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太陽が昇らない国の物語(仮)  作者: 岸田龍庵
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炎上石を探せ

【動力研究所最深部 特等研究室】


 メジャーやら天秤やら分厚い書物が山盛りになっている研究室。その中央に不釣り合いなくらい小柄な女の子が席について遊んでいるのは銃弾



 ミランは丸い銃弾を手に取ると、両手でこ(・)よ(・)り(・)をつくるようにこねこねしていく。

 手の中の丸い銃弾は、いわゆる砲弾型になる。ミランは右手の平に弾丸を乗せると、左手で弾丸の尻に火薬を盛る。そして右手を目の高さに持ってきて照準を合わせる。

 その先にあるのは、文字が並んでいるポスター


ミラン:「右から2番目のZ」

左手で弾丸の尻をデコピンすると、銃弾は「右から2番目のZ」を撃ち抜いた。

ミラン:「すごい命中精度ね」

ノック音:「ノックノック」

ミラン:「どうぞ」

コマンダー:「もう、遅い時間だぞミラン」

ミラン:「司令官。やっぱり、弾丸は丸いより、先をとがらせた方が良く飛ぶみたい」

さっそく銃弾を手の中で変形させる。熱を帯びる銃弾。

コマンダー:「ハハハ、さすがは火の民きっての天才だな。でもあまり無理をして体調を壊すのは良くないぞ」

ミラン:「うん」




コマンダ−:「それはそうと、炎上石の増産の件はどうなったかね?」

ミラン:「なかなか、そっちのほうが難しくて・・・でもがんばる。だって火の力が世界を良くしてくれるんでしょ」

コマンダー:「その通りだ」

ミラン:「お母さん、よろこんでくれるかな?」

コマンダー:「もちろん、君はお母さんの自慢の娘だよ。きっと、次にあった時は鼻が高くなりすぎて天井に届くくらいになっているだろうよ」

ミラン:「うん、私、お母さんに喜んでもらえるようにがんばる」

コマンダー:「さ、今日はもう遅いから寝よう寝よう」

研究室を出るコマンダーとミラン


【動力研究所最深部 特等研究室の屋根裏】


 ミランとコマンダーのやりとりを聞いているヒューマとサーラ、ベルタ、ジェス

ベルタ:「なんか、子供をだましているような気がするのは、私だけなのかしら」

ジェス:「俺もそう思う」

ヒューマ:「許せない。やっつけよう」

ジェス:「どうしてお前は、そう直線的なの?」

ベルタ:「今回は、炎上石を持って帰るのが目的よ。お説教は別の機会ね」

 天板をはずして、そろりと研究室に入る一行



 押し込み強盗のように手当たりしだい引き出しやらダンスやらを開けて物色する一行

 観音開きのクローゼットを開けるサーラ



サーラ:「なにこれ!」

 クローゼットの中には、大小様々なルビーの装飾品が数え切れないくらい収まっている。

サーラ:「どれが『炎上石』?」

ジェス:「こりゃ、困ったな」

触れてみるが、どれも感触は変わらない

ベルタ:「あんまり、やりたくないけど仕方ないわね」

水筒を取り出し、水を口に含むベルタ



サーラ:「何をするの?」

ベルタは吐息を吹きかけるように口を作る。その口元がどういうわけか悩ましい。

するとベルタの口からシャボン玉が次々と生まれる。シャボン玉は割れると、水蒸気のベールを作り出す。その水蒸気は部屋中に充満する。

ヒューマ:「これは?」

ベルタ:「炎上石が本当に火の力を凝縮したモノならば、水を蒸発させるなんて簡単のはず」



じりじりとした顔で、どれが水を蒸発させるのかを見て探す。しかし、どの炎上石にもびっしりと水蒸気が張り付いている。

ヒューマ:「ない、ない、ない」

ベルタ:「ここにはないのかしら」


ドアが開く音:(バタン)


ミラン:「なにこれ?」

部屋に充満する水蒸気に驚く

ジェス:「しまった!」

ミラン:「誰?おじさん達?」



ミランのメガネが曇り、イヤリングの辺りの水蒸気が蒸発する。

ヒューマ:「あれだ!」

ベルタ:「イヤリングだったのか!」

ベルタはムチが一閃。ミランを傷付けることなく、イヤリングをゲットするベルタ。

ベルタ:「もらった!」

ベルタの手の中で水分を蒸発させている炎上石

ミラン:「返して私の『炎上石』!」

ジェス:「お嬢ちゃん、お嬢ちゃんに恨みはなんにもネエが、これはもらっていくぜ」

ベルタ:「ずらかるわよ」

メガネが曇って前が見えないのをいいことに、ミランをよけて出口に殺到する一行

脱兎のごとく逃げる

ミランは汚いローブのすそでメガネをかけたまま、曇りを拭き取るミラン。

散らかった部屋の中から四角い箱のようなモノを引っ張り出した。正方形の真ん中に座席がある。そこに座ると、操縦桿を取り、あれこれボタンを押した。


【動力研究所最深部 特等研究室の廊下】


一目散に逃げる一行。足音はしない

ベルタ:「なんで、あの子が入ってくるのが分からなかったのよ!」

ジェス:「あれだけ湿ってりゃ気流もわからん!」

ベルタ:「うまくいかないのね」


【動力研究所最深部 特等研究室の廊下】


ミランが乗った箱は主翼をはやして、尾翼を立て、ジェット噴射で飛び上がる。

箱型戦闘機で逃げたヒューマ立ちを追うミラン

ミラン:「絶対に逃がさない」

読了ありがとうございました。

まだ続きます

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