chapter748 新たなるチカラ
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ユウナの構えは中々様になっている。
(確か……得物はロングソードやブロードソードと伝え聞いてましたが……)
それをマリアはちゃんとわかっている。
(もしかしたら、刀剣系は大概使えるのかもしれませんね)
刀剣と言っても種類は様々であり、剣道とフェンシングが全く違うように、使い方も違う。
(そして、最大の問題は――あの冥刀のチカラですね)
マリア……というか冥刀と関わる者や、生命反応に敏感な者は相手の武器が冥刀かどうか、なんとなくわかる。
だからこそ警戒しなければならない。
強化、属性、次元、概念etc。
何でもありなのだから。
警戒するマリアへユウナはこう言う。
「そこまで警戒しないで良いよ。この子はかなり厳しめで今はあまり使えない」
「そうですか……」
嘘は言っていないようだが、それで警戒を解くなんてもっての外。
「それに能力だって補正中心だ」
補正中心。
つまりは筋力や瞬発力といった身体能力の強化が主。
派手さがないので、低く見られがちで、オークションの値段も冥刀としては低くなる
だが、熟練の戦闘者は知っている。人によってはそれが鬼に金棒となり、ドエライ事になる事を。
「……」
「それを言って油断しないのは流石」
そう言って、ユウナは踏み込む。
冥刀の補正で今まで一番早い!
「!?」
「ほら入った」
レイピアでの突き。
それを辛うじてパイルバンカーを盾にして防ぐ。
「貫けないか……。なら」
連続突き。
しかも同じ場所を狙うのではなく、先程の鉈攻撃と同じように、隠せない場所を狙いに行く。
「く……」
体に穴が空いていくマリア。
どうにか隙を付いて拳を打ち込もうとするが、そんな隙がない。
しかも先程の先程の戦法を警戒されており、深くは突き刺してこない。
(失血を狙いに行く気ですか)
思考しながら、目線を移す。
(やはりこれでは不利ですね……)
【カズィクル・ベイ】は大型のパイルバンカー。
当たれば一撃で殺せるだろうが、当たらない。
大型重量武器の宿命。
ならば……。
「仕方ありません……」
「何がだい?」
「これ最初に見せるのは、サク様にする予定だったのに」
その言葉と同時、巨大なパイルバンカーが二つに別れて縮小する。
あっという間に杭が付いた籠手のようになる。
これが、マリアの手札、冥刀の変形機構の応用だった。




