存在の確認と対象者への接近
むぐ…今回の投稿は遅くなり申した。自分の中では1週間投稿を目安にしているんだがな……
違うんだよ。これは、asmrが悪い!そうだ!
それに前の投稿で遅くなるって言ってたし、何も問題ないな。うん。
気づくと僕はまた白い世界で寝ていた。
「はあー」
酷い倦怠感に包まれながら意識を徐々に覚醒させていく。
「魘されておったのー」
…………
膝枕……
僕が何を思っているのかが彼女にも伝わったらしく、子供の見た目に反した妖艶な笑い声を上げる。
「何度も言うが、ご主人以外にはこのような事をせぬぞ」
いや、そう言う意味じゃないんだけどな……
いつまでも膝枕されるのも気恥ずかしいので、起き上がる。小さい女の子に膝枕をされるなんて……
「我のことを小さいと思ったな?」
あー。そうだった。感覚を共有しているからそんなことまで聞かれてしまうのか……怒ってるかな?
「いや、良い傾向じゃな」
「え?」
いい傾向……とは?
「うむ。我と身長を比べれば分かるぞ」
そう言われたので、膝枕から逃れ立ち上がろうとすると…
「ご主人よ。何膝枕から逃げようとしているのだ?」
「いやいや。膝枕したままでどう身長を比べろっていうんだよ!」
あ。素の自分が出てしまう。やらかした。そう思って彼女を見る。
「……ご主人よ。我はご主人の全てを知っておるからいちいち丁寧な言い方なぞせんで良いのだぞ」
未だにこの世界が一体なんなのか僕には把握し切れていない。
僕に自分自身の記憶を振り返らせようとしているのは分かるけれど、それ以上は全く持って分からない。
そしてその分からないことの筆頭として、彼女。マルクトが入るだろう。
「むー、ご主人よ。何度も言ってはいるが、ご主人と我はしゅじゅうかんけいのもとで成り立っているとは言え、もう12年間も一緒におるのじゃぞ?ご主人に愛着が湧かんわけがなかろう」
え?1…2年間?
僕の記憶上の年齢はまだ12歳。彼女の言葉をそのまま鵜呑みにすると僕は生まれた時から彼女と一緒にいるということになる。
そもそも。
記憶上の年齢は記憶上の年齢であって、僕の実年齢は未だ不明だ。
更に僕が清宮瞬であるという証拠も無い。
なんなら、この世界自体が全て夢の中の空想上の出来事なのかもしれない。まあ、それにしては随分と精緻な夢だけれど。
頭が痛くなる。膝枕されたままどこか遠くを見ようとする。
「………!!」
そして僕は絶句した。
何に驚いたか。それは、視線の先にあったある物体にである。
それは太陽だった。それは2つあった。
「あれも結晶の1つじゃよ」
マルクトが僕の視線の先にある太陽の説明をする。
あれが結晶……
今まで見てきたものと規模が違いすぎた。
「あの結晶は記憶の中でも特に歪なものでなー。基本は1つしかないのじゃが」
見る限り光2つある。
「そうなのじゃ。珍しいこともあるのじゃなー」
……。
基本マルクトは、僕に嘘をついたことが無かった。
なんで嘘をついていないって分かるのかって……そんなのなんとなくだ。
でも、その嘘をついていると感じさせないのが彼女の魅力なのかもしれないし僕自身は美徳と思っていたのだが。
たった今、彼女は嘘をついた。何故だか分かるのだ。
心の中にある一本の線のようなよく分からないものが限界までピンと張ったのだ。
何故彼女は嘘をついたのだろうかと、考えてみ…
「ええい!恥ずかしい事を抜かすのではない!やめんか!」
突然マルクトが大声を出す。
あ、そうか。思考が読まれてるんだった……
え。じゃあ今僕は……
「ご主人のそういうところは好きじゃのー」
嘘の気配は無し。
素直に好きと言われて僕も嬉しいけれど
「ごめん。僕は…」
「…分かっておる」
マルクトが優しく微笑む。
「言ったじゃろ?ご主人の気持ちは我によう伝わるのだ」
妖艶な笑みをまた浮かべる。
「嘘をついた理由なぞ今は良いじゃろう?そんな事より、記憶を求めぬか」
また違和感を感じる。
先程のものと違い……これは。
焦燥感?
「……ご主人よ」
そう言って彼女が僕を見つめてくる。
そのオッドアイにも焦燥感は見て取れた。
何が彼女をそこまで焦らせるのかは分からないが…思考が繋がっているせいか僕も無性に焦りは感じてくる。
「ご主人よ。太陽の元へ歩いて行け。その先にある記憶を手に入れるのじゃ」
彼女からの頼み。
断れるはずもなかった。
何より彼女は何か焦っているようだった。
短く「わかった」と言って僕はマルクトに背を向けて太陽へと歩み始めた。
……今気づいたけど、僕の方がマルクトより身長が高くなっているな……
これも記憶を見たせいなのかな。
「本当か?ゲブラー」
精霊間の感覚の幹となっているのは実は我である。
今はその感覚を幹から伸ばしてティファレト経由でゲブラーに話しかけている。
『ああ。俺のせいと言ってしまったらそこまでだが……すまない。本能は理性をも上回るというのは本当らしい』
ゲブラーは、我に対してはかなり従順なのじゃが……いかんせん他の精霊に対する態度がのぅ。
『愛斗の動きを制御するって息巻いてたのに……本当に俺は……くっ』
「まあまあ、そう自分を貶めるでない。作戦が瓦解したわけではないのだ。まだ瞬の選択次第で戻せる」
だが、これも一度目の選択次第だが、これ以上ゲブラーに不安を抱えさせては良くないじゃろう。
それにしても、行動が早かったのぅ。もう少し耐えてから行くかと思っていたのじゃが…
『それと、言うのを忘れていたんだが…実は俺のマスター2人の精霊と契約してるんだ』
「な、なんじゃと!?」
2人の精霊と契約なぞ、普通の人間には不可能ぞ。
「そ、そう言うことは早う教えんか!」
『わ、悪い…』
まあ、当の本人はしっかりと反省しているようだし…よいか。
それにしても、2人の精霊のぉ…1人はゲブラーとしてあと1人は……まさか……な……
『もう1人の精霊の正体は分かっておるのか?』
「そ…それが…な…返信がないんだ。俺の送り方にも問題があったかもしんねえけどそもそも俺達の感覚から外れているような気味の悪い感覚がだったな」
我の予想は当たっているらしい。まさかゲブラーに続いて彼奴とも契約するとは…人の身で無茶をするものだ。
『だけどな。妙に不自然なんだ』
「ふむ?」
2人と契約する時点で大概じゃが、それに加えて不自然じゃと?
『俺の力を使えば使うほど、代償を支払う筈なのになんかその量が少ない気がするんだよな……その割に俺のマスターバカみてえに強えし』
やはり、あの精霊の力のせいか……
「分かった。もうそろそろ主のご主人からのエネルギーも底を尽き掛けているじゃろう?終わって良いぞ」
『ああ。悪いな。また報告することがあったら。こっちからかけるぜ』
そう言ってからすぐにゲブラーとの感覚が切れる。
と同時に
「仕事は順調に進んでいるかしら」
不明瞭な輪郭を持った存在がマルクトの目の前に現れる。
「……お主か」
「……瞬様が上手く行っているのかどうかを聞きに来たのだけれど。あまり時間がないの、手早くお願い」
あいも変わらず嫌な女だ。そう思いつつもしっかりと返信はしてやらねばと思い…
「順調じゃ。この上なくな。今頃きっと」
同時に神さまに顔を向ける。
そこに黒い目は浮いてはいないが違和感はあった。
「ティファレトが準備していた結晶にでも触れているのではないnnnnnnnnnnnnnnnn
対象者の記憶廻りを確認。運命の軸の歪みを確認。原因は、光の精霊の暴走。主犯は美と魔の精霊。共犯者は精霊の王。これ以上の運命の乱れを防ぐ為、◯◯内容の変更。愛斗の感情を暴走させるように◯◯を行う。




