18話
その日は、1日スティと話すことはなかった。
移動授業も、お昼ご飯も、休み時間だって1人だった。
何回か話しかけに行こうとはしたよ。
だけど、その度に逃げられてしまった…
はぁ、これからどうしよう。
悩んでいると、ルイが声をかけてくれた。
「おい、本当に大丈夫か?スティとケンカでもしたのか?」
ケンカ「でも」だって?
「なによ!ルイのばかぁ…」
私はそのまま泣き出してしまった。
ルイに言い当てられて、バカにされて、悔しかった。
ルイは慌てている。
何か言っているみたいだけど、耳には届かない。
声を上げて泣いていると、ルイがそっと抱きしめてくれた。
「ごめん。だから、もう泣くなって…」
暖かくて優しい。
そのまま、ルイの胸を借りた。
しばらく泣き続けて、少し落ち着いた。
冷静になってくると、かなり恥ずかしい状況だ…
「ルイ、ありがとうね。もう大丈夫だから。」
離れようとしても、グッと抱きしめてくる。
ひぇぇぇぇ、どうしよう。
てか、ここ教室!
他の生徒に注目されちゃうでしょ!
って、もう遅いか…
魔法の反復練習をサボった。
サイモンさんに見つかるかヒヤヒヤしたけど、ルイが上手く避けてくれた。
その間、ずっと手を繋いでいた。
お互いに照れてしまい、まともな会話はなかった。
けど、心地よかった。
「なぁ、街にでも行くか?」
え、街があるの?
私がびっくりしていると、ルイは付け加えた。
「週末だよ。外出届け出してさ、デートしようよ。」
デデデデデデ、デート!?
マヌケな口をパクパクさせていると、嬉しそうに笑われた。
「楽しみにしててよ。」
あぁ、やっぱりルキに似ている。
不覚にも、ルイに対してキュンとしてしまった…
ルイのおかげで、少し元気がでた。
でも、スティとは話せていないまま。
明日はちゃんと話せるかな?
ううん、話すの。
絶対に仲直りするの!!




