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妖の追凶〜time of hell〜  作者: 羽波紫希
華の道しるべ編
64/83

63.白と黒の選択

流華(リウファ)、お前ってひどいな〜。俺のことを忘れたの?」


流華の自宅へ侵入してきた男は冷笑を浮かべながら言った。


「それって、どういうつもり?勘解由小路(かでのこうじ)

「やっぱ、俺のこと覚えたいたんだ」


"勘解由小路"その男の名前。正体不明の5人組凶悪犯『傀儡師』の一員だった。


「だったら何?長年やったことだから覚えてるわよ。でも、本当は忘れるつもりでいたけど」


すると、勘解由小路という男は怒るどころか不気味な笑顔をしていたのだ。


「そうかい。じゃあ、殺してもいいかな?もう用はないから」


そのことに対し、流華は「気持ち悪い笑み」と小さく吐き捨てた。刃先が曲がっている巨大な矛をその男に向けて振り回す。かなり速く、当たると即死。または重傷になる程だ。


「おっと、危ない」

「クソ…」


その男は矛を避けた。危機一髪だ。それに対し、流華は舌打ちをしながら苛立ちをしている。すると、流華の自宅の一部が矛で振り回したせいで壊れた。


「ヤバ…」

「古民家の中じゃなくて外でやらない?」

「そうした方がいいね」


やはり、家の中より外でやる方が安全だ。2人は外を出た。


(ここは息子と娘を逃がしてしまったが、勘解由小路がいる。せめてこの男を倒さなければ…でもこいつはなかなか勝てる相手ではない)


流華は考え事をしていた。すると、既に勘解由小路という男はなにか言おうとしていた。


「じゃあ、次は俺の番か」


すると、その男は着物の懐から白い玉。黒い玉を一つずつ出したのだ。流華は何だろうと白と黒の玉を眺める。


「じゃじゃ〜ん!白い玉と黒い玉がありま〜す!この2つの玉は、価値観のある宝石に選ばれたので〜す!」


その男が右手で持っている白い玉は真珠みたいに。黒い玉は黒曜石のように輝いていた。


「詐欺師か」


白と黒の玉を見せられたとき、流華は思っていたことを口に出した。


勘解由小路という男の見た目は詐偽をしそうな人だ。人当たりがよく、自信満々だった。だけど、流華は嘘を見破ることは得意。そのため、2つの玉が価値観のある宝石に選ばれたのは嘘。


「いいや、俺は詐偽をするようなことはしてないよ。見た目で判断されちゃ困るよ」

「へぇ…」


その男は悪気のある笑いをしながら詐偽ではないと言っていた。だが、流華は当然呆れたのだ。


「いいかい。あなたは俺が持っている白い玉が欲しいですか?それとも黒い玉が欲しいですか?」


すると、その男は右手で白の玉を上に投げた。その間に左手で持っていた黒い玉は右手へと持ち変える。そして、白い玉を左手で捕った。それを何回か素早く繰り返している。


(もしかして、勘解由小路はあたしが目が回るようにしようとしているんだね。でもあたし、それは強いからね)


流華は目眩には強かった。真っ暗な夜の中でも白か黒かはっきり見える。


「そろそろ決めてくださいよ。白い玉と黒い玉どっちが欲しい?」


すると、流華は巨大な矛をその男に向けて力強く振り回したのだ。その2つの玉は真っ二つに割れた。


「どっちもいらない。私はただ、息子と娘と一緒に普通の生活を送りたいだけなのにさ…」


流華はその男に対して、嫌気がさした。


「へぇ…流華は本当に…見破るの上手…」


その男も少しずつ苛立ち始める。


「そうだよ。あたしは嘘を見破るのは得意だよ。でも今は…勘解由小路を…あなたをぶっ殺すだけだ!!」


2人は本気を出していった。


蛟竜毒蛇(こうりょうどくだ)怪気炎(かいきえん)


流華の怒りのあまりに毒蛇や竜はおぞましい変形で姿を現した。それたけでなく、燃えている炎のレンゲツツジを咲かせた。


「これでも喰らえっ!!」


それと同時に刃先が曲がっている巨大な矛をその男に向けて力強く振り回したのだ。1回だけではない。2、3、4回と。炎で燃えるレンゲツツジは既に少し遠くまで咲いている。


(まずいかも…つい怒りのあまりに息子と娘を考えてなかった。ごめんね)


流華は心の中で師闇(シアン)(りん)にごめんと謝り続けた。


「意外と芸術センスはいいんですね〜」

「鼻から目線で褒められるのは無理。しかも気持ち悪い」


流華はその男に褒められても嬉しくない。


「それは残念残念」


すると、勘解由小路という男は何か妖術を出そうとしていた。


白黒分明(はっこくぶんめい)花七宝(はなしっぽう)


その妖術を出すと、真っ二つに割れている白と黒の玉を同時に落とした。すると、白と黒の玉が七宝つなぎの柄へと変わっていった。


「何これ…花七宝?」


流華はその男が出す妖術を読めなかったせいで戸惑っていた。


「そうそう、それはね、白黒分明といって白いほうと黒いほうが混ざっているんだ」

「へえ…」


既に流華は半眼をしながら小声で言った。


「流華ちゃんに聞くけど、白いほうか黒いほうにずれるか。それでどうする?」


今は流華の位置は白と黒の間の部分に立っている。


「ちなみに、これはどういう…」

「ああ、これね。まず白のほうは流華ちゃんの息子と娘を助けるがあなたは死ぬ。黒いほうは神楽坂に住んでいる妖怪や死者を助けるがあなたは死ぬ。という意味」


それは予想外のことだった。どちらも流華は死なないと行けない。師闇と鈴と暮らすことができない。


(これはどうしよう…どちらかが犠牲にならないと…行けないよね)


すると、流華は白いほうへとずれていったのだ。神楽坂に住んでいる人も好きだった。けれど、師闇と鈴のことを考えるともっと辛い。


「あれ、白いほうにしたの?」

「この男…」


見下してくるような言い方で言ってくる勘解由小路という男に対して子供に怒るときより倍になる。


「この男…本当に半端ないな…今、別居中の旦那より嫌いだわ…」


鋭い目付きでその男のことを見た。すると、その男は拍手をしていたのだ。


「いやいや、素晴らしい選択でしたよ!自分の子供か神楽坂に住んでいる妖怪や死者の。それで、あなたは自分の子供を選択…」

「は?何言ってるの?」


頭の中では血がのぼり始めている。


「まあまあ、あまり怒らないで。それより見て、俺が作った術を。白と黒の花七宝の中にある花を咲かせると綺麗になるでしょう〜」


すると、自然に花が咲き始めた。だが、このことも流華は嫌な予感がすると疑っている。


(これが息子と娘に何かあったら危険だ。今すぐ追いかけないと!)


そして、流華は師闇と鈴のほうへと走って向かった。こんなことをしている場合ではないと感じた。


「師闇〜!鈴姫〜!」


流華は何度も師闇と鈴の名前を叫びだした。とその時だ。2人の姿が見える。それは師闇と鈴だった。師闇は流華に気付いた。


「師闇!こっち!」


すると、流華の声に師闇も気付いた。


「お母さん〜!」


師闇は鈴をおんぶしながら流華のところへ行った。だけど、その時だった。流華が突然、大量に吐血をしていたのだ。


「お母さん…お母さん〜!!」


原因は不明だ。流華が吐血したせいか体が動かなくなった。すると、流華はなにか言おうとしている。


「師闇…いつも…背負わせちゃったりして…ごめんね。普通の…生活を送りたかった…よね…あたしも…同じ」

「お母さん、何言ってるの?それはどこか医者とかに頼めば大丈夫だろ!」


だけど、流華はゆっくり首を振った。次第に流華の顔は悪くなっていく。


「も…手遅れ…。最後…言っておく…師闇…鈴姫をよろしく頼むよ。それと…もし…違うところへ…行くとしたら…雪の国にあるお屋敷…そこへ行くのをすすめるよ」


すると、流華は静かに息を引き取った。

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