ナチュネ・フェリア
「よかったら、一緒に行きませんか?」
泣き止んだ後にイーナが女の子に言った。
「レイハさんもいいですか?」
イーナの問いかけに首を縦に振った。
「あなたのお父様とお母様の代わりにはならないと思いますが、せめて寂しさを紛らわすために旅についてきませんか?」
「旅?外の世界?」
「はい。怖いこともあるかもしれませんが、私たちが守ります。」
女の子はうーん、うーんと悩んでから、俺とイーナを交互に見てからこくんと頷いた。
「行く!もう、一人はいや!」
「そうか、そういえば、訊くのを忘れていたが名前は?」
女の子はニコニコと笑いながら元気よく言った。
「ナチュネ!ナチュネ・フェリアだよ!」
その夜、イーナもナチュネも寝て俺が火の番をしていた時だった。
急に森がざわめきだし、木々のざわめきの隙間からあちこちから声が聞こえた。
「フィシとファータの子が救われた。」
「よかった。」
「ありがとう。」
「こんばんは。あの子のこと、ありがとう。」
お辞儀をしただろう姿の見えない相手を俺はよく知っている。
「こんばんは。ナチュネに記憶を消すことはできない。できるとするなら、貴方様くらいですから。見守っていたんですよね。森の女神様。」
神はこの世界の種族に数えられない。神はここより上の次元に住んでいて、滅多にこちらの世界にくることはない。
聖人に加護を与える神は加護を与えた聖人の子供にも加護を引き継げることがある。
森そのものがわさわさと騒ぐ。
「見つけてくれたのがあなたたちでよかった。ほんとうによかった!ありがとう。」
すっと気配が消え、森もいつものような静かな森になった。
「ナチュネはほんとうに家族に愛されてるな。」
過去の言葉が蘇る。
『・・・あなたはわたくしの弟ですもの。フフフ!』




