白い記憶(始動する歯車)後編
後半。眠くて文章が乱雑になってしまった……気に食わないから、もしかしたら変更するかも(いつになるかわからないけれど
今まで誤字訂正を見る場所が分からなくて、誤字訂正ができなかったです。ようやくやり方がわかりました……
ブクマが10になりました!嬉しいです!モチベもガンガン上がります!天井知らずです!
ようやく1章が終わり……と思いきやあと1話続きます。と言っても、キャラ説明的な奴なので次の話は飛ばしていただいても構いません。
2章も楽しみに待っていただけると幸いです。
「…………愛斗」
掠れた声が喉から出る。緊張。緊張しているんだ、僕は。
半年前に話した最後の会話を思い出す。
『お前は、俺を……俺達を裏切った』
『裏切り者』
愛斗とはできればもう会いたくなかった。特に、凛と一緒にいるときには……
愛斗は嫉妬深い。それがこの3年間の愛斗の総評である。特に凛に対しての執念、嫉妬は僕の想像の遥か上を行った。それは最早異常の域だろう。
「何しに来たの?」
ゾクリ。
背中の上を虫が這いずり回るような悍ましさを感じる。
誰がそれ程の気を放っているのか。
凛の語気が更に荒くなる。
「私たちには近づかないでって言ったじゃん」
初めて聞く内容だったけれど、それで僕の頭がようやく理解する。
どうしてこの半年間愛斗は僕たちに接触しなかったのか。
答えは凛自身だったようだ。
「何しにって……そりゃ、瞬の正体を暴くためだ」
え……?
僕の……正体?
彼は……愛斗は……僕が何者なのか知ったのか?
どうやって?いや、そもそも信憑性は高いのか?嘘の可能性もある。何だったら僕たちに対してカマをかけているのかもしれない。
「え……?」
困惑した声。
僕の心をそのまま音読した言葉は凛から発せられたものだった。
その横顔には怒り以外に焦燥が見え隠れしていた。
僕の正体。
僕はそもそもこの世界の住人ではない。愛斗が読んでいた「らいとのべる?」という本に書いてあった単語で言うならば「異世界」が出身である。
とはいえ、その当時0から6歳だった僕には住んでいる場所は愚か国すらも知らなかった。
そして6歳。凛と会って僕はお母さんがつけてくれた「清宮瞬」という名前で「赤浜家」の一員になったわけだけれど……ずっと疑問に感じてきたことがある。というよりはこの幸せを壊したくないから逸らし続けてきたって言った方が正しいのだけれど。
ーー何で誰も僕の存在に疑問を抱かないんだ?
出身:不明 両親:不在 同居:理由不明確 転入:元居た場所不明
その他諸々、上げ出したらきりがない。自分で言うのもあれだけど僕には謎が多い。いや多すぎる。
気付こうと思えばの話ではなく、普通に気付く話なのだ。つまり、愛斗は……
「呆けた面しているそこの……瞬の出身地や故郷とやらや、家族について調べさせてもらった」
「僕の故郷……」
そう聞いて最初に浮かぶのはでかい屋敷だった。
僕とお母さんだけでは到底あまりすぎる敷地面積を誇る、日本ではありえないような大豪邸。
「ど、どうやって調べたのよ」
凛の動揺っぷりに僕も少し焦る。
凛はいつの間にか僕から手を離し、僕を守るように前に出ている。
僕には、何でこんなに凛が焦っているのかイマイチ分からなかった。
確かに僕の存在について暴かれるのは少しまずいけれど、結局は僕は無関係者だ。
赤浜家と僕には接点が無い。だから、もう少し堂々としていても良いはずだ。そう思っているのは僕だけだろうか?それとも、何かバレたらまずい何かがあるというのか?
慌てる凛に愛斗が笑う。
「悠太郎の姉貴だ」
「「……は……?」」
二人揃って間抜けな声を上げる。当たり前だ。前聞いた話と、今愛斗が言った話が噛み合わないのだ。
「い、いや。悠太郎は一人っ子だろう?」
兄弟も兄妹もいないはず。少なくとも小学校の時はそういう認識だった。
チラリと悠太郎を見ると
「……大切な存在だよ」
……どうやら本当の事らしく、悠太郎の瞳にはその大切な存在に対する「愛」が含まれていた。
ーーお母さん再婚したの?
論外。聞けるわけない。流石に阿呆過ぎる。
「そんでまあ悠太郎に頼んで、その姉貴とやらに『瞬』について調べてもらったんだ」
「嘘よっ!!!!」
凛が叫ぶ。僕は初めての事態に困惑していた。
今まで会ってから今日この日まで、怒ることはあっても怒鳴ることが無かった凛が初めて怒鳴った。
これ程までに怒り狂う凛を見たことが無かった。
「なあ、瞬。素直に教えてくれ…………お前は一体何者なんだ?」
……?愛斗の瞳には確かに怒りや憎悪があるものの、そこに微かな異変を感じる。
(僕に恐怖している?)
馬鹿な。僕達は今窮地に立たされている。向こうの方が明らかに優勢である。圧倒的有利のポジションに位置している。
なのに、その瞳には恐怖が見えた。
一体、僕についてどんな情報を知ったというのだ?どんな情報を知ればそんな顔を僕に向けれるのだ?
話を戻そう。愛斗の質問に僕は答えるべきなのか?
広い屋敷。何不自由ない生活。大きな庭。なぜかこっちの世界とあっちの世界の二言語が話せるお母さん。殺されたお母さん。愛のカーネーション。鉄の匂い。親しくしてくれた男性の裏切り。霧かかった僕の記憶。
まだ凛にも話したことがない話の数々。
これは選択か。
二つの道が僕の前に立ちはだかる。
僕は…………
話s
「ダメ!!!!嫌だ!!!!!!」
信号機が赤から青に変わる。
唐突な強風が僕達の間を抜けて、花びらが舞う。
この場の空気に適さない爽やかな風がシグナル音を運んでくる。
「凛?」
流石の僕も訝しむ凛のその態度。僕は凛のその態度のついて言及することを決意して……
「凛」
名前をもう一度呼ぶ。その瞬間。
「!?」
凛がこちらを向く。
狂気を瞳に乗せて。
「ダメだよ。瞬君」
「あんな奴。信用しないで」
声が出なくなる。
足が震える。
全身が痙攣する。
「り……ん………」
「凛」
僕の掠れた声に変わって凛を呼んだのは愛斗だった。
「お前は、瞬に騙されてるんだよ」
「ひっ」
凛の顔から表情が消える。今凛の顔を見ているのは僕だけだ。
見たくない。見たくない。見たくない。見たくない!
瞳から色が消える。感情が失せる。
「瞬一人のために、何もあんなことしなくても良いだろ?」
その言葉が決め手だった。
僕には愛斗の言った言葉が何一つわからなかったけれど、どうやらその言葉は凛の琴線に触れたようだった。
「おい」
冷え切った言葉が凛から出る。
おおよそ、女性の体から出せるとは思えない低くて暗い声だった。
それほど凛は……キレていた。
「瞬君の前で!それ以上話すなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
「調子に乗るなよ!!お前如きが!!瞬君を!!瞬君の事を!!知ったかぶって語るなァァァァァァァ!!」
「り、凛」
「黙れ!黙れ!!黙れぇぇぇ!!私と瞬君の邪魔をしないで!!」
「り、凛!」
僕が名前を呼ぶ。
「そもそもお前は!事あるごとに私と瞬君の邪魔をして!!お前みたいな奴がいるから!!お前さえいなければ!!」
「良い加減にしてよ!!!!」
「「「!!!」」」
凛は今、言ってはいけない言葉を言った。
『お前さえいなければ』
それは、言っちゃいけないだろう?
今の僕達があるのは愛斗がいたのも要因の一つだ。
それに何より、
僕と愛斗の思い出を無かったことにはしないでほしい。
故に、僕の中で感情が爆ぜた。頭の中で理性を保たせていた何かが音を上げて砕け散る。
自分にしては大きい声が出た。それ故か、自分でも何叫んでるんだろう……と恥ずかしくなってみんなの顔が見れなかった。
「2人とも何でそんなに言い争うんだよ!」
今更になってよくよく考えてみるも、
「小学校の頃みたいに仲良くなってほしいだけなんだよ!僕は!」
子供の幼稚な駄々コネだった。
僕はみんなのことを理解していなかった。
白い心故に、僕は真の意味で「子ども」だった。
「頼むよ……」
ポツリと最後にそう言って僕はようやく顔を上げた。
凛の顔が映る。悠太郎の顔が映る。最後に愛斗の顔が映る。
凛は……ニコリとした笑顔で僕のことを見てくれていた。
悠太郎は……驚いた表情のまま僕を見つめていた。
2人を見て僕は少し安心していた。
その目に驚愕はあろうが、嫌悪感や憎悪は一切含まれていなかったからだ。
みんなに伝わったのか。そう思って最後に愛斗に視線を向ける。
「……ざ……るな……」
「え……?」
僕の安心した顔が凍てつく。
何と言ったか……小さな声だったから聞き取りづらくはあったけれど、僕の耳はその言葉を明瞭に聞き取っていた。
そして、僕は愛斗が放った言葉に放心した。
「ふざけるな!何が仲良くしろだ!!俺から!俺から凛を奪っておいて!何を……何を呑気に……!!裏切り者の癖に!!」
愛斗が美形のその顔を歪ませながら叫ぶ。
ヒステリックな叫びが僕の耳を通過して脳に直接響く。
ドロリーー
遅巻きながらも理解する。僕が子どもで、僕がどれだけ阿呆なことを言ったかを。そしてどれだけ最低なことを言ったかも。
自分自身で言ったじゃないか。愛斗は、嫉妬深い……って。
ドロリ。ドロリ。ドロリドロリドロリドロリドロリドロリドロリーー。
壊れていく。
愛斗の言葉が僕の脆弱な心にメスを入れる。
そうかそうか。この半年間が幸せに満ち過ぎて、僕は完全に忘れていた。
ーー僕は裏切り者じゃないか。
ーー何を勘違いして、何をほざいているのだ。
「あは。あははは。あはははははははははは!!!」
笑う。笑うしかないだろう。
叫ぶ。腹を抱えて叫ぶ。
絶唱する。泣き叫び、狂気の歌を歌う。
止まらない。止まらなかった。僕自身が滑稽すぎて、止めることなどできなかった。
白い心に貼ってあった薄い絆創膏が音を立てて剥がれ落ちる。
きっとこれは凛が僕につけてくれていた甘い毒。
何の手当も施さず、治したふりをして目を逸らし続けてきたかつての傷。
気づいていないだけで、僕の心はすでに壊れていたのだ。
ただ、時期がたまたま今日だっただけで、いつが瓦解してもおかしくなかったのだ。
純粋なままーーそんなの理想上の話。日本のことわざで言う「絵に描いた餅」だった。
ドロドロでグチャグチャな僕の心。
そんなグチャグチャな僕の心を愛斗にかき混ぜられたのだ。
凛という理想を見続けたせいで、僕という現実から目を逸らし続けていたなんて、滑稽で仕方がない。
このまま笑い続けて死ぬんじゃないか?そう僕が思い始めた時。
「瞬君!?」
「え?」
僕を呼ぶ声が聞こえて、僕はようやく現実に戻ってこられた。
「は?」
疑問は驚愕へ。
何があったか、結果のみを綴るとするならば僕はーー輝いていた。
どこかで見たことのある懐かしい輝き。いつこの輝きを見たかを思い出そうと、考えていると。
「おい!何ボーってしてるんだ!?お前は何者なんだよ!!」
光は徐々に大きくなり、周りが閃光でフラッシュアウトする。
そんな中でも僕はとても落ち着いていた。何というか、安心できるのだ。
さっきまでの怒りや笑いもこの光を浴びるだけで形を潜め、僕に訪れたのは冷静さだけだった。
『魔力を探知。レベル……測定不能。推定4人の魔力の確認』
「「「「!?」」」」
奇妙な声が僕達の耳元で響く。
どこか厳かで落ち着いた声が脳に振動するように響いたことに僕以外の全員があからさまに動揺していた。
ーー刹那。
一際明るい光が僕を包み込み、僕から感覚を奪い去っていった。
その時に僕を包み込んだ光は暖かく……ああ、思い出した。
僕がこっちにきた時だ。
その時も僕はこんな光に包まれて……
浮遊感が訪れる。地面から離れたことによる恐怖がみんなに襲い掛かる。
足をばたつくも、あるのは無だけで愛斗なんて自転車を漕いでいるようだった。
意識も徐々に薄れていって……
みんなのすがたも
みえなくなってくる
どこにむかうのだろうか
おかあさん
おかあさん
おかあさん
凛。
手を伸ばす。
「」
目を覚ます。
瞬間。
「「「「「「うおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!」」」」」」
耳が破れるかと思うほどの叫び声が僕達4人を迎えた。
対象者の転移を確認。理想郷を作る計画の第一段階の終了。
一度結果をまとめ、◯◯に送る。
次に、自分の◯◯を捗らせるためにメモを残す。




