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太陽が昇らない国の物語(仮)  作者: 岸田龍庵
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大地の声

【動力研究所最深部 特等研究室の廊下】



 『炎上石』を強奪(ごうだつ)して逃げる一行

 ミランが操縦する箱型戦闘機が廊下(ろうか)の中を飛んで追いかけてくる


ミラン:「待てー!」

ジェス:「待てと言われて、待つバカはどこにもいませんよ、ってなんだあれ」

 初めて見る箱型戦闘機に目を丸くするジェス

ミラン:「見てらっしゃい、ミサイル発射!」

 弧を描いたミサイルは、逃げる一行の先の床を吹き飛ばした。足止めを食らう一行



ジェス:「おっと」

箱形戦闘機は一行に追いついて、ホバリングをしている

ミラン:「返して私の炎上石!そしたらおじさんたちが悪い人だってこと、みんなに黙(だま)っていて上げる」

ジェス:「おじさん?」

ベルタ:「いやだと言ったら?」

ミラン:「私の、火の民の力を教えて上げる!」


ミランが小さな操縦席のボタンを押すと、ミサイル、ナパーム弾、火炎放射など火にまつわる攻撃が次々と出てくる。

しかし、狭いところでの攻撃でミラン自身が煙に巻かれてしまう

ミラン:「前が見えない」


ジェス:「なんでもありか?」

ベルタ:「火遊びが過ぎるわね」

ヒューマは自分の手が熱くなっているのを感じる。

ヒューマ:「なんだろう?」




ヒューマの手が光っているのを見つけるジェス

ジェス:「なんだお前そりゃ」

ヒューマ:「火遊び止めさせないとダメだよね」

顔を見合わせるジェスとベルタ

ヒューマ:「火の力が強くなったら、バランスが崩れたらダメなんでしょ」

ベルタ:「じゃあ、軽くお説教ね」



ベルタは再び水筒を口に含むと、黒煙に向かって勢いよく吹きかける。

ミランが仕掛けた「火遊び」は鎮火(ちんか)する。

拳を振りかぶるジェス

ジェス:「風に乗っていけ!ヒューマ」

拳を振るうジェス


ジェスが巻き起こす旋風に体を踊らせるヒューマ

箱型戦闘機は旋風に巻き込まれ、体勢を崩す。

戦闘機の縁(ふち)を掴むヒューマ。両手が光り出す。


戦闘機の計器類がオーバーワークして、あちこちに火花が立つ

ミラン:「何コレ!」


墜落する箱形戦闘機。

はじき出され気絶するミラン。メガネが外れる。


すばらしい跳躍をみせて、穴を飛び越えるジェス

ベルタ:「サーラ、掴まんな!」

ベルタにしがみつくサーラ・ムチをふるって、壁掛けランプに絡ませるベルタ。振り子の原理で穴を越え、ムチを回収する

サーラ:「ヒューマ、急いで」

残ったヒューマは気絶しているミランが気になる。牛乳瓶メガネの奥にある、想像以上に幼い顔。

良く見るとニキビやそばかすの奥に新旧含めて顔は傷が結構ある。



ヒューマ:「だまされているって言ったよね。かわいそうだよ」

ジェス:「ウルせー。だまされるヤツが悪いんだ。早くしろ!」

ヒューマはミランの顔に手をかざした。太陽色の光が溢(あふ)れる

ヒューマ:「いつかきっと正しいことに君の力が使えるようになるから」

ミランの顔から傷やニキビ(そばかす)が消える



【動力研究所正面】

 

 出口に殺到(さっとう)する一行、当然のように一行の行く手を阻(はば)む影が4人



ジェス    「そう簡単には逃がせてくれないようだな」

ベルタ    「面倒ね」

ヒューマ   「あいつ・・・」

手形の男   「またあったね、諸君」

ジェス    「あんたもしつこいな」

手形の男   「炎上石をどうするつもりだ?」

ベルタ    「教えてくれたら、通してくれるの?」

手形の男:「我らが民が繁栄(はんえい)するために必要なのだ。腕にものを言わせるが返してもらうぞ!」

ジェス:「悪いが、付き合っているヒマはないんでね」

一目散に逃げ出す一行



【大都市サンドピーク 郊外  砂漠】


 

 走って逃げる一行。

一行を追いかけるかがり火がものすごい数で迫ってくる


ジェス:「このままじゃ、追いつかれる!」

砂に足を取られて、顔から転ぶサーラ。なかなか起き上がらない。

ヒューマ:「サーラ、大丈夫か?」

サーラ:「・・・・」

サーラは砂だらけの顔を追っ手の方に向けてじっと見ている

ヒューマ:「どうしたサーラ」

サーラ:「聞こえるの」

ヒューマ:「何・・・が?」

サーラ:「大地の声が。大地の悲鳴(ひめ)が」

ベルタ:「急いで!」



サーラ:「聞こえるのヒューマ。大地が『のどが渇(かわ)いてのどが渇いて苦しいって』。早く元の世界に戻してくれって」

ヒューマ:「何を言っているんだ、早く逃げないと」

サーラ:「私たちに力を貸してくれるって。ヒューマ。私やってみる」

 サーラは、起き上がって追っ手のほうに向かって仁王立ちになる。

 両手を広げ、大の字のまま、ゆっくりと前に倒れ込んだ。砂にほほを寄せるサーラの横顔

サーラ:「聞こえる?私の声が。私の祈りが。あなたたちの本当の姿を私に見せて」

 サーラの体を中心に波動が広がる。本当に注意しないと分からないくらいの速さの波動

 するとヒューマ達の行く先の地面が、肥沃(ひよく)で歩きやすい地面に変わった。



手形の男:「なんだこれは」

ラクダが砂に埋まり始める。追っ手のほとんどがラクダであれ、歩行であれ、体の半分が埋まり始める。命には別状はないが、前に進むことができない。

手形の男:「進め、追え!」

したっぱ:「無理です隊長!砂が砂が!」

手形の男:「なぜ、我々の土地が、砂が我々に牙をむくのだ」



むっくりと起き上がるサーラ

サーラ:「走りやすくなったでしょ?」

再び走り出す一行。一行が走った後の地面は元の砂漠に戻っていった。



【砂漠のオアシス】



ラクダの手綱を持ってそわそわするサングラスをしたグレイス。

オアシスに飛び込んでくるジェス、ベルタ、サーラ、ヒューマ

グレイス:「急いで乗って」

ベルタ:「用意がいいわね、姉さん」

サーラ:「おじいさん」

道具屋の老人を見つけるサーラ

店の主人:「おお、お前さんは大地の匂いがする娘さん」

サーラ:「おじいさん、これ」

ゴーグルをおじいさんに手渡す

サーラ:「目を大切にしてね」

走り去る5騎のラクダ

読了ありがとうございました。

まだ続きます

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