上手いね。」
バトルの様子を眺めている流は、静かにそう呟く。確かに、言われてみれば狙撃をするより、弾を回避する方が簡単な気がする。だが、回避能力が凄くても、勝てるはずがない。どうにか勝つ方法を考えなければ…
「いけー!!私達の恨みをはらせー!!夏居ー!!」
「夏居、頑張れ!!」
ノギと藍沢さんはどうやら麗美さんの味方だそうだ。…酷い話だ。
「…よし。」
覚悟を決め、俺のアバターは、麗美さんに突っ込んでいった。すると狙い通り、麗美さんは驚いたのか、やや乱雑に弾を撃ってきた。
「……!!」
だが問題は無い。弾を避けながら、俺は向けられているライフル銃を横目に、彼女のアバターに触れる事に成功。そして、少しの時も与えず、素早くトドメの一発を与えた。
「…ハア…よし」
なんとか勝つ事が出来た俺は、座っている椅子に見事脱力。麗美さんも、負けちゃった…と残念そうな顔をした。
「…にしても、夏居も中々やるね…説明書を短時間で、隅から隅へ読み込むなんて抜かりない。」
流がそう褒めると、「暁の方が強すぎるよ…」と麗美さんは呟く。
「あの場面で冷静な対応が出来るのは、暁にこのゲームの才能があることを物語ってるよ。これなら、『Eスポーツ』も大丈夫そう。」
麗美さんが俺にそう微笑みかけたのと同時に、他のメンバーからも拍手が起きた。
「凄かったよ、暁!やっぱり『Eスポーツ』は暁にして正解だよ。」
「やるじゃん、暁!」
藍沢さんは椅子から立ち上がり、俺の肩を両手でポンと叩く。
「藍沢さん、それに他の皆も俺の練習に付き合ってくれてありがとう…あと、麗美さん。」
微笑みを浮かべている彼女は、「なにー?」と明るい返事をする。
「麗美さん、さっきので思いっ切り分かったんだけど…強いじゃん?だから、良かったら当日まで練習相手をしてくれないかなーって」
「ヒュー!ナンパも良いところねぇ~?」
藍沢さんが背後から茶化してきたが、取りあえず置いておこう。一方、麗美さんはと言うと、とても快い返事をしてくれたのだった。
「まあ、私も自分“達”の種目の準備しなくちゃいけないから、毎日は難しいけど_できるだけ手伝いたいな!」
麗美さんのその台詞を聞いた瞬間、誰かが固まったのが分かった。
「ア、ソウダネ…準備シナクチャネ…」
自分達も準備をしなくてはいけないと言うことを実感した流は、ロボット口調のまましばらく固まっていたのだった。




