再会
--ある晩、某映画テーマパークの営業時間後に、とある年配の大女優が訪れていた。
そのテーマパークの売りは、役者になりきり、映画の内容を体験することができるもので、彼女はスポンサーの1人だった。
馬車の座席下の荷物入れに隠れ、海外へ逃亡するシーンを体験するコーナーで、彼女が荷物入れから出てくると、そこには男性が座っていて、彼女に向かって映画の中のセリフを言った。
「やぁ、メアリー。待たせたね。」と。
大女優は驚き、その目からは涙がこぼれた。
その男の振る舞いは、まるで、その映画に出てくる若い正統派紳士役そのものであった。
しかし、その男をよく見ると、ヨレヨレのパジャマ姿に、土汚れた裸足の老人であった。
そして、その男は次の瞬間、その口から血を吹き出した。
直後、施設管理者が慌てて駆けつけ、その後から看護師と介護士も走り寄ってきて、老人は彼女から引き剥がされた。
「申し訳ございません!このじいさん、夜になると施設から抜け出しては、ここに忍び込むことを繰り返していて…」
施設管理者の謝罪に対し、彼女は「大丈夫…大丈夫よ…」と答えたが、涙が止まらなかった。
そして、タンカーに乗せられ運ばれようとしている老人の元に寄り添い、言った。
「ジェレミー…本当に貴方なのね。」
それを聞いた老人は彼女をまっすぐ見つめ、答えた。
「メアリー…あぁ、僕はあの日、本当は君を迎えに行けなかったんだな…。」
「いいの…。もういいの。今日まで生きていてくれて、ありがとう…。」
老人はその言葉を聞くと穏やかな表情になり、そのまま息を引き取った。




